2018年秋アニメを総括した。

はじめに

2018年最終クールの総括記事です。
かなり豊作でした。

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©「GRIDMAN」製作委員会

あかねさす少女

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©Akanesasu Anime Project

勝手に期待するのも視聴者ならば、勝手に失望するのも視聴者なのだなと。
今日ちゃんの失踪の謎を解き明かしていく物語になるものだと第1話で勝手に確信して、だから、最終話まで一切そこに踏み込まなかったことでガッカリしました。
11話までは滅茶苦茶面白かったのに、最終話で株を落としてしまったな…と。
でも、よくよく考えると冒頭の一文へ帰着するんですよね。
アニメ側では、一切「今日ちゃんの失踪」がテーマだなんて言ってないんですから。

2話から11話では、ラジ研メンバーの精神的な成長が描かれてきました。
多くのギャグを交えつつ、1人1人の深層に迫った物語を丹念に紡いできたから、とっても楽しかったです。
で、成長の象徴として、ディプリケートがあったんですよね。

とすると、明日架の成長という観点で振り返ると、明日架がチビアスカからシリアスカになるまでの物語がテーマだったのかなと。
どのフラグメントでも居なくなっていた今日ちゃん。
その悲しみと悔悟から立ち直れるか否かで、色々なアスカがいたんですね。
立ち直って、精神的な成長を見せたのがシリアスカ。(故に彼女はディプリケート出来ていた)
悲しみに心を砕かれて、黄昏の使者になったのがチビアスカ。
両極端な2人のアスカの狭間にいるのが明日架。
今日ちゃんの失踪から目を背け、嘘を吐き、誤魔化して生きてきた。
「今日ちゃんの失踪を乗り越えられるか」という点に於いては、チビアスカが一番ダメなパターン(悲しみに飲まれた)で明日架はその少し上、ギリギリで踏み止まった感じでしょうか。
ほんの些細なボタンのかけ違いで、明日架が成り得た「もう1人のワタシ」がチビアスカ。
故に、チビアスカとの対話はどのフラグメントのアスカとも異なる「最も近い己」と向き合うことに等しかったのかなと。
「もう1人の自分」がきちんと否定して、偏った考えを持ってるから、冷静に自分自身を振り返れて、結果的に今日ちゃんとの別れに真に向き合えた。
チビアスカを改心させられた時点で、明日架の成長は示せていたのでしょうね。
本編では更に分かりやすく、今日ちゃんの片づけられた部屋(「お別れ」を済ませた証)、ディプリケート出来たことで表現されていましたけれど。

いくつかの謎がそのまま残ってしまい、その解決に執着してしまうと、締まらない物語に見えます。
然しながら、ずっと示されてきた思春期の少女達の成長に目を向けると、これ以上無い締め方で終えられたのだと気付かされます。
本音で言えば、今日ちゃんのことをしっかりと解決して欲しかったし、エロゆうのことについても解き明かして貰いたかった。
それでも、考え直せたことで良いアニメだったなと思えたので、そこに囚われずにいたいものです。

色づく世界の明日から

ニワトリが先か、卵が先かというSF的問題に帰着しそうな問答ではあるのですが、そもそも瞳美が60年前に行かなければならなかった理由ってなんだったのだろうと。
答えとしては色を取り戻す為、つまりは、彼女の心の傷を癒す為ではあるのだけれど、タイムトラベル無しで傷を癒す事は不可能だったのでしょうかね。
琥珀は瞳美の「色が見えなくなる」という情報を事前に掴んでいたのですから、瞳美が異変を来した時点で、例えば唯翔と共に解決に当たるなどで対処可能だった気もしますが。
きっと無理なのでしょうね。
「瞳美が2078年に琥珀の魔法で60年前に飛ぶ」ということが「事実」として「歴史」に組み込まれていて、これを無かったことにしようとすること自体が歴史改ざんに当たって歴史強制力が働いてしまうのかな。
同様に瞳美が歴史を変えないように、彼女に不必要な情報も与えられなかった。
琥珀としては、瞳美に何も伝えずに過去に飛ばす以外の方法が無かったのでしょうね。

若しかしたら、琥珀の事だから徹底的に足掻いた可能性もありますよね。
2018年の瞳美と自分達の出来事は素敵な思い出ではあるけれど、悲しい別れも含んでいる。
魔法によって生み出された「普通なら有り得ない経験」です。
経験しなくて済むならそれに越した事は無いとも言えます。
そもそも17歳になるまで瞳美を苦しみから解放させてあげられないのは、祖母としても友としても辛いですしね。
瞳美は2018年の琥珀に色が見えなくなった理由(原因の端緒である母の蒸発)を伝えておらず、琥珀が母(琥珀の娘)と孫(瞳美)の問題を解決した未来を変えるということは出来なかった。
原因自体を取り除くことが出来ないのなら、早め早めで癒す努力をしてきたんじゃないかな。
その度に歴史の強制力が働いて、瞳美の傷は癒せず、17歳になるまで何もしてあげられなかった。
一方で万が一に備えて魔法を完成させないとならなかった。
こういったことも娘(瞳美の母)を気遣って上げることが出来ずに、娘の蒸発と瞳美の傷を防げなかった事に繋がっているのかと思うと、なんとも皮肉な話です。
シナリオの構成的に非常に難しいこととは思いますが、60年間の琥珀の苦悩と「瞳美を過去に送らねばならなかった事情」を描いてくれたら、もっと良かったのかなと。

全般的に楽しく視聴していたし、少なくとも第1話は今期で一番でした。
ただ、個人的には2018年の琥珀の初登場がピークだったな~。
琥珀、良いキャラしてた。
そこから段々と視聴意欲が薄れていった理由は自分でもよく分かってないんですが、上で長々と書いたことが頭に引っかかってしまったからなのかもしれません。
良かったのだけれど、もう一歩殻を破れなかったという印象が強い作品。

