「千歳くんはラムネ瓶のなか」第6巻感想 濃厚胸やけ注意の青春譚。控えめに言って最高だった

この記事は

「千歳くんはラムネ瓶のなか」第6巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

健太っちー・フライドチキンを10数年ぶりに食べました。
脂っこいですね。
もうこの先10年くらいは良いかなって気分になりました。
子供の頃は大好きだったんだけれどなぁ。

閑話休題。

あとがきによれば前半のクライマックス。
まさにという圧倒的に濃厚なドラマがありました。
千歳以外の男子勢の恋模様に先が無さすぎて涙を誘いますが、その点に目を背けば、シリーズ最高の1巻だったと思いました。
感想です。

感想

誰もが認める「正妻」夕湖が朔に振られた。
それもチーム千歳全員の目の前で。

文字に起こせば、あり触れた。
それこそ青春もの定番のシチュエーションであり、避けては通れない王道展開。
この後の展開も推して知るべし、判を押したような物語が紡がれるものであるが、今作は全く違った。

たった1つの告白を基にして、ここまでキャラクターそれぞれの深い心情を描き切り、交錯させることで物語を紡ぎ出すとは…。
恐るべしですね。

今回特筆すべき点は、チーム千歳のメンバー1人1人の視点から、この告白事件を回顧していた点。
悠月が
陽が
海人が
和希と健太が
それぞれの立場で夕湖の告白をどう捉え、どう想い、何を感じたのか。

共通していたのは、「仲間を思いやる気持ち」。
狡い、ムカつく、卑怯…。
一度は抱えた悪感情の果てに、そんな気持ちを抱く自身を恥じ、相手を想う。
様々な意味で「好き」だからこそ、憎いけれど愛おしい。

更には、事情を知った明日風も、自身の想いを朔へと届ける。

あまりにもキャラクターの心情描画が丹念過ぎていて、ここだけで結構なボリューム感なんだけれど、さらに濃厚足らしめてたのが、やはり優空だよね。

何故、優空は朔と夕湖に対して「怒り」を覚えたのか。
彼女の過去と現在が交互に語られ、徐々にその答えが浮き彫りになってきたうえでのクライマックス。

夕湖がどんな思いで告白をしたのか。
朔は何故あんな断り方をしたのか。
2人に最も近いところで2人を見つめてきた優空だからこそ気づいた「2人の本音」の暴露大会は、圧巻の一言。

相手を想いすぎてるが故の落とし穴。
散々、チームそれぞれの想いを見て、それぞれの気持ちに感情移入をし、納得させられてきたからこそ、この落とし穴の衝撃は凄かった。
「仲間を思いやる気持ち」は尊いと刷り込まれたからこそ、そこに潜む穴に気づくことなく、まんまと優空の怒りの根源に考えが至らなかった。

 

納得だよね。
優空の怒りはご尤もだと、最終的に思っちゃったもの。
なによりも、彼ら彼女らの心情描写「だけ」で、ここまで濃厚な物語を紡げるんだなと心底驚かされました。

 

ともあれ、朔を中心とした恋模様もこれでリセットされたようで。
夕湖、優空、悠月、陽、明日風。
5人のヒロインが横一線のスタート地点に立ちました。

朔は誰を選ぶのか。
朔は誰から選ばれるのか。
後半戦に向けて期待感を跳ね上げるという意味でも、最高の物語でした。

愛が深すぎる夕湖が尊い

夕湖と優空の株がグーンと上昇した。

ここでは夕湖についてちょろっと感想書きます。
彼女の朔への愛情の深さが凄かった。
高校生とは思えないほど、人を愛してるんだなぁと伝わってくる告白だった。

偏見かもだけれど、学生の恋愛って、表層的なものしか見ずに付き合っただの別れただのしてると思っていて。
顔が良いから
勉強ができるから
運動ができるから
人気者だから
一面だけで相手を評価してしまう。
だから、別れるときはあっさりだし、長続きは滅多にしない。

朔に告白してきた女の子達も、こういう感じだったんじゃなかろうか。
だからこそ、彼はそれを嫌がり避けていたというのもあるのかなと。

でもさ、夕湖が違うのは「よくないーって思うところ」も「格好わるいところ」も「嫌いなところ」も見てきたうえで「大好き」だと言い切った点。
朔のマイナス面を含めて、きちんと彼を見てきて、その上で「大好き」という結論に達している。
これは強いよ。

さっきは5人のヒロインが横一線に立ったと書いたけれど、朔への愛情の深さは、夕湖が他の子よりも一歩も二歩も上。
優空も一緒だね。
この2人が、他3人とは段違いで抜けてると思うの。

これほどの愛の深さを知ってしまうと、どうしても応援したくなる。
個人的には陽推しで、陽には負けて欲しくないと今でも思ってるけれど、夕湖と優空も同じくらい負けて欲しくないなぁ。

 

もうさ、ハーレムで良いんじゃないかな。(作品の空気をぶっ壊す最低な提案)

終わりに

次は短編集かぁ。
どんななんだろう。
願わくば、海人が報われる系のお話が欲しいところ。
ちょっとそんな役回りだったからさ。

恋愛系で報われるというのは、些か急すぎて受け入れにくいので、それ以外の何かで…。

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