「ドラゴンボール超 ブロリー」感想 変わった所と変わらない所に焦点を絞ってみる

この記事は

「ドラゴンボール超 ブロリー」の感想です。
ネタバレあります。

見て来た!!

仕事終わってから見に行ってきました。
いや~大盛況。
老若男女、流石の幅広さ。
そして断言します。
全劇場版通じて最も良かった!!と。
「これぞ孫悟空!!」って映画。
近年のアニメ版で見られた悟空像に「これじゃない」感を持っていたので、余計に良く感じました。
感想です。

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©バードスタジオ・東映

変わった所

では、記事タイトル通り、変わった所と変わらない所に絞って感想を書いていきます。
先ずは変わった所。

変わった所はどうせ数々の設定だろと先読みされるかもですね。
スカウターを作ったのは、ツフル人じゃないのかよとか。
ベジータはあの世でフュージョンポーズを見てて、だからブウ戦の時に拒否してたの忘れたのかよ…とか。

前者のルーツはアニメ「Z」用に鳥山先生が作ったメモ。
原作には登場しておらず、その後「フリーザ軍の技師ギチャムが改造」という設定が追加。
これを更に変更・発展させて、ツフル人がスコープを発明・使用していたものをフリーザ軍(「キコノ」に変更)がモノクル状に改造したということなのでしょうね。
よって、「変わった所」とは言い切れないかな。

後者は、鳥山先生忘れてるパターンかなw
まぁ、視聴者サービスだと思えば。
フュージョンを知らない、記憶が不鮮明なファンに向けて、ベジータが知らない体で説明してくれたと解釈。

苦しいかな?
ま、いいんです。
言いたいのはそこじゃありませんので。

変わったのは、ベジータと悟空の意識ですよね。
堀川さんがインタビューで答えられてますが、「ベジータの成長」が今作でも見れたなと。
ブウ編から家族を守ることをしてきたベジータですが、ビルス戦ではダンスを披露するまでに必死になって、かつ、素直に家族愛を表現できるようになってました。
今回のブロリー戦でも、常に1人で戦うことを信条としてたのに、自ら悟空とのタッグに乗り出すばかりではなく、合体までやむを得ないとまで言ってます。
ブウ戦ではあれほどフュージョンやポタラ合体を拒んでいた彼がです。
トランクスやブルマのことを悟空が持ち出しても、ギリギリまで決断を鈍っていたベジータが、今回あっさりと決断しました。
家族への愛を隠さなくなったベジータは、人間味溢れる人間に成長したと言えますよね。
これは幼い頃の非情な時代をも描くことで、より浮き彫りになっていました。

もう1つ、悟空も変わった所を見せていたなと。
ベジータ襲来時、悟空はカカロットを呼ばれる事に強い拒否反応を示していました。
「オラはそんな名前じゃねぇ」みたいな感じで。
地球人であることに強いこだわりを見せていました。

それがラストシーンで自ら「カカロット」と名乗ったから驚いたのです。
確か初めてじゃないかな?
悟空が自らカカロットって名乗ったの。

これをベジータと同じく「成長」と見れるかは疑問ではあります。
正直良く分からない。
けど、変わったのは確か。
なんで、こんな風に変わったのか。
推測でしかありませんが、ベジータや今回のブロリーを見て来た影響なのかなと。

悟空にとってサイヤ人の第一印象ってとことん悪かったですよね。
兄貴とはいえ、息子を人質に取って1回目の死の切欠を作った奴なので。
野蛮で粗暴、そして、悪い奴。
悟空が最も嫌う人種です。
ベジータもナッパもやはり同じような、寧ろ、もっと悪い奴だった。
頭を打って、性格が変わったことを感謝するほどには、サイヤ人に対する印象を良くしてませんでした。

しかし、ベジータはそこから変わりましたよね。
超鈍感な悟空がハッキリと分かるほどベジータは自分の家族を愛する人間に変わりました。
悟空にとって良い奴に変わったんです。
引き摺らない性格の悟空は、サイヤ人に対する認識も180度変えたとしてもおかしくありません。

そこへきて、新しいサイヤ人が目の前に現れました。
野生の勘なのか、これまで多くの悪人を見て来たからなのか。
ブロリーを「悪い奴ではない」と看破。
サイヤ人だから悪い奴という印象は完全に払しょくされて、サイヤ人であることにある種の誇りを持てるようになったのかなと。
ここら辺も変わった部分に挙げられますよね。

サイヤ人2人の変わった所が強く印象に残ったのですが、もう1人忘れてならないのがフリーザ。
身長5cmの為にドラゴンボールを集めてたというくだりで、くっそ笑ったw
この辺鳥山先生らしいギャグだよなと。
地球の地獄で価値観というか優先順位(?)が変わったようですねw

というか、今回の映画、殆ど主役みたいなものでしたね。
自分でブロリーをけしかけて、覚醒させて、挙句1時間以上(フュージョンを2回も失敗してるので、1時間は余裕で経ってた計算になります)もフルボッコにされるとかw
アホすぎて笑いっぱなしでした。
まさかフリーザがここまでギャグキャラにされるとは。
「ネコマジン」等々で既にその片鱗は見られてましたけれど、見事なまでにギャグ要員化してますね。
うん、そのポジション似合ってるw
(「DB」の世界でもクリーザを生むんだろうか?)

