「劇場版 名探偵コナン 隻眼の残像」ネタバレ感想 間違いなく櫻井コナンの最高到達点の一本

この記事は

「劇場版 名探偵コナン 隻眼の残像〈フラッシュバック〉」の感想です。
ネタバレあります。

札幌からお送りします

ここ10年くらい、旅先で「劇場版コナン」を見るという年一の贅沢をしています。
去年は作中舞台と同じ北海道(函館)に行こうかと計画するもやめて、別の場所へ。
で、何故か今年は札幌に来ているというね。

その上、2年振りに午前0時最速上映に行ってきました!!!
深夜テンションで感想を書きます。

上質な大人向けのドラマ

正直なところ櫻井さんの脚本には懐疑的でした。
「絶海の探偵」〜「ゼロの執行人」まで個人的な「コナン」観と少しズレていたから。

脚本と大きく内容を変えざるを得なかったという「業火の向日葵」(殺人事件のパート全てがやんごとなき事情でカットされることとなり、静野監督が現場で立て直してくれたという話を櫻井さんが語っていらっしゃいます)を除いて、「大人にも難しい」という部分の方向性が違って思えたのですよね。
最新のテクノロジーとか警察組織の体制とか。
どちらかといえば「青年漫画」を読んでいる気分にさせられていました。

原作でも誰が知ってんのよってレベルの科学知識が無いと看破出来ないトリックとか最近は特に多いけれど、それより更に一歩踏み込んだ感じ。
「コナン」というより実写ドラマ向きのネタではないかと常々感じていました。

「そういうのも許される懐の深さがコナンにはある」のは確かだけれど、ちょっと見たい方向性と違ってて。
潮目が変わったのが「緋色の弾丸」でした。
これよこれって映画だったのですよ、僕にとっては。

荒唐無稽上等。
これぞ「劇場版コナン」の世界観だなと。
続く「黒鉄の魚影」で見せてくれたのが「櫻井さんの色」と「コナン世界」完全なる融合。

「老若認証システム」という櫻井さんのアイディアと「コナン」のAPTX4869による幼児化というキーワードが結びつき、「コナンの世界観でしか描くことの出来ないエピソード」になっていました。

そんな訳で最初の印象からガラッと変わった櫻井さんの「劇場版コナン」。
今作で7本目。いよいよ極まってきたのはないでしょうか。

櫻井さんが得意としてきた「サスペンスドラマ」を全面に押して、そこに「コナン」らしさをしっかりと練り込んできた。
そういうイメージ。

証人保護プログラムとか減刑とかは「コナン」の読者ならお馴染み。
後者は「コナン」に限らず広く「刑事ドラマ」等で扱われているから、今更。
これらを絡めて、「被害者心情」にフォーカスを当てていた。

絶対的に正しい答えなんて無いこと。
安室、犯人、被害者遺族、加害者でも売った側と売られた側。
決して交わることのない姿を克明に描いている様は、まさしく「大人向けのドラマ」だったように思う。
勿論「コナンのスタンス」をしっかりと示すことで、主役の存在感を残すことも出来ていて、非常に見ごたえのあるドラマだった。
この辺は「ミステリドラマ」を多く手掛けてきた櫻井さんの真骨頂。

大和警部の描かれることのなかった過去の事件を、ここまで壮大なドラマに仕立ててくる櫻井さん恐るべし。
ちゃんと大和警部と上原刑事の物語をリンクさせてくれているから、もうどうしようもなく「コナンでしか描けないドラマ」になってるんですよ。

未だかつて無い緊張感

今回の犯人。
歴代の犯人達と比べても突出して「強かった」んではなかろうか。

拳銃の腕、蘭と張り合える格闘術と文字通りの強さを見せていたのは確かだけれど、それ以上にコナン側を追い詰めたところが歴代屈指。

大和、上原、諸伏、光彦と元太、蘭。
勿論コナンや小五郎も死にかけるレベルまで追い詰められた。
死なないのはわかっちゃいても、流石に今回はハラハラするシーンの連続。
菅野さんの劇伴が、またそういう感情を盛り上げるんだわ。
今までにないようなシリアスで恐怖を喚起するようなBGMもあって、どうなっちゃうんだこれってなってばかりいました。

そんな窮地を、コナンが、小五郎が、大和が、上原が、諸伏が。
更に言えば光彦と元太が蘭を救うとは!!
あ、櫻井さんお気に入りの灰原もちゃんとしっかりと良いところで出番があって。
これだけ多くのキャラを配置しておきながら、全員に見せ場があって、とっちらかっていない。

そのせいか犯人がクッソ強くなってましたが(笑
そこはご愛嬌でしょう。

アクション(今回のカメラアングル凄すぎた)、サスペンスを存分に堪能できました。

いざって時の名前呼び。
痺れた〜。

終わりに

大和警部と上原刑事にしか出せない大人の恋愛模様ってあるよね。
高木佐藤のアベックとは違った魅力がこのカップルにはあってさ。
その魅力がこれでもかと詰まっていて、そういう意味でも満足感高い。

あと、ガチでおっちゃんカッコいいんだわ。

コナンも主人公としての活躍をしてるし、とんでもない傑作だったと思う。

今年も何度か足を運ぶこと確定の一作でした!!

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