宣伝詐欺?いいえ、宣伝通り!! 「ベイマックス」 感想

この記事は

「ベイマックス」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

感想

ディズニーのアニメ映画「ベイマックス」を先程鑑賞して参りました。
鑑賞前はポスターの情報くらいにしか目を通していなかったので、少年とロボットの心温まる交流を描いたヒューマンドラマかと勝手に想像してました。
全然違いました。
いや、全然という事は無いけれども。
少なくともヒューマンドラマという枠内に収まる映画では無かったですね。

調べたらさもありなん。
まさかマーベルコミックを原案としていたとは。
アクション満載の笑いあり、涙ありのディズニーらしいエンタメ映画でした。
泣くまではいかなかったですが、ホッコリ出来るこの時期にピッタリの映画でした。
と、カップルのひしめき合う中、1人で見に行った独り身のオッサンが言ってみる。

さ、さびしくなんか orz

逆転の発想

ロボットが出てくると、大抵ロボット三原則がストーリーの基盤に組み込まれます。
今作もそうであり、ベイマックスは特に

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない

を突き詰めた「人を癒すロボット」。
傷ついた心や体を癒し、決して人を傷つけない。

これを可能としているのが心臓部でもあるメインプログラムでした。
主人公ヒロの兄であるタダシがプログラミングしたそれには、「多くの人を癒したい」という優しい気持ちで出来ていました。
見た目通り戦闘能力も無く、ヒロが扉を壊すように指示してもポコッという可愛らしい効果音が出てしまう可愛らしいパンチしか出せない。
多分小動物でもダメージを負わないんじゃないかな。

ゆるふわを体現したようなボディと心を持ったこの優しすぎるロボットは、しかし復讐の道具にされてしまいます。
ヒロによって空手をインプットされたり、ロケットパンチなど武器が仕込まれたボディスーツを着けられたり。
「人を傷つけないケアロボット」を「人を殺せる兵器ロボ」に改造しちゃいました。

これまた良くある展開で、どんなに安全なロボでもそれを操る人間によっては、ロボット三原則を破ってしまうという王道をこの作品も辿っていました。
復讐に憑りつかれたヒロが、無理矢理タダシのプログラムをベイマックスから取り除いて、止める仲間を傷つけさせちゃう。

この後タダシの想いを知ったヒロが反省し、人を助ける行動を取るんですけれど、この辺りの下りもまた王道なんですよね。
グッと惹かれる部分では無かったんです。
僕が惹かれたのは、この後でしょうか。

「人を傷つける為の兵器」を「人を助ける為の奥の手」として使用されていた点ですね。
マジンガーZが使っていた頃より存在してきたロボット必須技のロケットパンチをこういう風に使うとは…。
人命救助としての使用は今作が初めてという訳では無いかもしれません。
けれど、「必殺技」のイメージしか無い武器で、人を助ける。
このアイディアは凄かったです。
まさに「使う者次第」だなと。
このシーンに於けるヒロとベイマックスの別れは切ないものでした。
「ベイマックス、もう大丈夫だよ」という停止命令を全然大丈夫じゃないのにヒロが言わなければならない状況を演出したロケットパンチ。

この命令を聞かない限りはヒロと離れられないという設定が、ここに来て「この命令を聞かないとロケットパンチを飛ばせない」という状況を作っていて、設定の上手さとロケットパンチを人命救助に使うという逆転の発想に痺れました。

まとめ

調べてみたら、日本での宣伝はどうも「心温まる感動のゆるふわドラマ」というイメージを植え付けるようなもので合っていたようですね。
僕が受け取ったイメージそのままの宣伝戦略だったようで、これを以て「宣伝詐欺」ではないかと一部では言われているとかいないとか。
確かにあの宣伝からは、バリバリとハリウッド超大作と比肩しうるアクション満載の作品という側面は見受けられない。

けど、詐欺とは言えないですよ。
「心温まる感動のゆるふわドラマ」というのは、作品の本質をしっかりと捉えたもの。
アクションの全てがここに収束するよう練られているから、心優しいケアロボットと少年の心温まる交流を描いた映画という総括で締めくくれます。

少年とロボットの交流と大迫力のアクション。
そしてベイマックスのゆっくりとした、それでいてホッコリする可愛らしい仕草を堪能しました。
良い映画でありました。

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