この記事は
「千歳くんはラムネ瓶のなか」第7巻の感想ですよ。
ネタバレあります。
はじめに
こういう感想を現役の作家さんに対して抱えるのは間違っていると思うのですけれど。
最近twitterですげぇ納得出来る言葉に出会ったんですよ。
「うつの原因は考えすぎること」
って。
皆が皆同じ訳では無いだろうけれど、これは1つの真理だと感じた次第。
取り合えず、ドラッグストアで売ってるような精神安定剤系のは安易に飲まれない方が良いです。
医者の処方薬でも、運が良ければ1か月以上服用し続けてじんわりと効くレベルのものしか、まだ世の中にはありません。
ドラッグストアで買える薬は、それこそ文字通り「お守り」程度の意味しか無いんじゃないかな。
うつ病経験者があとがき読んで感じたことでした。
どうでもいいですね、感想です。
意味のある停滞
いや、2章の長さよw
まさに「停滞」の名に相応しい日常が描かれていた2章が、7巻最大の肝だったんだろうね。
「停滞」を悪く捉えるのか、それとも良しとするのか。
読み手によって判断の分かれるところだろうし、正直僕自身読んでいる最中は「長いなぁ」と若干の中弛み感を覚えていました。
視点を変え、それぞれの心情を丁寧に掬い上げていくスタイルで綴られる合宿は、間違いなく「チラムネ」であり、これこそが作品の強みであったのは確か。
だけれど、それは物語が進んでいくことを前提としているものであり、今回のような「敢えて全員が進むことを拒んでいる」状態、かつ、「事件」が進行形で起こってない中では、言葉は悪いけれど間延びしていると思えるものでした。
もう少し心情描写を少なくするか、さもなくば、キャラクターを絞るか。
いづれにせよ何かしら「軽くする」必要があったのではと失礼なことまで考えておりました。
だけど、今なら言える。
これだけの分量を割いていたからこそ、3章の「対決」が劇的に映えたのだと。
台風だった紅葉
僕は2章までの段階では紅葉は、静謐な水面に投じられた小石、もしくは、それによって出来たさざ波のような存在と捉えておりました。
もう本当に見たまんま「人懐っこい皆の後輩」ポジションで、他意が無いからこそ、紅葉の言動に周囲の「先輩たち」の心にささくれを立たせていくだけの存在なのかなって。
勿論時折挿入される紅葉の「女の部分」に怪しさは感じてましたけれどね。
そう感じつつも、彼女はどこまでも誠意に対応していたからこそ、その疑心もすぐに溶けていったのですよね。
後輩の言動に、恋するヒロインズが勝手に心揺らしているだけなのかなと。
今回はそういう「繋ぎ」の回だったんだと。
そう割り切って3章を読み進めていましたら…。
最初はギャグかと思ったのですよ。笑えないギャグだなぁって。
明日風、陽、優空と3人も連続で同じように「醜態」を演じてしまったので。
なんの天丼だと。
相変わらず紅葉の「女」な描写は差し込まれるけれど、やっぱり彼女の言動には落度と言うか狡猾さが無いから、彼女自身の「策略」とは思えなくて。
けれど、どこか腑に落ちないところもあって。
少しもやっとした中での唐突な急展開。
長い長い停滞感をぶっ壊す紅葉の言葉の刃。
これは文字通り「長い停滞感」を体感したからこその衝撃がありました。
全員の「今まで通り」という強い気持ちを知った上でこの展開を知るのと、そうじゃないのとでは、受ける衝撃の大きさが違ったと思うのです。
僕は、物凄く衝撃を受けました。
まさか、紅葉がこんな子だったとは思わなかったし、なんだかんだ「最初に一歩踏み出した子が勝つ」と思っていたから。
その「最初に踏み出した子」の定義があやふやだったけど、夕湖、優空、明日風のうちの誰かだろうなと。
バスケ部2人には悪いけど。
で、「1人」以外は、仲間だからと身を引いたり、相手を傷つけないようにと「停滞の延長」上のビターエンドを迎えていくのだろうなと。
紅葉の登場が、長く続いた停滞を完全否定したという事実が大きい。
これでもう分からなくなりました。
朔を誰が射止めるのか。
(こう書くと朔に選択権が無いみたいに聞こえるのが不思議ではある…)
あらゆる面で、各ヒロインの上位互換的な面を見せた紅葉。
彼女が朔を射止める展開だってあり得る訳ですしね。
恋の物語を混とんとさせた7巻。
後半の幕開けに相応しい内容でした。
終わりに
夕湖の一人称が無かったのが不気味。
これまでの展開的に当たり前なんだけれどね。
今、唯一紅葉に対抗できるのは夕湖だけなんだよね。
覚悟完了した夕湖だけが、本気の紅葉に対抗できる…
と思ったら、悠月も本気になってきたし。
分からなくなってきたなぁ。本当に。
8巻も期待して正座待機してます。