この記事は
「ダンダダン」第1巻の感想記事です。
ネタバレあります。
帯が盛りMORI
オカルト×バトル×アクション×ラブコメ×青春
巨弾怪奇恋愛異譚
ここまでジャンルを盛られると、詰まらない訳ないじゃないってなります。
単純にワクワクしますよね。
帯でここまで堂々と宣言されちゃうと期待しかない。
けれども、冷静に考えちゃうと、いや待てよともなる。
悪く見れば「盛り過ぎでは?」となる。
要素を詰め込み過ぎれば、どれも中途半端になってたりすることもあるし、結局何がしたいのか分からないなんてことにもなりかねません。
纏める力、見せる力が無いと、かなり無謀な挑戦なのではないか。
期待と不安。
相反する2つの感情を揺さぶる第1巻の帯の惹句。
果たして結果は―⁉
自分で言うのもなんですが、ノリが寒いね。
普通に書こう。
面白かった。
これだけの要素を詰め込みながらも、ごちゃごちゃせずに、交通整理が行き届いていて。
それでいて、どの要素も強く主張してくる。
各要素に絞って感想書いてみる。
オカルト＝幽霊×宇宙人
先ずは、オカルト要素から。
こちらは細かく分ければ、更に幽霊と宇宙人（UMA）に分類されます。
オカルト要素は、この漫画に於ける核と言い切って良いのでしょう。
作者コメントで唯一取り上げている要素ですんで。
だからガツンと印象付けたいところなので、主人公2人のキャラ立ちと綿密にリンクさせてありました。
綾瀬桃。
俳優の高倉健さんのような硬派な男が好きな、言動がガサツな女の子。
霊媒師を祖母に持っていて、幽霊を信じている。けど、見たことは無い。
オカルン。
オカルトオタクのいじめられっ子。友達はいない。
オカルンは、桃が名付けたあだ名。
オカルト現象に逢いたいだけで、幽霊は全否定。
2人が出会って、それぞれの「譲れないもの」を信じさせるために、桃はUFOを見に行き、オカルンは心霊スポットへ。
そこで、それぞれ宇宙人と妖怪に出会ってしまい、物語が始まるという流れ。
シンプルで分かりやすいよね。
オカルトと幽霊との出会い方、物語への登場のさせ方が絶妙。
主人公2人のキャラ立てとリンクしているからこその演出。
しかも、妖怪も宇宙人もキャラが濃いんだわ。
オッパイ吸わせるから、イチモツ吸わせろとすごんでくるターボババア。
見た目のインパクトもさることながら、要求が怖すぎる。
思春期の男子ならずも、男なら全力全開で逃げ出したいことを言ってくる。
それなのに逃げたら最後。
幽霊なのに健脚、ババアなのにターボで走るという矛盾だらけのババアに駆けっこで負けると呪われてしまうという。
あまりにも理不尽。
一方の宇宙人もヤバイ。
見た目は、「GANTZ」とか「進撃の巨人」を彷彿とさせるいかにもな奇妙・奇異なモノ。
一目でヤバすぎると鳥肌が立つ系統の見た目。
そんなのが束になって追ってきて、服を剥いで、SEXしましょうとかのたまってくる。
決め台詞は「バナナ（性器）をください」。
こんなのが同時に出てきて、主人公たちを襲うのだから、嫌でも目立っちゃう。
強烈過ぎるインパクトを残してくれちゃって、お陰で今日は悪夢を見そうです。
バトル×アクション
ごくごく一般的なJKと男子高校生。
漫画のヒーローのような特殊な能力は持っていなかった。
最初はね。
宇宙人のお陰なのか。はたまた血筋なのか。
超能力を開花させた桃。
一般的に念動力ってやつ。
桃曰く「生物、無機物問わず内部にある炎（オーラ）を掴んで、ごく狭い範囲内を動かせる」というもの。
一方のオカルンは、何処まで行ってもどこにでもいるオタク。
けど、ターボババアに駆けっこで負けて呪われてしまった。
呪いは、ターボババアみたいになっちゃうこと。
見た目も能力もイチモツを狙うところも。
最も継承したくないところを引き継いじゃうのが呪いの呪いたる所以か。
面白いのが、2人の関係性。
桃の超能力で、オカルンの呪いを制御出来るというところ。
オカルンの中の”呪いの炎”を全力で”掴む”ことで呪いを抑えられるし、”掴む”力を若干緩めれば呪いの力を利用して戦いに使える。
とはいえ、これだけだと正直勝負にならない。
相手は妖怪に宇宙人。
人外の化け物連中だ。
ちょっとだけ特異な力を持ってても、所詮は普通の高校生2人。
どうやって化け物と戦って勝ちを収めるのかが、この漫画のバトルとアクションの見せ場と言っていい。
剣だの銃だの直接的な武器も無く。
体術を極めても居ない。
気功波などの特殊な技を使える訳ではない。
バトルに向いているとは言い切れない超能力と制限のある呪いの力。
知恵と勇気と男気を武器にした2人の戦い方は、不器用だし派手さに欠けるし、格好良いとは言い切れない。
でも、そこが良い。
泥臭く、挫けることなく何度も立ち向かう姿は、ついつい応援したくなる戦い方だ。
スタイリッシュさを求める昨今の風潮とは真逆の古臭いバトル活劇。
そこに強い魅力を覚えた。
ラブコメ×青春
恋は突然始まる。
オカルン。
本名、高倉健。
綾瀬桃。恋に落ちる。
ラブコメ漫画の恋の切っ掛けが、これで良いのだろうかw
斬新なのは確かw
斬新過ぎて印象に残ってしまったのも事実。
物語開始時点から片思いでしたとか、一目惚れでしたとか「王道ラブコメ」には無い入り方だから印象に残りました。
と同時に、高倉健さんの偉大さを改めて嚙みしめたシーンでしたね。
終わりに
「ジャンプ＋」の新鋭ということで個人的な期待作であったのですが、見事期待に応えてくれた漫画でした。
これからもコミックスで追っていこう。