SSSS.GRIDMAN

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©「GRIDMAN」製作委員会

コンピューターワールドに世界を構築したら…。
原作の「電光超人グリッドマン」で、グリッドマンが戦っていたコンピューターの中の世界。
そこを舞台に、街を作り、人を作って、怪獣で統治していた。
コンピューターの中の世界だからこそ、アニメだったのですね。
最終回最終カットの実写パートはそれを意識させるための演出だったんじゃないかと解釈しました。

なにはともあれ、素晴らしかったの一言。
全体的にシリアスな空気感で、視聴するのにやや重苦しさこそありましたが、戦闘シーンの絵的な格好良さがずば抜けていて、齧りついて見ていました。
特撮の映像を意識した画作りは、本当にプロの仕事。
原作へのリスペクトが随所にみられて、これ特撮ファンもアニメファンも虜に出来る映像だったと思うの。
グリッドマンがマジで格好良かった。最高。

実は、原作はリアルタイムで視聴していました。
夏休みの再放送まで見てたくらいには好きでした。
流石に色々と忘れてましたが、最終話でオープニングテーマが流れた時は、懐かしさで震えましたね。
覚えてるものですね。

さて、雨宮哲監督とトリガーには、「ウルトラマン超闘士激伝」のアニメ版に取りかかって頂きましょう!!
昔「アニメ化決定」の方で喜んだのも束の間、「OVA」という後発の情報でガッカリさせられた鬱憤を晴らして欲しいです。
是非、是非TVアニメで。
このスタッフのクオリティで「激伝」見たいな~。

ゴブリンスレイヤー

言葉は悪いけれど、モブの物語。
顔と名前が一致して、初めて人間足り得るのだと思う。
なので、顔しか見えてない・顔も名前も見えてない彼ら彼女らは、何処まで行っても世界の片隅でひっそりと、しかし、懸命に生きる冒険者でしかない。
決して世界を救う勇者なんかでは無い。
必死に生きてるというのが、ゴブリンスレイヤーのゴブリンを狩る為の全てに集約されているのかなと。
だからかな、ゴブリンの生態に関しては、本当に考え抜かれていたと思います。
雑兵に過ぎないゴブリンのことを生々しく描くほどに、奴らを屠る事に執念を燃やすゴブリンスレイヤーの生き様を色濃く残せる。
着眼点が特異で面白いとは思いました。
でも、残念ながら僕の中には”残らない”作品であったというのも事実。
最後のエピソードこそ熱く面白く見れましたが、「モブの物語」であるからこそ、印象に残り辛い。
個人の趣味の話ですけれど、僕は勇者の物語が好きなようです。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

とっても良かった。
BD全巻ポチるレベルで良かった。
原作ファンやってて良かった。
良かった。
語彙が…と思われるかもですが、僕の語彙なんて元々こんなもんです。
メインヒロインは麻衣であるということを全篇一貫して構成されていたこともあって、咲太と麻衣の関係性がとても深く理解出来るシリーズに仕上がっていました。
しっかりと劇場版を見越した構成になっているので、これは当初から「TVシリーズ+劇場版」で作られる事が決められていたメリットを十分に活かした戦略だなと感じました。
TVシリーズでは謎を謎のまま(原作通りに)放置できるってのは、劇場版が控えて無かったら出来ない事でしたからね。
懸念していたシリーズ構成が良くて、音楽も演出も文句なし。
さらにはキャストもイメージを損なわず素晴らしい演技を披露してくれて。(特に石川界人さんの演技が光ってた)
心から大満足・大絶賛のアニメ化でした。

やがて君になる

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高田憂希さん

ああああああああああかわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
失礼しました。

キャラの声、作中の雰囲気、主題歌含めた音楽、シナリオ。
何処を取っても素晴らしい出来だったと思います。
原作を丁寧になぞりつつ、作品世界に浸れる演出で作られていたので、原作ファンとして満足してました。
が、最終回が少し残念。

この作品にとって生徒会劇というのは物凄く重要なんですよね。
燈子の全てを表していて、しかし、彼女自身を尊重するならば11話で侑が言っていた結末を用意してあげなければならない。
2人の関係を作り返るくらいに大事な立ち位置に合って、だからこそ中途半端に触れて終わってしまったことが残念でした。
原作はこの辺りを終わったばかりなので、タイミング的にはかなり難しかったのだと想像します。
さらにいえば、生徒会劇直後を最終回に持ってくると、ある意味バッドエンドにもなってしまう。
区切り方としては、劇の前しか無かったのかもしれませんけれど、もう少し「終わった感」を出して欲しかったというのが本音。
アニオリ展開になってでもきっちりと最終回を作り込んで欲しいという僕の考えとは一致してなかった事もあって、最終回で評価を下げてしまったかな。

RELEASE THE SPYCE

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©「RELEASE THE SPYCE」 製作委員会

第1話で脚本に粗が目立っていたので、第一印象は悪い方でした。
けれど、最後の方はノリノリで視聴していたのですから、やはり全話見ないと分からないものですね。
キャラに萌えるか、物語に浸るか。
楽しみ方は数あれど、この作品では僕は前者でした。
命が好きすぎた。
終盤に大きな見せ場も合ったし、バニーガール姿が良すぎたし、弟子との関係も好みだし。

また、脚本にしても大雑把な部分が最後まで見受けられたものの、しっかりとした結末が描かれていた事もあって良かったと思います。
細かな整合性よりも外連味を大事にした勢いのある脚本だったのかなと。
熱中度では終盤で大きくランクを上げて行ったアニメでした。

終わりに

かなり熱いクールでした。
楽しい3か月を過ごせました。

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