この記事は
地方に抱くイメージの変遷。
アニメからも感じ取れるんじゃないかなという記事。
「きんぎょ注意報!」見ていて
マイブームになりつつあるアクトビラ。
「きんぎょ注意報!」まであったので、早速視聴しました。
オープニング曲がもう滅茶苦茶懐かしい。
小学生低学年くらいだったかな?もっと小さかった?
その頃のアニメなので、懐かしさだけで楽しめました。
で、で、これ見てて思ったのですが、今と決定的に違う部分がありました。
90年代前半以前と現代の感覚の違いとでも言うのかな。
今回はその違いに関しての短い記事です。
1990年前後の「地方」に対する見解
何が違うかというと「田舎(地方)の描き方」ですね。
その前に「きんぎょ注意報!」の導入をさらっと書いておきます。
藤ノ宮千歳は、「都会ノ学園」に通うお嬢様だったが、実業家の父親の死により財産を失い、唯一家宝であり幸運を呼ぶピンクの空飛ぶ金魚の「ぎょぴちゃん」だけを連れて「田舎ノ中学校」に転校する。
その田舎ノ中学は廃校寸前の貧乏中学で、牛や鶏などが生徒として机を並べる田舎ノ中学とその中学に通う奇妙にエネルギッシュな生徒たちという環境に、千歳はこれまでの生活との激しいギャップを感じる。
しかし、ひょんなことから弁護士である田中山が父親の遺産をくすねていた事が発覚し、千歳は田中山から遺産を取り戻す。
その遺産で都会ノ学園に戻ることもできたが、千歳はその遺産で田舎ノ中学を建て直して「新田舎ノ中学校」とし、その理事長兼生徒会長になった。
新田舎ノ中学校を都会ノ学園に負けない知的で品のある校風の学校にしたい千歳だが、生徒は相変わらずで、手を焼く毎日を送るのだった。
さて、その新田舎ノ中学校の毎日や如何に!?(wikipedia)
という事です。
これを読んで頂いても分かるように、
都会=金持ちの住む所
田舎=貧乏人の住む所
という等式が成り立っているのが分かるかと思います。
作中ではこの2校は何故かご近所という設定になっていましたが、現実に当て嵌めると
都会=東京近郊
田舎=地方
と見做せるのではないかと思うのです。
同じような等式を用いている作品を僕は一つだけ知っています。
鳥山先生の代表作「Dr.SLUMP(アラレちゃん)」です。
これも「きんぎょ注意報!」同様の等式を用いていて、そのようなエピソードが豊富に描かれています。
勿論どちらもギャグ作品ですので、極端にデフォルメされているのは事実でしょう。
しかし、この頃の人達にとっては一般的な観方であって、特別誤った解釈では無かったのでしょうね。
どちらの作品も広く受け入れられていたという現実もそれを後押ししている…というと大袈裟でしょうか。
ちょうど昭和バブルと重なっていた時代ですので、この好景気がよりこのような観方に拍車を掛けていたのかもですね。
現在の「地方」に対する見解
都会=金持ちの住む所
田舎=貧乏人の住む所
この感覚。
現代人には理解できないものと思います。
確かに自治体レベルの予算で比べれば、未だに首都圏と地方では差が見られるのでしょう。
でも、一般家庭レベルにまで目線を下げれば、上の等式がオカシイと誰でも思うはずです。
都会に住もうと貧乏な家庭は貧乏ですし、地方に暮らしていても裕福な家庭だってある。
住んでいる場所で大きく貧富の差が出るなんて考えは無いはずで。
だから現在、地方を描く時に使われるイメージは昔と全く違いますよね。
心のゆとりや懐かしさ等。
都会の喧騒を忘れさせてくれる穏やかなイメージ、そしてノスタルジーを掻き立てるモノとして使われている事が多いように思います。
これは時代背景も勿論ですが、作品の対象年齢も影響しているのかもですね。
「アラレ」も「きん注」も原作となった漫画はそれぞれ少年誌、少女誌連載です。
当然そのアニメ版も原作と同じ年齢層(以下)をターゲットにしていたと思われます。
現在では、アニメの大半が深夜に放送されているという実態から深夜アニメに絞って考えると、殆どの深夜アニメのターゲット層は10代後半から30、40代くらいになるのでしょうか。
少なくとも「アラレ」らよりかは、グッと上の年代をメインに据えて作られている。
だから郷愁を誘う様な見せ方になっているとも考えられるんじゃないかなと。
兎も角、今では地方は癒しの場所として描かれている事が多いように感じます。
日常系のアニメ作品で地方が舞台になる事が多いというのもあるのでしょうね。
来期も「夏色キセキ」がこの枠になるみたいですし。
都会での生活に疲れた現代人(というか都会に住む人々)が地方に癒しを求めている。
そういう世論(?)が反映されているのかも。
まぁ、地方に行ったら行ったで都会と殆ど変らんと思うのですがw
地方には都会に無い大変な面がある筈ですしね。
追記
「カトゆー家断絶」さんがこの記事に対するコメントをくれていました。いつも取り上げて下さりありがとうございます。
内容は「田舎は貧しいけど精神的に豊かで都会は物質的に恵まれてるけど…みたいな描き方がスタンダードだったかも。 」との事。
アラレがこの描き方をしていたような気がしますので、転載させて頂きました。(きん注に関しては覚えてないです)
この観点で見ると、昔も今もさほど変わっていないのかもですね。