この記事は
「ドラえもん」の「地球破壊爆弾」に関する考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
子供の頃読んだ「ドラえもん」の漫画。
と言っても、藤子F先生の描いた原作では無く、別の漫画家さんの描いたものです。
なんだったかな?「RPGドラえもん」?
関連書籍の「ドラえもんクラブ」(の企画ページ)だったかな???
ちょっと何の本だったかは忘れましたが、そこで衝撃を受けたのです。
「地球破壊爆弾」に。
ドラえもんが、地球を破壊できる爆弾をよりによってネズミを退治するためだけに使おうとしていた。
という事を知ったのです。
いや〜衝撃でした。
って事で、「地球破壊爆弾」に関しての記事。
基本知識
基本知識から。
てんとう虫コミックス版第7巻収載の「ネズミとばくだん」の中で、ネズミの出現に狂乱したドラえもんが四次元ポケットから取り出したひみつ道具ですね。
(画像は拾い物です。)
とはいえですね、この話を読まない事には記事も書けないだろうという事で、先日漫画喫茶で読んできました。
いや。うん。
ドラちゃんをプッツンさせちゃダメだという事が分かりましたよ。
この道具の他にも、戦車を吹っ飛ばす威力の「ジャンボガン」、ビルも溶解する「熱線銃」なんかを出しては、のび太とママに手渡していました。
のび太らに渡した道具も十分凶悪ですけれど、やはり「地球破壊爆弾」には敵いませんね。
では、ドラえもんは、こんな物騒な物をどうやって手に入れたのでしょう?
入手ルートを考察
ドラえもんがひみつ道具を入手するルートに関して調べてみました。
先ず、「ドラえもん百科」(「方倉設定」と呼ぶらしいので、以下そう呼称)では、
ドラえもんの製造時からポケットに組み込まれていた物
もあると設定しているようです。
ただ、この方倉設定がどこまでオフィシャルなのか不明なので、今回は保留。
最初から「地球破壊爆弾」がセットされていたとか嫌すぎますしw
ドラえもんは、そんなロボットでは無いので。
他の入手先というと、未来のデパートでドラえもん自らお小遣いで購入したものとレンタル品の2つがあります。
「ドラえもんひみつ道具完全大事典」では、藤子F先生が「ドラえもんのひみつ道具の3分の2はレンタル品」とも言われていたらしいです。
この事から、ドラえもんの持つひみつ道具の大半はレンタル品だと判断します。
では、「地球破壊爆弾」はレンタル商品なのでしょうか?
答えなど出ませんけれど、少し考えてみます。
結論から書きますと、レンタル品では無いと考えます。
つまりは、一般の流通に乗った商品でも無い…換言すればデパートにも売っていないのではないかと思うのですね。
根拠は2つ。
ひみつ道具の使用規則です。
以下、wikipediaより抜粋します。
ひみつ道具は個人的な用途以外に使用してはいけない規則となっている。
たとえばひみつ道具を金儲けに使うと、莫大な罰金を科せられる。
しかし、ドラえもんも金儲けしようとしたことがあった。
しかしひみつ道具の中にしかられメーターなどのお金が出る道具もあり、それらは金儲けに入るのかは不明。
道具を犯罪に使用するとタイムパトロールに逮捕される。
また「航時法」という法律により、過去の世界へ行った際、歴史を狂わせる恐れのある行為を行うことも禁止されている。
ただ、これも原作初期で恐竜狩りに行くという話がある。
しかも未来で流行っているスポーツという設定。
ここから、2つの事項を抜き出してみます。
1.「道具を犯罪に使用するとタイムパトロールに逮捕される。」
地球破壊という行為が犯罪と呼べるのかどうかは、まあ当然前例も無いですし、そもそも論として「犯罪なんて呼べる小さなレベルでは無い」とも言えて。
今現在現実に存在しているどんな武器も可愛く見えるほど、悍ましい兵器ですものね。
使用以前に持っているだけで、逮捕されても文句は言えないかと。
いくらなんでも、一般人(ロボット)がほいほいと買えたり、レンタル出来るとは思えません。
(ところで、何故「タイム」パトロールなのか…。間違え?)
