「ぼくたちは勉強ができない」水希をハッピーエンドにする為の物語

この記事は

「ぼく勉」の感想になります。
ネタバレ満載。

ジャンプがヤバい

つい少し前に「2020年のジャンプは大丈夫」という内容の記事を書いておいてなんですが…。
ジャンプヤバくない。
しれっと「ヒロアカ」と「幽奈さん」も最終章感を漂わせて来てるんですけれども。
聞いてない、聞いてないよ、これは。
もしこの2作品も終わるようであれば、連載陣の顔触れは連載開始順で
「ワンピ」、「ブラクロ」、「アクタ」、「呪術」、「チェンソー」…
となる訳で。
ここに思い出したように偶に「ハンター」が加わるとはいえ…これはヤバイ。
流石に「ヒロアカ」はどうやっても年内に終わるようなことはないでしょうけれど、とはいえ、もう1本は柱となる作品が早急に欲しいところですね。

ここまでがネタバレ対策。
という訳で、「ぼく勉」のお話に映ります。

いよいよクライマックスもクライマックス。
残すところあと数話という段階にまで来ていそうです。

うるかから告白をされ、うるかとの出会いを振り返り、自分の気持ちに整理をつけた成幸。
物語は卒業式当日を迎えます。
その日、うるかが搭乗予定の飛行機が飛ばなくなり、午前中の便で立たないといけなくなるというハプニングが発生。
卒業式に出る事すら難しい状況になりました。
はたして、うるかと成幸は「お別れ」出来るのでしょうか?
はい。どう考えてもうるかエンドです。
むしろこれでうるかエンドでなかったら、大暴れしちゃうゾ。

個人的にまさかうるかが選ばれるとは信じられていなかっただけに、この展開は本当に嬉しいのです。
正直に言えば、ヒロインみんな可愛い。
誰が選ばれてもそれはそれで良いかなという気持ちもありました。
そんな中でも、やはりうるかが一番好きなことには変わりなく、彼女の初恋が報われることを願ってはいました。

トリプルヒロインという位置付けになってはいましたが、そうはいっても第1話には登場していなかったうるかです。
理珠、文乃より一歩出遅れてる感があって、2人には勝てないのではないかとどこかで諦めがあったのです。
だからこその「まさか」であったのですが。

でもでも、しっかりとしたドラマ性を持たせている「ぼく勉」において、「まさか」は無かったのですよね。
うるかが選ばれる必然性はしっかりと描かれていました。
少なくとも第98話の時点で確定していたのでしょう。

巻頭カラーは重要回

成幸攻略に於ける最重要事項は何か。
本人に好きになってもらうというのが、一般解ではありますけれど、こと成幸に於いてはそうじゃないと考えています。
むしろ成幸に好かれるなんて言うのは前提中の前提。
その上で、水希に許されないといけません。

この妹、作中での扱い的には完全にギャグなのですけれど、兄を慕う気持ちはガチです。
成幸に彼女が出来ようものなら本気で彼女を抹殺にかかるでしょう。
少なくとも、兄の前でギャン泣きは必至です。

父を亡くして以降、人一倍家族を大事にしてきた成幸が、自分が彼女を作ったばかりに妹を悲しみのどん底に突き落としてしまったと分かったらどうするでしょう。
いくら母や末弟たちから「自分の幸せを大切に」と説かれてはいても、水希の気持ちを優先しちゃう気がするのです。
兄が好きだからこそ、兄の幸せを想って一歩引くのが普通の妹だとは思いますが、兄の正妻であることに強いこだわりを持っている水希に常識は通じません。
まず間違いなく祝福する立場はとれないことと思われます。

だからこそ、水希に許されることは絶対重要事項なのですよ。
この点に於いて、ただ1人クリアしていたのがうるかでした。
連載2周年記念巻頭カラー回となった第98話。
この回で、うるかと水希が作中で初めて顔を合わせました。

2人は過去に出会っていたことが判明します。
しかもこの時点で水希のうるかへの好感度はかなり高めです。
同じ水泳部に所属し、水泳選手としてうるかを尊敬しているのが見て取れます。

僕は最近まで2人の関係は、中学時代の水泳部の先輩後輩かと思ってたのですよ。
3つ違いなので同時期に部に所属することは無かったものの、成幸を介して同じ部活の後輩としてうるかを慕っていたのかなと。

とんだ思い違いをしてたのですね。

何故水希はうるかを慕っているのか。
この疑問が成幸とうるかの「最初の思い出」に絡んでいようとは。
凄くうるからしいし、2人の今の関係性も自然と受け入れられる納得の回想でした。

この回想のポイントは、まだうるかが成幸を「ただのクラスメイト」としてしか認識してない点ですよ。
これが意識してからだと、どうしても計算高さが透けて見えちゃうじゃないですか。
うるかにその気が無くとも、「将を射んとすれば」理論で水希攻略作戦という穿った見られ方をしかねません。
そうではなく、全然異性として意識していなかった時に、本当に純粋な親切心から成幸を笑顔にするために動いてくれた。
単純なだけに純粋で綺麗なうるかの性格が見て取れる好エピソードです。

そしてこれが水希攻略に於ける最後のポイントにもなるんじゃないかなと見ています。
成幸を誰よりも愛してやまない水希にとって、うるかは尊敬する先輩であっても、兄が関わると話は別なのです。

武本先輩であれ、お兄ちゃんは渡さないオーラが半端ありません。

水希がうるかの気持ちを知ったら、先ずどう考えるでしょうか。
想像の域は出ませんけれど、5年前に自分に近づいた目的が、兄の気を引くためではないかと考えてもおかしくはありませんよね。
嫉妬にかられると冷静な思考が出来ませんから。
もしそうなった場合は、そうじゃないよと水希を納得させないといけません。
うるかが兄目当てで水希に近づいた訳では無いことを説明するうえで、5年前時点のうるかの気持ちを描いておく必要性があったのでしょう。

純粋な親切心で自分を立ち直らせてくれた。
今は尊敬する先輩。
大好きな兄を大好きでいてくれる女性。
ここまで並べられると、流石の水希も折れるしかなくなるのかなと。

実の兄妹での恋愛を良しとする作品であれば、水希にとっての最高のハッピーエンドは成幸を射止める事になります。
今作は兄弟感の恋愛を肯定も否定もしておらず、一切触れていませんが、だからこそ、「それは無し」というスタンスだと見受けます。
ならば、水希にとっての現状最高のハッピーエンドは、うるかと兄が結ばれることしか無いと思っています。

妹を悲しませない唯一の選択肢。
うるかエンドは、必然であったと言えるのかもしれません。

終わりに

巻頭カラーは重要な回になることが多いよねということを改めて感じました。
98話以前は誰と結ばれても良いような作りになっていたと思いますが、この回で方向性が決定されたのかなと。
水希も大好きなだけに、彼女が泣かない(泣いても立ち直ってくれるであろう)エンドになりそうなのも、僕にとっては嬉しいことでした。

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