この記事は
「名探偵コナン」の考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
円谷光彦君
「名探偵コナン」の名バイプレーヤーというと、僕は真っ先に円谷光彦君を挙げます。
なんていうのかな。
ある意味コナン(新一)以上に「見た目は子供、頭脳は大人」な少年なので、兎に角目立つんですよね。
でも、最初は彼も普通の小学1年生然とした子だった気がします。
それがいつの間にか、小学1年生とは思えない程の知識を披露する少年になっていたように思うのですね。
何故光彦君は、こういう変化をしたのか考えてみます。
少年探偵団の重要性
少年探偵団って、「コナン」という作品にとってはとても大きい存在です。
一部の大人のファンからは邪険に扱われる事もしばしばですが、僕は無くてはならない存在とまで考えております。
理由としては、広く子供達に作品を見てもらう為ですね。
「コナン」って本来は、子供受けを狙う様な作品では無いと思うんです。
殺人事件を中心としたミステリを本質の一つとしているから。
でも、「サンデー」の意向なのか、はたまた、別の思惑なのかは分からないですが、子供にも見て貰うように工夫が施されています。
長年「小学一年生」から「六年生」までの児童誌に、青山先生のアシスタント達が中心になって連載していた「特別編」が好例ですよね。
小学生1年生以上の小さな子まで、作品のターゲットは及んでいた事が窺えます。
作中の描写に於いても例えば、阿笠博士の開発する探偵道具の数々。
蝶ネクタイ型変声機、時計型麻酔銃、ターボエンジン付きスケートボード、キック力増強シューズ、探偵バッジ。
小さくなり体力の落ちたコナンが、成人の犯人達と対等に渡り合う為という名目で開発されている数々の道具達は、子供心を刺激するには十分な魅力を持ち合わせています。
このような道具を駆使しつつ、「ヒーロー」として描いているコナンの勧善懲悪物としての演出は子供に向けてのものなんではないかなと思うのです。
何度も書いている事ですが、僕はコナンは「ヒーロー」として描かれていると考えております。
(参考記事:金田一少年、コナン、燈馬 3人の高校生名探偵のスタンスの違いに関する考察)
どんなヒーローサーガにも、視聴者である子供達が自分と重ねる存在が必要な事もまた幾度となく論じてきました。
「仮面ライダー」に、必ずといって良い程子役のレギュラーが出て来るように。
(平成ライダーでは、廃れてきたお約束事ですが)
「コナン」にもそれは当て嵌まると思うのです。
その役目を担っているのが少年探偵団であるのかなと。
小学生の読者・視聴者は、そんな自分と年端の変わらない少年探偵団に感情移入しつつ、コナンのヒーローサーガを楽しめる作りになっている。
だからこそ、少年探偵団の面子はとっても重要だと思うのです。
ですが、ただの小学生だとやっていけないのが、コナン君の友達なんですよね(笑
コナンに付いていくために成長せざるを得なかった探偵団
元来17歳のコナンは、同じ小学1年生の姿になっても、光彦達探偵団を子供扱いします。
「お前ら、危ないんだからココにいろよ」
「ついて来るんじゃないぞ」
事件が起こる度に、コナン君は彼らを遠ざけようとします。
当然と言えば当然なんですよね。
子供達を危険に晒したくない・巻き込みたくないという気持ちを持っている一般的な感性の大人ならば、コナン君の気持ちは理解出来るかと思います。
でも、それじゃダメなんですよ。
ここで探偵団が素直に「はーい」と素直に言う事を聞いてたら、彼らは存在価値を失います。
もっと子供らしく好奇心に任せてしゃしゃり出て、事件の中心に食い込まないといけない。
そう言う部分が嫌だという人もいるかもですが、これは仕方ない事。
ここまでしないと、子供受けを狙って出している意味が無いと思うので。
そこで、初登場時は子供子供してた彼らの性格も、段々と「小学一年生には思えない」感じになってきました。
これは物語上の観点からは成長と見てもいいのかもしれません。
コナン君と曲がりなりにも数々の事件に遭遇し、時には危険に晒されながらも、潜り抜けて来たのですから。
子供の成長は早いものですし、度胸も知識も付いてきても不思議ではありませんからね。
