「20世紀少年」に対する批判の要因についての私見

この記事は

「20世紀少年」に関する記事のつもりです。
ネタバレは極力避けていますが、念の為気を付けて下さいませ。

はじめに

なんだか久々に充実した休日を過ごしました。

朝一で先ずは映画「ジョーカー・ゲーム」を鑑賞。
亀梨・伊勢谷両氏を只管格好良く撮った作品。
ジャニーズでも屈指のイケメンと個人的には思ってる亀梨さんのスマートなスパイぶりと伊勢谷さんの痺れる美声に酔いしれました。

CMで言ってるようなどんでん返しとか騙しの要素は無く、ラストの逆転劇にしても「何故ここだけ偶然に頼るの?」という詰めの甘さというか…。
もう一捻りあったらより良かったと思うのですが、エンタメ作品としては満足度が高かったです。
陳腐な例えですが「コメディ成分を抜いたクソ真面目版ルパン三世」って感じかな。

アニメの「ルパン」の漫画チックな要素を限りなく(皆不死身過ぎという点は目を瞑ってw)排除すると、こうなるのかなって。

その後は、溜まっていた「ジャンプ」を3号いっき読み。
岩代先生の新連載「カガミガミ」は読切版が良かったので続きに期待が持てますし、「ニセコイ」は停滞感を抜け出そうという展開になってますね。
きっと千棘が楽の家に住み始めるという、更なる千棘派寄りのオチに収まるんでしょうけれども…。(集英組がビーハイブの代わりに千棘を守りつつ)
「銀魂」も何だかクライマックス感が高まって来て、色々な作品に動きが出ていて楽しかったです。

で、本日何よりの収穫は「僕だけがいない街」でしょう!!
既刊いっき読みしましたけれど、なにあれ、面白すぎ。
今まで「暗そうだな」と勝手な思い込みで食わず嫌いしていたんですが、いやはや間違ってました。
サスペンスですから、確かに暗いっちゃ暗いのかもですが、希望の光が見える分明るいですね。
かなり速い展開で、張り巡らされた伏線がドンドン回収される様に快感を覚え、深まる謎にグングン先を読まされる。

キャラクターの心情が丁寧に描かれているからこそ、物語の深みに入り込みやすくて、より楽しめるんです。
無味乾燥したパズルを解くという気持ちよさでは無く、キャラクターの血が通った物語の謎解きをキャラに寄り添って体験していく感覚。
繰り返すようですが、今まで敬遠していて大反省でした。
極上のサスペンスですね。

そんな「僕だけがいない街」を読んでいて、ふっと頭に浮かんだのが「20世紀少年」でした。
別に両作品が似ているって訳では無いです。
共通点と言えば、強いて挙げればジャンルがサスペンスという事と、主人公の小学生時代が重要なファクターになっているという点位。
あ、あとどっちも女の子が可愛い。(重要)
小泉響子とか、愛梨とか、加代とか。
特にストーリーが似ている訳でも、作風・画風が似通っている訳でも無い。
けれど、何故か思い浮かんでしまった。

すると芋づる式に「そういえば20世紀少年は完結後に批判の的になっていたな〜」って事も思い出しました。
と言っても僕はその「批判」の理由とか詳しく知らなかったりするんですが…。
後々になって、ちょろっと目にした程度。
その程度の知識しかないんですが、何故批判されてしまったのか。
今更なんですが、個人的な意見を纏めてみます。

「20世紀少年」に対する主な批判(僕が知る範囲で)

大事な事なので最初に言いますが、僕は「20世紀少年」を完結後に一気読みした人間です。
完結篇となっている「21世紀少年」まで含め、当時小学館が売り出していた全巻セットを購入しました。
「20世紀少年BOX」ってやつです。↓こんなの

20世紀少年BOX ([BOX商品])

20世紀少年BOX ([BOX商品])

これを短期間に読破しました。
勿論初見です。
連載では追っていませんでした。
そんで大満足して、映画も全部見に行って、「これは傑作だわ〜」というのが僕の率直な感想でした。

