「DEATH NOTE Light up the NEW World」 感想

辛辣な感想になってます

と最初に提示させて頂きます。

どうしてこうなったのかな?

ただただ不思議です。
感想です。

騙し合いや駆け引きや、そこから生み出される緊張感はあったか?

キラ信奉者のサイバーテロリスト――。
Lの後継者の世界的名探偵――。
デスノート対策本部の捜査官――。

6冊のデスノートを巡る3人の壮絶な頭脳戦が始まる――。

公式サイトのイントロダクションを超要約するとこうなりました。
「ジャンプ」での第一報でも同じようにワクワクするようなキーワードが並べられていて、「これは見たい!!」と思わせてくれるには十二分な威力がありました。

非常に魅力溢れた素材。
それがどうして、こうも口に合わない料理になってしまったのか…。

先ずを持って言いたいのが、この映画のどこに「頭脳戦」があったの?というお話。
強いて挙げれば竜崎がリュークからの言葉から「自分の名前が既にデスノートに記載されてしまっている」事を推理し、紫苑を欺いたシーンでしょうか。
もうそれ以外は、頭脳戦の「ず」の字もありませんでした。

早々に4冊のノートが紫苑の手に渡り、残り2冊の所有者も判明。
折角6冊ものノートを出したにも関わらず、その「混戦・混乱感」を演出することもなく、あっさりとすっきりとした構図に纏めてしまったことからも、スリリングさはもう欠片も見いだせません。
原作の魅力である騙し合いも駆け引きも、そこから生み出される緊張感も殆ど無いパニック映画として料理されておりました。

原作のような緻密さはあったか?

敢えて重箱の隅を突くような嫌らしいことをします。

もう最初から原作のテイストは捨てていたのではないか。
そう邪推してしまった冒頭部の話です。

川栄李奈(名は体を表す)さん扮する青井さくらが、死神の眼を駆使して都会で殺しまくるという派手なシーンは、確かに見栄えしました。
映画としての面白さが感じられたのですが、その後処理の仕方がちょっと杜撰に思えたのです。

青井を見つけ、尾行する三島(主人公の1人の捜査官だよ)。
その目前で竜崎(Lの後継者だよ)が青井に向けて銃を発射。
斃れる青井。
一部始終を見届けた紫苑(サイバーテロリスト。キラの信奉者〜)は、群衆の中に姿を消す…。

実は、竜崎が撃ったのは麻酔銃で、青井の死因は心臓麻痺だった。
紫苑がデスノートでヤッてたんだね。
というのが冒頭の流れ。

派手なシーンで観客の心をグッと掴みつつも、主人公3人をいっぺんにお披露目・関係性まで明示していて、なかなかどうして素晴らしい入り方なんですけれど。

紫苑がどうやって青井を殺せたのかが不明瞭なんですよ。

原作序盤では、月が殺す相手の名前をどうやって知るかが見所にもなっておりました。
あの手この手で、ターゲットの本名を探り出す訳です。
死神の眼が出て来て以降は、こういったシーンも鳴りを潜めていましたが、ノートで人を殺す時の条件を得ることって、作品を語る上では無視出来ないと考えています。

最初は紫苑も眼を持っているのかと考えて見ていたのですが、そうではありませんでした。
終盤になってリュークと眼の契約を交わしていましたので。
では、得意のハッキングで青井の個人情報を盗み出したのでしょうか。
そうかもしれません。
けど、そうじゃないかもしれない。

というのも、青井の劇中での最初の台詞が引っかかるのです。
あたかも、これから初めてノートを使用するかのような台詞だったんです。
そういう風に僕には感じたのです。
つまりは、冒頭の都会での大量虐殺が「青井が初めてノートを使用した可能性」ですね。

紫苑が世界中から2冊のノートを回収できたのは、所有者が「自身の周りの人間を心臓麻痺で殺しまくったから」です。
あとあとの捜査で元の持ち主だと判明出来ちゃうレベルで殺しまくっていたのだから、紫苑が元持ち主の個人情報を得られてもなんら不思議ではありません。

しかし、「今回が初めての犯行」だったとしたら…。

紫苑が青井の名前を知る手段が無いんですよ。

勿論初犯などでは無く、既にノートを使いまくっていたかもしれませんので、これは言いがかりも良い所ですね。

ただ、青井を殺しておいて、青井のノートをみすみす警察に渡してしまっているのは事実であり、色々とシナリオに関して詰めが甘すぎです。
原作の緻密さを期待してしまうと、肩透かしを食らいます。

謎解きは出来るか?

僕は原作を「推理・ミステリ」としては認識していないので、「謎解き」としては期待していなかったのですが、今作では「誰がキラだったのか」という謎解き要素があったようです。

鑑賞後、カップルが「ねえねえ、キラの正体気付けた?これ絶対ネタバレ厳禁だよね」とはしゃいでおられましたが、劇中の映像でキラの正体に「推理して」辿り着けたら、もうLを名乗っても問題無いでしょう。
いや、Lを越えた名探偵ですよ。

だって、伏線が無いんですもの。

きちっとした伏線がしっかりとあり、それを元に竜崎が推理でキラの正体を暴いたら、どんでん返しとして物凄い面白味が出ていた事でしょう。
消去法で分かりきっていたとはいえ、それでもキラが判明した時には、僕自身「おお」とか思ってしまったのですからw

実際はそうじゃ無かった。

伏線無いから、竜崎ですら「もうお前しかキラ候補いないじゃん」みたいな感じで「どこが名探偵なんだ」とツッコみたくなるくらい。

まとめ

一番分からなかったのは、キラが何をしたかったのか…ですね。

自分で竜崎の名前をデスノートに書いておいて、警察から竜崎を助けたり。
「キラとしての自分」と「捜査官としての自分」の間で揺れ動いていたのでしょうか?
結局何がしたかったのかよく分かりませんでした。

キラの後継者争いに終止符を打ちたかったのか。(=デスノートを封印したかった)
デスノートによって犯罪者を殺して、平和な世にしたいのか。

何れにせよ、竜崎を助けた理由にはならない。

竜崎の後継者として表の世界から、キラとして裏の世界から。
両方から「世直し」をしたかった…のだとしたら、それが分かるような終わり方になっているはずだし…。

正直僕の未熟な読解力では追いつけませんでした。

と、だらだらと批判しといて、でも、それなりに満足してるのが一番の不思議なのかもしれませんw

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