2.「「航時法」という法律により、過去の世界へ行った際、歴史を狂わせる恐れのある行為を行うことも禁止されている。」
ドラえもんは、過去に来ております。
そんなドラちゃんが、地球を破壊せんとしていた。
過去改変どころの騒ぎではありませんよね。
「ドラえもん」の世界に於ける未来人にとって、タイムマシンで過去へ遡る事というのは、僕らが電車などに乗って旅行に行くのと大差無い程身近な出来事なんではないでしょうか。
セワシ君も割と簡単に過去に来てますしね。
過去への遡行がそれ程メジャーとなっている世界に於いて、「航時法」なる法律で禁止されている。
という事は、過去の世界へ行った際、歴史を狂わせる恐れのある道具を作る事自体禁止されていてもおかしくは無い気がするのです。
勿論道具も使い方次第。
どんな道具であれ、過去改変に一役買ってしまう事は十分に考えられますので、何とも言えない所ですが。
どんな使い方をしようと、地球を破壊するだけの道具は、流石に作られないんじゃないかと。
以上似たような根拠2つによって、販売もレンタルもされていないんじゃないかと思うのです。
あ。一つ補足。危ない道具であっても、実際に販売やレンタルをされてはいますね。
たまに作中でドラえもんが怒って返品に行ったりするシーンがありますし。
危険な道具が一般人に渡ってしまう事はあるみたいですが、ただ、「地球破壊爆弾」は危険すぎるブツです。
流石にこのレベルの危険物は売られないんではないかなと。
ではでは、何故ドラちゃんは持っているか?
自作だとしっくりきます。
機械に強いドラえもん。
大長編などで道具が壊れてしまうと、直したりもしてますし、そうそう複雑な物でなければ作れそうです。
道具の改造の実績もありますしね。
「地球破壊爆弾」って、ようは滅茶苦茶爆発規模のデカイ爆弾ですよね。
タイムマシンとかどこでもドアとかに比べれば、今の技術でも作れない事は無い気もします。
ま〜、作中のようなミニサイズは無理でしょうけれど。
そこは未来の技術力でコンパクトに設計して…ドラえもんならば作れそうな気がするのです。
作った理由も想像に難くないですし。
「ネズミとばくだん」以前にもネズミの出現で頭のネジが外れて、勢いで作ったとか。
こういうのは幾らでも想像できます。
何となくですけれど、未来で売られてもレンタルされても無さそうなので、自作したのかなと考えました。
ギャグ漫画の観点から名前の意義について考察
さて。
ちょっと作品から距離を取って、もっと作劇的な観点から見ていきます。
そもそも何故こんな物騒な名前となったのか。
調べてみると、連載時は「原子爆弾」という名前だったらしいです。
もうそのまんまですね。
参考:ピクシブ百科事典
当然この名前では不謹慎だという事になり、コミックスで現在の名前に変更されたようですけれど。
「原子爆弾」と「地球破壊爆弾」で、どっちが物騒かと言えば、考えるまでも無く後者ですよね。
この事は考えてはいけないらしいですけれど、敢えて考えてみます(笑
「ドラえもん」という漫画は、ジャンルで言うとギャグ漫画に分類されます。
大長編等の大活劇から心温まるようなハートフルなお話まで、その内容は幅広いですけれども、基本はギャグ。
この名称変更に関しても、ギャグの観点から見つめてみます。
すると、名前が物騒になった事でドラえもんのネズミ嫌いがより強調されたように見えます。
地球を破壊してまで、ネズミを追い出したかったというドラえもんのネズミ嫌いが浮き彫りになっていて、より物語に面白味が増した…ように僕には思えるのです。
原子爆弾も勿論凶悪な兵器です。
ネズミはおろか、被爆付近一帯に後世に渡って甚大なる被害を齎します。
大変危険かつ忌まわしい兵器なのですけれど、実在する分、特に使用されたという事実がある分、笑えないんですよね。
ちょっとブラックユーモアが過ぎる。
その分、地球破壊爆弾となると、全く印象が変わります。
少なくとも現実現在の世界には存在しませんし、威力も惑星破壊レベルという凄まじいモノ。
非現実過ぎて、ただたんに笑える名前なんですよね。
ドラえもんのネズミ嫌いという一面が強調されるし、笑いとしても機能する。
「地球破壊爆弾」というネーミングは、ギャグ漫画として非常に秀でたものであると思います。
それでは最後に、この「地球破壊爆弾」が本当に地球を破壊するほどの爆発力があるのか。
考えてみます。
「地球破壊爆弾」の威力を考察
更に調べてみると、「ドラえもん深読みガイド」という本で、
これはあくまで商品名で実際はそこまでの破壊力はないのでは
という見解もあるそうです。(参考:wikipedia)
僕もこの意見にほぼ賛成なのです。
この本を僕は読んでいないため、どのような理由からこのような結論に至っているのかは分かりませんけれど、僕自身は大長編での様子と前述の「入手ルート」から同じような結論に達しました。
