「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」 第16巻 ネタバレ感想

この記事は

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」第16巻の感想でっす。
ネタバレありまっす。

待望、本編16巻

実に約1年半振りの本編最新刊が発売されました。
書影を拝見した時から、今か今かと心待ちにしていた最新刊。

「episodeフレイヤ」があのタイミングで発刊された理由が、ここにきて明らかになりましたね。
まさか本編で、フレイヤとシルの関係性に深く切り込んだエピソードを持ってくるとは。
もう少し先になるものと勝手に思い込んでいました。

さて、メッチャ気になっていたシルの正体。
ネットの考察通り、彼女は本当にフレイヤだったのか。
はたまた「episodeフレイヤ」で描かれたように、別人物なのか。
感想です。

一縷の希望を残して

個人的にはガッカリした真相でした。
いくら「episodeフレイヤ」で好感度が上がったとはいえ、フレイヤはまだまだ好きじゃないキャラクター。
対してシルは、トップクラスに好きなキャラ。
同じ女性とは思いたくなかったし、そうであって欲しくなかった。

特に今回濃厚なラブコメを読まされてからだったので、そのあまりのテンションの落差に僕自身感情のコントロールが制御できてません。
なんなら「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と叫びだしたくなるんだけれど。

けれど、性懲りもなくまだまだ諦めていない自分もいるのです。

こうやって初めて真面に「シル」の胸の裡を知ったのです。
そして、「女神への抵抗」を見た。
これは紛れもなく、フレイヤの一面だと思うのです。

描写に潜む違和感

素直な読者ほど「フレイヤとシルは別人である」として、本書を読み進めたことでしょう。
「episodeフレイヤ」でそれが示唆されていた手前、「フレイヤとシルは同一神物」であるという、いくら有力な考察があっても、原作の描写は読者の考察に勝ります。
僕は素直なんじゃなくて、ただ単に同一説を支持したくないという私的な理由から別人前提で読んでいましたが。

ともかく、そうすると多くの描写で、真相を知る前と後とでは、意味が異なって見えてきます。

例えば、度々挟まれたシルの述懐。
「私」という一人称で語られるシルのモノローグ。
「プロローグ2」が分かりやすいですが、ここは、「2人のシル」が登場しています。
場面転換などで使われるマーク↓

この前後で人物が入れ替わっています。
ごくごく当たり前の解釈なのに、モノローグ自体が繋がっているようにも受け取れる、かつ、「シルは1人」という前提なので、見事に騙されました。

次に、「一章 ラブレター」の幹部会談。
以降オッタルを筆頭に、幹部連中はシルのことを「シル様」と呼んでいるのです。
だから、騙される。
シルは、フレイヤと同等の扱いを幹部達からも受け入れられている謎の町娘であると。
違った。
所詮彼らは美の女神の従者。
彼らはシルとフレイヤが同一人物であると分かっているので、当然ですが、敬称を付けますね。

これらは読者を欺くためのトリックである!!
真相を知った後では、そう解釈するのが普通です。
ですが。
…本当に?

シル様?

オッタル達は、果たして読者を騙すために「シル様」と呼んでいたのでしょうか。
そんな訳ないよね。
デッドプールのように「第4の壁」を認識しているならまだしも、今作はメタフィクションの介在を許していない作品であり、必然オッタル達も「自分たちの世界」だけしか認識できていない。
では何故、フレイヤ=シルだと知る彼らがシルに対して敬称を付けていたのか。
何故「フレイヤ様」と言わなかったのか。

まるで、シルというもう1つの人格をフレイヤが持っているかのようではないですか。

おかしな点はいくらでもあるのです。
そもそも、ヘルン(フレイヤの侍従頭で、「偽物のシル」。シルが真名なのに偽物。ややこしい)が「フレイヤは女神を捨てたがっている」と言っている。

宿屋で「フレイヤの顔」を覗かせてしまい、動揺した時もそう。
「女神の軛」から解き放たれたいとも思っている。

フレイヤは、「美の女神フレイヤ」を捨て、「ヒューマンの町娘シル」として生きていきたいのではないか。
いや、疑問形はおかしいですね。
ここまで「確実な証拠」を積み重ねられると、これはもう疑いようのない事実でしょう。

考察でも推察でもなく、描写を素直に解釈した事実。

けれど、そんなことを許さない集団がいる。
フレイヤ・ファミリア。
特にオッタルを筆頭とする幹部達は、絶対に許さないでしょうね。

フレイヤは捕らわれのお姫様説

フレイヤ様の御心のままに…。
そう従順になる可能性だって無くは無いと思う。
でもそうはならないよね。

もし、フレイヤがシルとして生きていくことを認めているのだとしたら、シルの告白が失敗したはずは無いのです。

それこそヘディンが、ベルに「告白を断ったら殺す」とでも脅していたでしょう。
けれど、そうはならなかった。
ヘディンはベルがシルの告白を断ることを見越して、シルに「シルとして生きることを諦めさせる」為に、ベルにデートに行くよう強制したのではないかな。

この後、あとがきの感じだと17巻で、フレイヤ・ファミリアとの抗争が始まるのかもしれません。
力づくでベルを奪おうとするフレイヤを送還することが最終目標の戦いになる…訳ではないと思っています。

フレイヤに心酔する幹部達を倒して、彼らからフレイヤを開放することが目的。
もっと言えば、フレイヤをシルとして迎え入れることが目的になるんじゃないかなと。

なんにせよ、都市最大派閥との最初にして最後の戦いが始まりそうです。

ラスボス?

あとがきの「ラスボス」の意味。
作品にとっての最後の敵という意味では無くて、幼女神達「ベル大好き陣営」にとっての最大の恋敵という意味に1票(笑

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