「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」 第17巻 ネタバレ感想

この記事は

「ダンまち」第17巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

第16巻から始まった「シル編」の中盤戦です。
僕は搦手、脅迫を伴った卑怯な手段を用いる敵が昔から大嫌いなのです。
例えば「ドラゴンボールGT」のベビィとか。
正々堂々正面からぶつかってこいよって考えちゃうタイプ。
悪い奴に正道を求めんなって言われると、反論できないんですけれども。

そんな訳でですね、僕がフレイヤを好きになれなかった理由をこれでもかと見せつけてきた展開となりました。

一味違った絶望感

これまでもあらゆる手段でベル君達は絶望の底へ叩き落されてきましたが、今回はまた方向性の違う絶望感でしたね。
フレイヤのベルへの恐ろしいまでの執着と最上級ファミリアの凄み。
武力で瞬殺して、最悪の二択を迫り、逃げようものなら魂を蹂躙する。
圧巻の冒頭でした。

今までの絶望感と言うのは、どうしようもない力の差を見せつけられたことによる絶望でした。
舞台がダンジョンということもあって、閉じ込められた時の恐怖感もプラスして、常に死を意識してしまう絶望感。

対して今回は、死の恐怖は無くて。
代わりにあるのは、圧倒的な孤独。
ベルが作中でも感じたように、家族や仲間を奪われて、「利害が一致した場合の助っ人」すら登場を許さない徹底した孤独。
それでいて、武力で訴えようにもベル一人では到底敵わない化け物が揃っている。

「思いもよらぬ助っ人が助けてくれる」という希望も
「窮地を脱する必殺の攻撃」への期待も
何もかもが握りつぶされたところからのスタート。

それ故に、夢も希望もない八方塞がりの状況は、読んでいてずしんと心に重荷が乗っかる鬱々とした絶望感を覚えました。

ただ、それと同時に純粋にムカついた。
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」というジャイアニズムも真っ青なフレイヤのやり口は、本当に汚い。
それだけに、そこまでしてベルが欲しかったのかと彼女の抱える本気度が窺えたものの、好きなやり方じゃなかったなぁ。
良い気分はしなかったです。

腹立って腹立って。
でも、どうしようもない絶望感に「流石にどうにもならなくないか」という諦観の中、迎えたクライマックス。
いや~~~痺れました。

まさかまさかのヘスティアの大活躍。
何が驚いたかって、「炉の神」という当て字が伏線だったこと。

それこそ11巻から、ヘスティアを称して「炉の神」という当て字(?)が使われていて、てっきり「ロリ」って意味だと思ってたんですよ。
「幼女神」とかと一緒で、ヘスティアの容姿を指したものと解釈していました。

ホームが「竈火の館」だったのも、ちゃんと意味があったのね。

前振りがしっかりとあったからこそ、「うわぁぁぁぁすげぇぇぇぇ」と大興奮でした。

この状況を作り上げたヘルメスも流石でしたね。
フレイヤに一度は苦杯を舐めさせられながらも、そこからの状況判断と対応が神速過ぎて惚れ惚れします。
もしもの時を想定していたのかもしれませんけれど、それにしてもMVPばりの大活躍。
というか、今回のMVPはヘルメスですよ。
あの瞬間のヘルメスの機転が無ければ、完全に詰んでましたからね。
頭脳系のキャラが好きな僕にとって、今回の男神は一層輝いて見えました。

ヘディンの真意

表のMVPがヘルメスであれば、裏のMVPはヘディンでしょう。
彼の「裏切り」が無ければ、やはりベル達の逆転劇は起こらなかったと思われます。

じゃあ、ヘディンはフレイヤにとっての裏切者なのか?
んな訳無いよね。

あくまでもフレイヤの為を想っての行動が、見方によってはベルの為の行動に見えただけ。
要はヘルンと同じなのかなと。

シルとして純粋に少年に恋をした主神の本懐を遂げさせてあげたい。
偽り誤魔化したままの女神の本音を出して欲しい。

そんなところなのかなと思っています。

なので、戦争遊戯ではどう動くんでしょうね。
あからさまにベル達に与するようなことはしないでしょうけれど、さりとて、ベルと目的が一致している以上は、完全に敵対するとも思えない。

オッタルもヘディンに近い立ち位置にいる気もするので、案外この2人の動きがキーになる気がしています。
恐らくヘスティア・ファミリア側にわらわらと一級冒険者が加担することは無いでしょうしね。
(例えば、ロキ・ファミリアの幹部が全員参加とかしたら、いくらなんでも圧勝しちゃってドラマを作れないでしょw)

形勢不利、よくて互角くらいの状況から勝利を手にするには、フレイヤ側に綻びが無いと無理なんじゃないかと思った次第。

終わりに

ムカムカの序盤があったからこそのクライマックスのカタルシスは良かった。
特にベートが登場したところで喝さいですよ。

似た者同士でも、アレンはどうしても好かん。
ベートにぼっこぼこにしてもらいたいと前から思っていたので、キターーーーーーと心の中で鼻息荒くなりましたw

この場は流れたと思われますので、是非ベートにはヘスティア陣営で参加していただいて、アレンをやっつけて欲しいものです。

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