この記事は
「あかねさす少女」の感想です。
ネタバレは…ありますか?
はじめに
「色づく世界の明日から」
「SSSS.GRIDMAN」
「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
「やがて君になる」
視聴前に期待していたアニメで、期待通りの面白さを提供してくれているアニメ達です。
中でも「色づく世界の明日から」と「SSSS.GRIDMAN」は期待以上だったかな。
個人的には豊作なクールになってますが、ある意味一番楽しみな作品がここには入ってません。
「あまり期待して無かったけど、想像以上に面白かった作品」です。
こう言っちゃなんだけれど、期待して無かった分振り幅が大きいんですよね。
なんとなく見てみようかなと軽い気持ちで視聴した作品が、大当たりだった時の感動は、期待して他作品が期待通りだった時以上に嬉しい時があります。
毎期1本くらいはそういう作品に巡り合えてるのですが、今期でいえば「あかねさす少女」でした。
面白い!!
何故期待して無かったか
先ずはこれを説明しないとですね。
ただ、これは自分語りになっちゃいますので長くなるんですよね。
ほら、僕、自分語り好きですし。
ついつい長くなっちゃう。
だから、覚悟して下さいね。
僕は鬱鬱とした暗い作品が好きじゃありません。
ホラーとかもダメ。
カラッと明るい作品が好きなんです。
以上。
長すぎる自分語りに付き合って頂きありがとうございます!!
という訳で、「あかねさす少女」のPVってどこか暗かったじゃないですか。
場面全体の明度も低く、タイトル通り茜色主体の色味で設計されていました。
夕焼けって綺麗ですけれど、寂寥感をも覚えますよね。
夜の訪れを間近とした時間帯で、個人的なイメージとしては明るさよりも暗さを想起させるんです。
暗そうだな~。
キャラとか死にそうだな~。
嫌だな~。
でも、黒沢ともよさん主演だからな~。
桂先生キャラ原案、つまりは、キャラの外見が好みだし、一応見るかな~。
こんな感じで見始めたのです。
明るかった!!
手のひら返しをした理由も、だから、分かって頂けると思います。
明るいんだわ、基本。
イメージ通りに暗くなりそうな要素は孕んでいます。
シリアスカの行動動機とか滅茶苦茶暗そうだし。
弟君行方不明だし。
このあたりはシリーズ全体を貫くメインプロットになりそうなので、しっかりとシリアスしてくる事が予想されます。
初回はこれら暗くなりそうな雰囲気を多く纏っていたので、やはりまだまだ不安だったんですよね。
予想通り暗いアニメなのかなと。
明日架が明るいキャラであればある程、その先に待ち受ける暗さを際立たせるんじゃないかとも考えていました。
けど、2話からガラッと印象が変わりました。
会話も展開もギャグのオンパレード。
パラレルワールドに来てしまったという不安なんておくびにも見せずに、持ち前の明るさを発揮する明日架。
そしてそれに釣られるように行動するラヂ研。
まだ5話までしか視聴出来てないんですが、明るいノリが非常に良い。
適度にシリアスを混ぜつつも、基本的にはコメディ調で展開されるので、とても見易いです。
当初の懸念点を吹き飛ばすくらい明るいアニメで、良い意味で期待を裏切られた作品ですね。
とはいえ、基本的な物語やキャラが好きになれないと作品自体を面白いとは感じられません。
明るいからってだけで作品を面白いと思えるほど単純じゃないので、流石に。
もうちびっとだけ複雑な感情を持ち合わせてるつもりですw
ラヂ研のメンバーが非常に個性的で、とても丁寧に掘り下げてくれるから、のめり込めるんです。
奈々を最初に持ってきたのには意義がある
メインキャラクターとなるラヂ研のメンバーは5人。
1人2話ずつメインとしつつ、主たる物語を少しずつ進めていくのでしょう。
明日架を除く4人で8話。
世界説明で1話を使ったので、残り3話で明日架の物語…この作品の主題を謳っていくのだと思います。
構成からして分かりやすいですよね。
必要以上に多くのキャラが出てくる事が多い昨今のアニメ。
どうしても1クールでは持て余し気味の作品も多い印象です。
結果として、キャラ描写が浅く散漫になってしまい、本当に魅せたいメインキャラまで薄く見えがちになります。
それを嫌ってからなのかどうかは不明ですけれど、しっかりと人数を絞って、1人1人丁寧に魅せる構成は、もうそれだけで特長と言えますね。
