「ダンまち 英雄譚 アストレア・レコード 2 正義失墜」感想

この記事は

「アストレア・レコード」第2巻の感想です。
ネタバレあります。

圧倒的な絶望感からの中編

正義vs純粋悪。
オラリオ史上最大の戦いを描いたこの外伝も中編に突入しました。

まさか1巻であそこまでどん底に突き落とされるとは夢にも思わなかったので、2巻で何を描くんだと疑問だったのですけれども。
サブタイトル通りのストーリーでありました。

感想です。

正義失墜

ウルトラマンなどのような規格外のヒーローとは異なり、姿かたちは多少違えど、同じサイズであるならば、敗れた正義の行く末はあまりにも酷なモノとして描かれるのですね。

最近では「僕のヒーローアカデミア」にもあったように、守るべき人達から向けられる憎悪。
力を持たない人間たちの身勝手な悪意を凝縮した苛烈なお話だった。

やはりこのシリーズは悪役が本当に憎らしく描かれている。
どうすればここまで悪辣な作戦を思いつくのか。
大森先生、恐ろしい人やで(違

閑話休題。
1巻では、主に圧倒的な暴力で蹂躙する姿が描かれ、この2巻では精神的にジワジワと追い詰めてくる。
人間の本質は悪であると考えていなければ、このような作戦は採れなかったでしょうに。
エルボスが人間をどう捉えていたのか窺えます。

それなのに、何故「正義」を問うのか。
邪神の戯れなのか。
それとも…。

さて、エレボスが求める正義。
それについて考えを巡らす人々。
アストレアが言うように正義なんて星の数ほどあって、絶対的なものが無いというのは、まさしくリアリストとしての答えですね。
その通りだと思います。
下手に「正義とは」と「答え」が出されても違うなぁと感じるでしょうし。
アリーゼが答えを出せなかったことも然りですね。

正義を標榜しても、全てを救えるものではない。
自身の力と現実を見据えて、誰しもが辿り着く「限界」。
今回リューがそんな限界に直面し苦しみましたけれど、あるいはベル君だったならどうだっただろう。

エレボスからトロッコ問題を出されて、彼は逡巡しただろうか。
しなかっただろうなぁ。
どちらも救って見せると策も何もなく、愚直にまっすぐに行動してた気がします。
1つ思ったのが、ベートなら潜んでいたヴィトー共々エレボスをぶっ飛ばしていただろうなってことかなw

さてさて。
役者が揃い、敵の策の全貌が暴かれ、いよいよ最終決戦。
勝てる気が全くしないのだけれど、不思議とフィンの鼓舞を読んでると楽勝なのではとも感じるから不思議ですw

終わりに

こういう時に無鉄砲に誰しもを助ける存在がいないと読んでいて辛いっすね。
ベル君がいないから成り立つお話…というとなんか変ですけれど、でもそう感じました。

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