アニメ「べるぜバブ」の結末から邪推するアニメ界と漫画界の悪い関係

この記事は

アニメ「ベるぜバブ」見て、あんまりな展開だな〜と感じた事を書いた記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

原作の「悪魔野学園編」

ジャンプで読んでいる「べるぜバブ」。
連載では修学旅行編に入っていますが、その一つ前のシリーズが悪魔野学園との抗争を描いた長編でした。
焔王との一連の戦いに終止符を打ったシリーズでした。

これがもう急展開だったんですよね。
打ち切りが決まったかのように、展開に物凄い巻きが入って、最終戦だというのに非常にあっさりと纏められました。
一体何だったのかと思ったほどです。
当時の目次での作者コメを読むと、作者の意図しない理由で仕方なくそうなったようにしか取れなかったのです。
(「今年も有難うございました。少し急ぎ足の本編ですが来年も宜しくお願いします」(WJ2012年3・4合併号より))

程なくして、これの理由だと思われる事が分かりました。
日本テレビ系列で日曜朝7時から放送されていたアニメ版の終了が告知されたのです。
僕は勝手に納得しました。
アニメの尺に合わせて、原作が長さを調節したのではないかと。

丁度アニメも悪魔野学園との戦いで終われそうなペースでしたので、辻褄が合うな〜と。

そう思っていたのですが…。

アニメの「悪魔野学園編」

途中までは原作同様でした。
悪魔野学園建立が石矢魔の連中に発覚し乗り込み、アギエルと邦枝が激突。
一方、聖石矢魔にジャバウォックが襲来し、ヒルダが拉致される…。
と、この辺りまではほぼ忠実にアニメ化されていたのではないかな。確か。

この後が改変されていました。

原作では、ヒルダはそのまま拉致されて最終決戦へという流れになったのですが、アニメでは謎のパワーアップをした男鹿がヒルダを奪還。
その勢いのまま、ジャバウォックを倒してしまい決着という…原作以上に「ジャバウォックって何?」な強引な展開に。

とはいえこの程度の改変ならば、まだ可愛い方だと思います。
かつてのジャンプアニメ「封神演技」に比べれば、大抵のジャンプアニメの改変は可愛く見えます(笑
(「封神」は藤崎先生の希望でああなったという噂を耳にしたことありますので、ここで例として出すには不適切かも)

んでも、僕が解せないのは、最終回間近にまでオリジナルエピソードを挿入して尺稼ぎしていた点です。
実質オリジナルだった51話から最終回直前の57話までをアニメオリジナル回としていたのですよ。
ちなみに最終回(第60話)も完全オリジナルでした。

この8話をきちんと原作準拠のシナリオにしていれば、原作通りの決着を描けていたのではないでしょうか。
ヒルダの記憶回復回りは改変しなければ尺に収まらなかったとも思いますが、でもその程度で済んだような気がするのです。

漫画界とアニメ界の関係に関して

結局僕が酷いと感じたのは「原作がアニメ終了に合わせてシナリオを変えざるを得なかった」と思っているからです。

原作のシナリオを駆け足気味にしておいて、原作準拠で描かなかったアニメ版はヒドイな…と思ったのです。

原作の展開とアニメ終了に因果関係が全く無かったとしたならば、難癖もいい所です。
ただのクレームですよ。自分の事ながら最低だと思います。

悪魔野学園編の本誌掲載が11年末から今年初めという事を考えても、制作が間に合わなかったとも考えられます。
従って、オリジナルにするしか無かったと考えるのが自然であって、原作の急展開はアニメのせいでは無かったのかもしれません。
アンケートの結果が芳しくなかった為、予定を変えて早めに切り上げた…のかもですし、全く別の事情があったのかもしれない。
コミックスを買っていないので、そっちに事情が書いてあるのかもしれないですし。
実の所僕には本当の理由なんて分かりません。

でも、こんな邪推をしちゃうのは、昔っからアニメと漫画の悪い関係があるからなんです。
アニメ化というのは、やはり漫画にしてみたら嬉しい価値あるモノなのだと思います。
作品によって差があるものの、コミックスの売上にも影響が出ますしね。
下世話な話、その他のロイヤルティーを考えれば、商売としての旨味が凄いでしょうし。

でも、いい加減アニメに引っ張られるのだけは止めて頂きたいですね。
アニメが人気だからという理由で原作を無理矢理長期化させたり、原作者をアニメ制作に参加させたり。

前者は例を挙げればキリが無いですよね。
商業作品なのである程度は仕方ないにしても、最近はいくらなんでも引っ張り過ぎな作品がゴロゴロしています。
作者が描きたくて描いている場合は良いのですが、そうじゃない場合(編集者主導で長期化させている場合)は、引き際も見定めて頂きたいですし。

後者は、ジャンプ作品に関してですね。
「BLEACH」と「NARUTO-ナルト-」。
どちらも映画に「原作者総指揮」としてガッツリ関わっている。
これも作者本人の希望ならば、良いと思います。
そうでは無くて、”「ONE PIECE」の成功に肖っている”だけならば…。
週刊作家はただでさえ負担の多い職業です。
より負荷を掛けさせるこれらの事が常習化されなければ良いなと思うばかりです。

アニメはアニメ。
漫画は漫画。
全く別の分野です。

この2つにはより良い関係を今後も維持して頂きたいですし、片方がもう一方に悪影響を及ぼすような事はして欲しくないと思うのです。
作品は商品でもある以上、大ヒットすれば少しでも長生きさせたいと考えるのは当然だと僕にだって分かります。
でも、無理矢理延命すれば、作品としての価値もまた下がってしまう恐れがある事も事実ではないでしょうか。
作品は商品でもありますが、芸術でもありますしね。

連載10周年というちょっと前までは本当に一部の作品でしか成し得なかった事が、最早通過点でしか無いのではと思える現状の漫画界を見て、色々思うのです。
昔の話ですが、一つの漫画の連載を終わらせるかどうか決める為だけに、関連会社間で会議が開かれるって一読者からすると異常としか思えません。
大ヒットしちゃうと作者一人の権限ではどうにもならない事になるという現実が酷いなと。
あくまで作品は作者のモノですし、作者が自由に描きたいものを最後まで描けるようになれば、我々読者ももっと楽しめるのじゃないかなとか。
そう思うのです。

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