この記事は
「ダイの大冒険」の感想です。
ネタバレあります。
アニメ放送間近!!!
TBSで放送され、無念の打ち切りで終わった初代アニメ版から、もう何年目になるのでしょう。
小学生だった自分にとって、あまりに理不尽に思えたものですが、よもやオッサンになってから再びアニメを見れるようになるとは。
10月からの放送を目前とし、先日は最新のPVが公開されましたが、なかなか良さげじゃないですか!!
期待感がグッと上がりました。
改めて、放送開始が楽しみになりました。
さて、そんな「ダイの大冒険」。
数か月前に電子版を全巻大人買いし、時間さえ作っては読み進めております。
ようやく最終決戦目前というところ。
ポップ&マァムvsミストバーン、〇〇(一応ネタバレ防止対応)vsキルバーンの2つの戦いが展開されています。
ここまで一気読みしてきて、改めて気づいたことがあります。
ハドラー、格好良すぎじゃない
ってこと。
そう。
魔王ハドラーがむちゃんこ格好良くなっていくんですよ。
「弱っ。」とか「雑魚過ぎw」とか「ださっ」とか思ってて、申し訳なかった。
鼻水垂らしてアホ顔晒していた初期からは想像もできないほど、成長していく様は、一種の憧れさえ抱いちゃいました。
三流魔王
よく「ダイ大」でポップが「初期から最も成長したキャラ」としてスポットが当てられることがありますが、ハドラーも負けておりません。
物語開始時点でなんだか既に情けなかったんですよね。
アバンから「魔王」と呼ばれることに対して、「俺は魔王ではない。大魔王の部下だ」(意訳)と威張っちゃうという小物っぷりを披露。
最早魔王としての誇りとか威厳とか微塵も感じられません。
どう考えても格としては「魔王」>「魔軍司令」なのに、「俺は魔軍司令だ‼」と声高に叫んじゃうところが実に情けない。
フレイザード編の総攻撃時には、かつての部下であるヒュンケルと戦うことに。
そもそも六大軍団長達ってハドラーの部下であって、部下じゃないという特殊な連中。
ハドラーに忠義を持った者はクロコダイルとフレイザードのみ。
彼らを含めて、ハドラーを上回る能力を有していて、中でもミストバーンとバランは総合力でも上。
ハドラー自身その辺のことを理解しているので、部下にビビってたりするわけで。
そんな折、裏切ったヒュンケルと初めて戦ってみたら、ヒュンケルもハドラーより強いという事実が判明。
何が悲しいって、アバンを倒した功績でデルムリン島戦より強くしてもらってたにもかかわらず、勝てなかったという点。
姑息な手段でヒュンケルを追い詰めたり、背後から止めを刺そうとしたら、返り討ちにあったり。
戦い方も残念なのに、結果も残念という、良いところ無しな戦いでした。
ハドラー、自身3度目の出陣は、残念加減で言えば一番かもしれません。
バランの失敗によって追い詰められたハドラーは、ザボエラを率いてダイ達を強襲するのですが、その手段があまりにも姑息。
ザボエラの力で眠らせたところを暗殺するという、プライドも何もあったものじゃない方法。
本人曰く手段を選んでいる場合ではないということですが、魔王の戦法ではありませんね。
窮地に駆け付けたマトリフに三流魔王呼ばわりされるわ、眠りから醒めたダイにあっさりと撃退されるわ。
暗殺に行ったら、真正面から力業で押されてしまうというのは、あまりにもダサいです。
ただ、この敗戦でハドラーは変わります。
誇りを捨て、魔族の身体すら捨て、超魔生物として蘇ったハドラー。
ここから一気に株を上げていきます。
理想の上司ハドラー
ここからのハドラーの何が良いって、強くなったことではないんですよ。
そう。
まさに「理想の上司」と言えるような背中を見せてくれるんですよ。
よく漫画の敵キャラで理想の上司として挙げられる「DRAGON BALL」のフリーザ。
個人的には、フリーザのどこが理想の上司なのか理解できないんですよね。
だって、失敗したら殺されるとか、とんだパワハラ上司ですよ。
皆、一度失敗しても必ずチャンスを与えてくれるとか良い風に解釈してますけど、失敗を繰り返したら確実に殺されるわけですよ。
しかも、奴は部下だったサイヤ人を「やがて脅威になるかも」という理由で絶滅させているわけで。
出る杭を打つなんてレベルじゃないですよ。
自分を超えるかもしれないと判断されただけで即滅されるんですから、こんなブラック上司にはついていきたくありません。
確かにハドラーもかつてバルトス(ヒュンケルの育ての親である地獄の騎士)を手に掛けています。
ただそれは「三流魔王」時代の尊敬に値しない頃の行為。
無しにすることはしてはなりませんが、本稿では目を瞑らせてください。
あくまで「理想の上司」なのは、超魔生物になって以降のハドラー。
では、どこがどう理想の上司なのかを書いていきます。
先ずは上司との関係。
とんでもない爆弾を胸に仕込まれていたことを知っても「バーン様」と敬称を付け、上司への怒りよりも「正々堂々の戦い」を踏みにじってしまったことを嘆くハドラー。
裏切られたこと、殺されかけたことは、直接的に反旗を翻す理由にはならないようです。
それだけ恩義を感じているとも見え、忠義に厚いところが窺えます。
とはいえ、言いなりの人形、イエスマンであってはなりません。
歯向かう時はしっかりと牙を剝くのが仕事の出来る男。
生きる目的と化した「アバンの使途との闘い」を邪魔されては、バーンと言えど容赦はしません。
続いては、部下との関係。
ここが熱い‼
六大軍団長とは反りが合わず、部下に恵まれなかった魔軍司令時代。
超魔生物となって、バーンから与えられたのは、自身の命を分け与えたチェスの駒達。
ハドラー親衛騎団との絆は、羨むほどの熱いものでした。
なによりも、一致団結して命を懸けてくれた部下達の気概に応えようとするハドラーが無茶苦茶格好いい。
部下の頑張りに全力で応えようとする上司。
前提として部下(親衛騎団)が上司(ハドラー)を信頼していることが条件ですけれど、その信頼には100%の心意気で応えてくれます。
組織の中間管理職としては、傑物と言えるのではないでしょうか。
見事な最期
ハドラーを語る上で、彼の最期は外せません。
憎むべき敵から倒したいライバルへ。
彼の人生は、アバンとその弟子を抜きには出来なくて。
寝ても覚めてもアバンのことを想い、執念を燃やしてきたからこそ、ハドラーは誰よりもアバンの理解者足り得たのだと思います。
キルバーンの罠に嵌り、絶命の危機に陥ったダイとポップの背中を押したのは、誰あろうハドラーでした。
「…我が生命を賭けた勝負…死神の姑息な罠如きに汚されてたまるものかっ‼」
「オレと…オレの仲間たちの戦いも…勝者がいなくなってしまったら語りつぐ者さえ なくなる…!!!」
ポップ達を助けた際の理由があまりにも格好良い。
たった1つの信念に生き、自分達を倒した相手に誇りを持つ。
しっかりと部下、否、仲間達の功績も忘れていないところがポイントです。
人間(魔族だけど)最期の瞬間、本性が現れるものです。
死の寸前まで誇りを持ち続け、かつてのライバルの腕の中で逝ったハドラー。
彼の散り際は、漫画史に残る名シーンであったというのは、言い過ぎとは思えません。
終わりに
アニメではハドラーの成長も楽しみたいと思っております。