印象的な変わった部分はこんなところでしょうか。

変わらない所

「DB超」に出てくるライバルキャラに共通してるのが、「悟空が勝てない」という点。
ビルスとは負けに等しい引き分け。
ゴールデンフリーザもあのまま戦ってたら、悟空が勝ったのでしょうけれど、パワーで上を行かれたのは間違いない。
ヒットとも互角で、ゴクウブラックは全王様になんとかしてもらった。
ジレンには完全に負けてましたね。試合では相打ちのような形でしたが。

そもそもブウの頃からこの傾向が出ていて、きっと敢えてしているのでしょう。
悟空は強くなること以外に生きる目的を持っていないという超極端なキャラクターです。
それ以外の事には全く興味が無くて、勿論恋愛にもそう。
(だからこそ、そんな悟空ですら察するほどベジータが家族を愛してる態度はあからさまなのでしょう)
但し、黙々と強さを極める修行僧なようなキャラという訳でも無くて、明確な目標が合って燃えるところがあります。
つぇぇ奴がいるから、ワクワクして、強さを求めている。
悟空に「自分よりも強い奴がいっぱいいる」という認識を持たせたいという意味で、敢えて悟空よりも強いキャラをいっぱい出しているのかなと。
ブロリーも同じでしたよね。

ただ、そうなると「悪い奴」って出しづらいんです。
何故なら、倒さないといけないから。
悟空が悪いやつより強くなるか、若しくは、どうにかして再起不能にさせないとならない。
何れにせよ「悟空が勝てないライバル」という立ち位置でいられなくなるんです。
実際悪い奴なのは、フリーザとゴクウブラックのみ。
前者は地球を救う為、仕方なく悟空が不意打ち気味で屠り、後者は全王に託した。
後にフリーザは生き返りましたが、悪い奴が出しづらいのは変わらないのかなと。

ブロリーが良い奴なのは必然でした。
(面白かったのは、超サイヤ人化した経緯が悟空と全く同じところ。悟空と同様に本当に純粋なんだなというのが分かりやすく伝わってくる構成になってました)
悟空単独で勝てないのも必然となり、ブロリーが生き残る展開も納得なのです。

で、変わらない所。
悟空が強い相手を求めている点。
瞬間移動でブロリーを宇宙彼方まで追ってまで、ブロリーが生きて行けるように配慮してあげる。
そこまでするかって感じです。
確かにマトモじゃない。
でも、そこが実に悟空らしいです。

強くなる為。
強い奴と戦う為。
純粋にそれだけを求めて行動するのは、本当に悟空らしいなと思いました。
変わらない悟空像がそこにはありました。

アニメ版では、この辺ちょっと片寄った解釈で誇張され気味だったんですよね。
「強い奴と戦う為には、どんな迷惑を掛けても良いし、我儘放題する」ような感じで描かれ気味でした。
そこがとても嫌でした。
大人になった悟空が、なんだかクソガキに退化したような印象を持っちゃっていたのです。

この映画では、こういった印象は持たずに、鳥山先生がちゃんと書いたと納得する悟空でした。
最近のアニメ版悟空だったら、地球上でベジータの制止を振り払ってでも1人でブロリーと戦い続けていそう。
地球の為に、自分の欲望は一旦収めて、ブロリーが自我を取り戻してから戦いたいという意志を示したのは、大人になった悟空ならではの「強さの飽くなき欲求」に見えました。

終わりに

神作画というのをどういった場で使うのが正しいのかは分かってません。
正直、キャラデザと作画(静止画)周りは、原作とはやっぱり違うんですよね。
今の鳥山先生のタッチに近い丸い線を基本としつつ、激しい感情を見せた時などは鋭い顔つきになるという強弱をハッキリと付けたデザインになっていたと思いました。
凄く上手いというシーンもありつつ、崩れてるなと感じるシーンも多々あって。

「作画」スタッフが手掛けた絵自体は、そこまで綺麗という訳では無かったです。

けど、動きを含めたアニメーションは本当に凄かった。
CGアニメーションの使い方が物凄く巧かったんじゃないかな。
きっと全部を手書きにしてたら、公開が数年先になってた気がする。
それ程のアニメーションを物凄いスピードで展開させているので、バトルシーンの迫力が段違い。

脚本以外で変わった所はまさにここです。
従来の映画とは比較にならない程の高速バトルを堪能できます。
「戦ってるキャラクター目線」は新鮮でしたね。
こういう描き方があるのかと。
これを(基本)2Dアニメで拝めるのは、きっと想像以上に凄いことなんだろうな。

脚本にしても、上記で挙げた点もそうですが、なによりもドラマの比重が物凄く重いです。
ブロリーの背景をガッツリと時間を使って詳細に描いています。
ドラマとバトルの比率が1:9位だった従来とは異なる点。
しっかりとブロリーというキャラが理解出来るので、余計に最後の悟空の行動に爽やかな印象を与えてくれるんです。

良い意味で変わった所が多く、そして、変わらなくて良いところはしっかりとそのまんま。
全てを超克するシリーズ最高の1作。
大満足の映画でした。

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