だから、読破後にネットで感想を検索して、驚いたんですよ。
どうも批判的な意見が多いらしいという情報を知って。

そんな批判意見ですが、大まかに言えば以下2点が目につきました。

1点目は”ともだち”の正体です。
レギュラーやその周辺のキャラクターでは無くて、読み込んでいて、かつ、きちっと「覚えてないと」分からない様な子が正体だったので、批判したい気持ちも分からなくなかったです。
これについては、映画最終作で気持ちの良い改変具合でしたので、それを含めて溜飲を下げた方も居るんじゃないかな。

2点目は、多くの伏線が回収されずにいたこと。
どんな伏線が回収されなかったかに関して、いちいち挙げる事は控えますが、「未回収の伏線まとめ」的な記事を読むと「あ〜そういえば…」となりました。

気持ちは分かるんですが、僕自身は気にならなかった2点。
僕と批判している人達、何が違うのかなと考えたんです。
で、思い当ったのが「作品に触れていた時間」であり、批判の要因の1つに成り得てるんじゃないかなと考えてます。

長期連載故の批判だったのではないか

以前僕はこういう記事を書きました。
長期連載だからこそ生まれる伏線の効力に関する考察 – アニメな日々、漫画な月日
要点を一言で纏めますと
「長期連載の序盤に張られた伏線は、終盤で回収されると読者ウケが良い」。

長い時間が、伏線の「読者を驚かす力」を高めていくのではないかという考えです。
長期連載ならではの長所として挙げました。

「20世紀少年」のケースは、これと全く逆の現象だったんじゃないかなと。
つまりは、8年と云う長期連載だったからこそ、余計に読者から批判を浴びてしまったのではないか。

言うまでも無く本作は、多くの謎で興味関心を引っ張るタイプの作品です。
張り巡らされた伏線と魅力溢れる謎が読者の好奇心をくすぐり、それが作品の牽引力として機能している。

さて、人は謎があると、ついついそれを解きに掛かります。
思考を巡らし、他者の意見を取り込み、時にはファン同士で議論をして答えを追い求める。
ネットには考察サイトが次々と生まれ、匿名掲示板には専用のスレッドが立ち、読者同士が知恵を出し合う。

そういった好奇心は、同時に「答え」そのものに対する期待感も膨らませていきます。
人は身勝手なモノで、自分の出した「解」が正解するよりも、それ以上にその解を上回る「正答」を求める嫌いがあります。
皆が皆そういう訳では無いでしょうけれど、作品に期待感を持つ程その傾向は強まるんじゃないでしょうか?
答えがあっていて「やっぱりね」とガッカリする人は、作品に対してそれほど期待していたという裏返しだと思うのです。

こういった期待感は、面倒な事に要した時間に比例しがちです。

謎に対する答えを考えた時間だけ、見合った正答を求めてしまう。
8年という長さは、そんな読者の期待を肥大化させるには十分すぎます。

最大の謎とされていた”ともだち”の正体が、「こいつ誰だっけ?」と思う様なキャラじゃつまらない。
あっと驚く、主人公の身近にいて、かつ、意外性のあるキャラだったら良い。
そういうキャラである事を期待してしまう。
伏線は当然全て回収されて、納得のいく答えが提示される”べき”である。
だって、それを基に自分達は考察してきたんだから…。

批判していた人の中には、若しかしたら、こういう理由からって人もいたのかな。
そんな事を想像してしまいました。

僕は、作中の謎に考える「猶予」を殆ど取らずに、最後まで読みました。
だから、”ともだち”の正体が誰だったのかとか、回収されて無い伏線があったかどうかとかは気にせずに・気にならずに読み終えました。
ストーリーを堪能し、結末に満足し、登場人物に愛着を覚え、作品を好きになった。

だけど、もし僕も連載で追っていたら、同じように思えていたのかな…。
つまらないと結論付けることは絶対に無いと言えますが、不満はあったかもしれません。
長期連載故に批判もまた大きくなってしまったのかもしれないですね。

終わりに

もしも本当にこのような事が要因になっていたんだとしたら、尤もそれは「それだけ作品に力と人気があった」という証左にもなるんですよね。

だって、解きたいと思える謎じゃないと、そもそも解こうとなんてしませんもの。
謎に人を惹き付ける魅力が確かにあって、多くの人が虜にされた。
長い時間、謎に挑み続けた。
だからこそ…となりますからね。

批判の大きさも含めて、作品の人気と言える気が致しますね。

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