ただ、作劇上の観点からすると、コナン君に釣り合う為なんでしょうね。
とはいえ、リアル小学一年生1人とコナン君が能力的に釣り合うと色々と拙いので、個々に分散させているのかなと。
先ずは元太。
誰よりも大きな体を持つ彼は、力と度胸が頭一つ出ている印象です。
探偵団の行動力を担っている。
続いて歩美。
彼女は、探偵団の原動力ですね。
歩美に惚れている元太と光彦は、彼女が居るから頑張れている面もあると思うのです。
9巻収録「歩美ちゃん誘拐事件」では、この点分かりやすく描かれていましたし。
また、時折見せる何気ない一言が、コナンや光彦の推理の手助けをしたりして、さながら名探偵の助手的位置にいる子です。
そして光彦ですよ。
コナン、灰原を除けば、彼が探偵団の頭脳と呼んでも良いと思います。
推理力という面では、やはりまだまだコナンに劣るものの、豊富な知識に裏打ちされた推理は、小学生とは思えない鋭さを放つ事もあります。
「命がけの復活」で、コナンの命を救ったのは光彦の推理力でしたしね。
このように、3人で一人前という発想で、事件の中心でも活躍させる事が可能となっているのかなと。
コナンも毎回きちんと彼らを遠ざけようとするも、結局は事件に最後まで関わらせてしまうのは、それに見合った能力を3人が持っているからなのではないか。
寧ろ、そうなるように探偵団も成長しているんでしょうね。
で。
光彦君はこういう感じの事情があって、小学一年生とは思えない能力を与えられたと思っているのですが、これが思わぬ波紋をファンの間に広げているのかもしれないという事が。
光彦君黒幕説
黒の組織のボス。
依然正体不明ですが、ボスに関しては青山先生が一つヒントを出していますよね。
「既に本名は作中に登場している」という点です。
だからか、色々な憶測がネット上などでは飛び交っています。
阿笠博士。工藤優作。烏丸蓮耶。ジェイムズ・ブラック。
等々。
まあ、阿笠博士と優作は違うと思います。
色々とそう考える根拠はあるんですが、ここでは省きます。
ジェイムズも違うでしょうね。初登場時は超怪しかったですが。
となると消去法で、この中では烏丸蓮耶が怪しいと思っていますが、コナンフリークでも無い方からすれば「誰それ?」レベルのキャラですよね。間違いなくw
たったの1エピソードに故人として名前とシルエットだけ出てきた人物なので(笑
さておきまして、この候補者の中に我らが光彦君が居るから驚きました。
最初は笑いました。なんでやねんと。
でも、あながち笑い飛ばせなくもなっているから、恐ろしいんですよね。
以前別の記事で、あの方の正体に関して考えてみたことがあります。
「名探偵コナン」 第78巻 灰原編の完結とボスの正体に関する考察
この記事内で、「ボスは子供なのではないか」という暴論を挙げました。
この自論が当たっていなくとも、少なくともこういう事が考え付くような展開をみせているのは事実であって。
とすると、光彦君が黒の組織のあの方でしたという衝撃のオチもありなのかもしれないと思ったり。
まあ、んなことしたら、ファンの子供達が怒り狂いそうですけれど。
ただ「光彦がボスかもしれない」と思われている事って、彼がファンから愛されている事の裏打ちなのかなって。
こうまで長い事引っ張っているボスの正体には、ガッカリしたくないというのが本音ですよね。
超意外な人物だったり、凄い人気のキャラだったりした方が心情的には盛り上がる。
光彦は、ボスとしての意外性もありますし、キャラ人気もある方だと思います。
少なくともガッカリ感は覚えないでしょうから、そういった意味で、期待されているのかもなと。
まとめ
実は、一番小学生らしいというか、感情移入しやすいキャラであると思うんです。
2人の女の子を同時に好きになって、思い悩んだりとか。
好きな子の前に良いカッコしようと張りきったりとか。
ちょっと怖がりな面もあるけれど、いざとなったら勇気を出して頑張れるところとか。
探偵団の中でも、子供から見ても一番愛着が湧きやすいキャラな気がして。
だから、彼が黒幕というのはちょっと嫌かな。
盛り上がるとは思うんですけれどね。思うけれど、ボスであっては欲しくない。
普通に普通の小学一年生であって欲しいし、いつまでも歩と灰原の間で揺れる恋心と葛藤して、最終的には答えを出して欲しいな。