「大長編ドラえもん」。
御存知、毎年公開されている長編劇場アニメーションの原作漫画です。
ドラえもん達いつものメンバーが、海や山、秘境に宇宙。過去や夢の中など様々な場所を舞台に大冒険を繰り広げる、まさしく夢に溢れた物語が描かれているこのシリーズに於いて、彼らは度重なる危機に直面します。
悪人に追い詰められ、テンパったドラえもんが四次元ポケットの中身をあれでもないこれでもないと探し回り、時には対抗手段となる武器を。
時には逃げの一手に使える道具を。
次々と出しては、なんとか難局を乗り切ったり、奮闘空しく捕まってしまったりと。
まあ、色々と面白い事になるのですけれど、このような場面が大長編には毎度のようにありました。
上にも書いたように、悪人と戦うための武器となるひみつ道具を出す事も多いのです。
僕が一番印象深いのは、やっぱり空気砲でしょうか。
なんか「またこれ〜」とか作中でも言われてた気がする位大長編ではお馴染みの武器です。
この空気砲に代表されるように、武器と言っても他者を殺めてしまう程殺傷能力の高い道具って、ドラえもんは出さないんですよね。
どんなにピンチになろうと出さない。
そこは、今作が子供向けだからというのもあるでしょうし、ドラえもん自体が「子供達に危険な武器を持たせない」という倫理観を持っているからとも考えられますが…。
が、出すだけでも良い気がするのです。
例えば、相手への威嚇としてなら使用しなくとも十分効果が見込めるでしょうし。
そんな強力な武器の代表格が「地球破壊爆弾」と言えると思うのです。
「地球を破壊するほどの威力のある爆弾」なんですよ。威嚇には持って来いです。
でも、何故かドラえもんは出さないのです。
少なくとも僕が読んできた大長編「夢幻三剣士」までは出て来なかったと思います。
2011年公開の「新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」では、同じ外見の道具(「地球破壊爆弾」かどうかは不明)が出て来たらしいですけれど、藤子F先生の描かれた漫画に限定すれば恐らく”出て来ていない”。
命の危機に晒されているのに威嚇用としても・使用候補としても出さない理由としては
1.実際に地球を破壊する力があり、どんな場面であれ使用に適さないから
2.そもそもそんな威力が無いから
の2点が考えられます。
どっちも可能性としては十分アリな気がします。
ここから先は、どうしても絞り込めません。
そこで、先程の入手ルートの考察に戻ります。
自論として、「地球破壊爆弾はドラえもんの手作りではないか」と結論付けました。
この説の上に、更に考察(妄想)を展開させます。
そもそもドラえもんが、こんな物騒な物を作った動機は何か?と考えれば、入手ルートの項でも書いたように、やっぱりネズミ駆除の為とするのが一番しっくりきます。
ネズミを目撃したドラえもんが、恐怖に駆られて一心不乱に製作した道具。
となれば、余計に動作に疑問が残ります。
頭に血が上った状態で…通常の判断が一切つかない頭で作った物が、意図した通りに動くだろうか?
動くかもしれませんけれど、動かないとした方が”出来そこない”なドラえもんっぽい。
この事に冷静になったドラえもんは気づいているのかもしれません。
だから、頭に血が上って状況判断が出来ない程パニックに陥った時(ネズミの出現時等)等にしか、この道具を取り出さないのだとしたら…。
先程の選択肢は2の方がより適している気がします。
いつもの如く、根拠のない妄想の上に妄想を重ねるという愚行ではありますが、以上のように考え結論として見ました。
更に別の観点からも補足しておきます。
入手ルートの項目で書いた「地球破壊爆弾がデパート等で売られていない理由」について考え直します。
僕は、「地球破壊爆弾」が販売品(レンタル品)で無いとした根拠として、「地球を破壊できる能力がある」という前提で書きました。
しかし、この前提が否であるならば…。
つまりは、「地球を破壊できる能力が無い」ならば、デパートで売っていても問題は無いわけです。
ドラえもんの自作説を取っても、デパート等で売られている商品説を取っても、どっちにしろ「地球破壊爆弾」に額面通りの威力があるとは考えにくいのかなと。
まとめ
「地球破壊爆弾」は、ドラえもんがネズミ駆除の為に製作したものの、その威力は殆ど無いに等しい。
ドラえもん自身その事に気づいているから、どんな危機に陥っても使用候補にすら挙がらない。
けれど、ネズミを見ると、その事を忘れて思わず出してしまう。
事は無いでしょうけれど、考えれば考えるほど面白い道具だなと。
少なくとも、ネズミ嫌いという側面をより強調する素晴らしい道具には違いないですね。