しかもですよ、その掘り下げの最初の1人に七瀬奈々を持ってきたのが素晴らしいじゃないですか。
彼女はメイン5人の中では、1話を見ただけでも一番「温度感」の低いキャラに映りました。
4時44分の儀式に最も熱を上げてるのが明日架だとすれば、その対極にいるのが奈々。
奈々のエピソードでは実際にその点彼女自身が言及してますので、間違いのない事実でした。
そんなキャラを先頭に持ってくることの意義はとても大きいです。
奈々のエピソードで判明しましたが、4人個々のエピソードでは主役となる子の成長を見せてくれるようです。
それぞれが思春期ながらの悩みや葛藤を抱えていて、その解消を描いていくと。
成長の象徴として、デュプリケート(変身)してくれる設定なので、視聴者としては理解が早いです。
分かりやすいですよね。
ただ、もう少し内面に踏み込んで成長前後の奈々の「違い」を演出出来れば、「少女達の成長物語」であると視聴者により強い印象を残せますよね。
この点に於いて奈々は最適なんです。
5人の中でも一番分かりやすく違いを示しやすいです。
他の4人への態度というか…立場を変えればいいのですから。
ラジ研には遊び半分で付き合っていた程度だった。
それが、自分から正式に入部を決めた。
わっかりやすい違いです。
内面…考えに変化が無いと、描けない行動ですよね。
今作が「成長物語」であるという印象を強く持てた理由は、奈々を最初に持ってきてたからだと思ったのでした。
キャストが凄い
これは1話の感想時にも触れた気がしますが、メインキャストに経験豊富な声優陣を持ってきてるのが今作の意気込みの高さを表わしているとも感じました。
流れから奈々役の小清水亜美さんについて取り上げてみます。
2003年、「明日のナージャ」でデビューを果たした小清水さん。
いきなりの主演作でした。
僕は「ナージャ」を見ていなかったので、彼女を知ったのは翌年の「スクールランブル」でした。
「スクラン」の天満は可愛かった。
声がメッチャ可愛くて、一声聞いただけで好きになってました。
第一印象が天満の「萌え声」だったんです。
それから色々な役を重ね、気づいたら「低音声のちょっと怖いお姉さん」役が板についていたので、大いに戸惑ったんです。
「え?あれ?何時の間に?????」って感じで。
きっと僕が他の色々な女性声優さんにうつつを抜かしている間に、芸域を広げられたのでしょうね。
「名探偵コナン」 上原由衣。
「STAR DRIVER 輝きのタクト」 ニチ・ケイト。
「神のみぞ知る世界」 春日楠。
「DOG DAYS」 レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ。
「キルラキル」 纏流子。
「とある科学の超電磁砲」、「とある魔術の禁書目録」 麦野沈利。
どんどんと僕の中のイメージが「声が低めの女性キャラ」に書き変わっていきました。
たまに麦野の声とか聞いてると、「天満の頃の萌声に戻って」と涙してます。
何が言いたいのかと言うと、萌声もその逆も演じられる力を持った声優さんだという事です。
「あかねさす少女」は、パラレルワールド=フラグメントを行き来する物語です。
並行世界の様々な「自分」が出てくる世界観。
演じるキャストにも、相応の演技力が必要なのです。
それぞれ、性格の根っこは同じだけれど、表層的なキャラクターは「演じ分ける」必要があります。
かといって、「同じキャラ」だから、がらっと声を変える訳にもいかない。
「同じキャラ」と視聴者に思わせつつも、「違う自分」を演じ分ける。
かなり難しい要求をされてますよね。
小清水さんは、そんな演出にしっかりと応えられる技量をお持ちです。
それは他の4人のメインキャストも同じ。
特に作品の主役・明日架を演じる黒沢さんは、出番が多い分、より一段高いレベルが求められてる気がします。
明日架もシリアスカもお嬢明日架も賞金稼ぎ明日架も、ちゃんと演じ分けられていて、それでいて「明日架」してました。
凄いよね、実際。
新人さんには中々に難しい作品だと思うのです。
制作費を抑えるという理由もあるそうですが、どうしても芸歴の浅い声優さんが多く起用される傾向のある深夜アニメ。
同様に新人さんを起用してたら、今ほど嵌れていたか?
ifの話をしても仕方ないですが、メインに芸達者さん達を集めてくれているところに、今作の本気度が透けて見えるんです。
声優さんの演技を楽しむということも出来るアニメです。
終わりに
話数を重ねるごとにキャラが愛しくなるそんなアニメです。