「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」 かえでが残してくれた大切なモノ

この記事は

アニメ「青春ブタ野郎」最終回の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

放送始まる前は話数に不安感を持っていましたが、終わってみれば実に見事な構成で感服でした。
最終回もAパートのかえでの日記の部分でまんまと泣かされました。
いや~あれはダメですわ。
途中からかえでの声に切り替わるのは反則だわ~。
原作読んで知ってたのに、涙を禁じ得ない。

かえでを喪った咲太の悲しみを痛切に感じます。
掛け替えのない2年間を共にしたのですからね。
なんだかんだヒロイン達が救われてきた物語だから、余計にかえでの喪失が際立つんですよね。
何故彼女だけ…。

原作読んでても辛くて、過去にはそれをそのまんま記事にしたこともあります。
かえでと花楓の「統合」という結末でも良かったんじゃないかと何度思ったことか。

僕にとっては、間違いなくバッドエンドだった「おるすばん妹編」。
今回アニメ最終回を見て、その考えが一転したので、急遽予定を変えて記事にしてみます。
(本当は31日更新で別記事を用意してました。そちらは年始に回して、これが今年最後の記事になります。)

かえでが存在した確かな証が欲しかった

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©青ブタProject

花楓の最後の台詞「わたしはひとりじゃないもん」。
2つの意味が込められている台詞ですよね。

1つは、記憶の無い2年をかえでの日記で知った花楓の咲太への感謝の言葉。
尽くしてくれた兄がこれからも一緒に居てくれるという信頼の言葉ですよね。

2つ目は、かえでの事を言ってる筈です。
自分が”眠っていた2年間”を生きてきたもう1人の自分。
かえでのことを正しく認知した花楓が、自分の中で生きているということを兄へと伝えたのでしょう。

花楓のこのたった一言が、かえでの存在を肯定してくれていて、救われた気分になっているのは事実です。
けれど、そういうふんわりとした抽象的な概念ではなくて、もっともっとしっかりとした形で残ってると良いですよね。
それは日記以外で…です。

そういう「形」が残ってれば、ああ、かえでが確かに実在していたんだなということが改めて認識できるし、しかもそれが花楓の為になってたら、彼女の中にかえでが居ることの証左になるじゃないですか。
で、その「形」が残っていることに漸く鈍感な僕は気づけました。
アニメ版ありがとうございます。

かえでは花楓の中に息づいている。

かえでが学校に行けない「おるすばん妹」になったのは、かえでだけの心の傷でしょうか。
否、ですよね。
もし、かえでが生まれなかったら、この2年間花楓も同じようにおるすばん妹になっていたはずです。
だって、学校に行けない原因は、花楓の頃に受けた傷にあるのだから。

花楓は「学校に行きたくない」という想いを抱えたまま、眠りについて、かえでとなりました。
そして、またかえでが眠って、花楓が起きたのですが…。
花楓の中で本当に「この2年間」が無かった事になっているのなら、「学校に行きたい」なんて言えるでしょうか?
否、否ですよ!!

いくら2年間にあったことを、気持ちを、かえでの日記で知り得たとしても、だからといって「じゃあ、行こうか」ってなりませんよ。
そんなに簡単じゃない。
これは「小説や漫画で頑張って登校してるキャラ」を見た学校に行けない少年が、「キャラも頑張ったのだから、僕も学校に行ける」と一念発起する行為に近い。
こんな簡単に心の傷が解決するなら、2年もの間苦しんでないですよ。

文字情報として、かえでの気持ちを知ったから「学校に行きたい」となれた訳では無い。
皆無って訳ではないでしょうけれど、それが全てでは無いし、決め手にはなり得ないかな。

記憶としてかえでのことが残って無くても、経験が身体に蓄積されてるんじゃないかなと思ったのです。
って、経験も充分抽象的な概念と言える気もしますが…。
かえでの気持ちが花楓の中に残っていて、だから、決意こそ必要としたモノのはっきりと想いを口にできたんじゃないかな。

かえでが頑張って頑張って、辛いことを乗り越えて、踏み出した一歩。
登校への確かな軌跡。
それは決して無駄になんかなってないんですよね。
間違いなく花楓の中に息づいていて、故に、花楓も「学校に行きたい」と言えるようになった。

当時は考え付けなかったことですが、最終回を見て、こういうことを思えるまでになりました。
かえでは確かに花楓の中に居るんですね。

終わりに

劇場版の公開時期が少しだけ判明しました。
初夏ですか。
少し先だな~。

今回のかえで編から直結したお話になります。
翔子の謎が明かされます。
咲太の傷の謎が解き明かされます。
これまでの全ての伏線が回収される第1部完結篇。

TVアニメシリーズを少しでもお気に召しましたら、是非劇場に足を運んでほしいです。
原作ファンの1人として、このスタッフならきっと素晴らしい作品を届けて下さると信じております。
楽しみです。

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