本屋さんで出会った
漫画の立ち上がり方的には「ワンパンマン」に近しいものがあるのですね。
出会って5秒でバトル
原作者のはらわたさいぞう先生がweb漫画として展開しているものをみやこかしわ先生がリメイクしている。
わざわざリメイクしてる位ですから、画力が必要になるんですが、そこも「ワンパンマン」の村田先生に倣って、みやこかしわ先生も上手い。
読み易くて、「何が描かれているか分かり易く」、かつ、「バトル漫画に大切な迫力」を十分に備えた絵で、とっつき易くて巧い。
原作の面白さに十分な華を添えています。
さてさて、僕はこの漫画を本屋の店頭で初めて知りました。
こういう出会いを最近は大切にしているんです。
本屋さんをブラブラして、その書店が推しているオススメを見つける。
オススメしてる本というのは大概その書店独自のポップが付けられていたり、表紙を見せて飾るように棚に置かれていたり、全巻平積みされていたりします。
僕が行ったのは千葉県にある「蔦谷書店 イオンモール幕張新都心店」。
超巨大ショッピングモール「イオンモール幕張新都心」のグランモール1階に広く展開している映像ソフト・CDレンタルの「TSUTAYA」と運営を同じくする「蔦谷書店」さんです。
オシャレな売場の中で、オススメ作品を多く展示している中、僕が目に止めたのが本作。
紹介文の書かれたポップ付きで、全巻表紙を見せた状態で売っていました。
やはり「頭脳戦」という言葉に大きく惹かれたのですよね。
最近そういえばこういうバトルものは意識的に避けてきたこともあって、久々に読んでみたいという気持ちの高ぶりもあったのです。
ただのバトルものより、頭脳戦ならばそっちの方が特色あって面白そうとも思い、2巻まで手に取ってみました。
これが大当たり。
非常に面白い。
きちんと頭脳戦やってるんですよね。
可能性が広がる面白い能力
能力モノ+頭脳戦というと真っ先に「HUNTER×HUNTER」を想起しちゃうんですが、原作のはらわたさいぞう先生は1巻で「冨樫先生と福地翼(「うえきの法則」や「サイケまたしても」でお馴染みの)先生が好き」と公言。
冨樫先生を好きと云うだけあって、作品のゲーム的でいて、残酷さを持った世界観が影響受けてる感じがビンビン伝わってきます。
主人公の白柳啓(しろやなぎあきら)は、ゲームをこよなく愛する高校生。
彼が頭キレっ切れで、このマンガの「頭脳戦」の役割の大部分を担っています。
最初のあらましを書いてみます。
ある日謎の包帯男に襲われたアキラ。
突然のことに戸惑いを見せるも、すぐに冷静さを取り戻すと、「鬼ごっこ」と仮定して見事頭を使って撃退。
しかし、漆黒の衣装を纏った不思議な少女に殺されてしまいます。
おお、1話で主人公が殺されちゃったと思ったら、2話で何事も無かったかのように目覚めるアキラ。
目覚めたら能力を植え付けられ、大勢の人間と共に謎の組織に監禁されて、能力バトルを強いられてしまう…という展開に。
このアキラの能力が面白いんですよね。
「相手があなたの能力だと思った能力」。
能力モノでは見た事も聞いた事も無い能力。
「相手」とは誰か?
「どこまで可能な能力なのか?」
発動条件は?
アキラは1つずつ検証・実験し、考えながらミッションを熟していきます。
そもそもが「相手」が居ないと発動しない能力。
「能力の実験の為」20時間という時間を与えられたアキラは、バトル前の実験が出来ません。
頭が悪いと、そこで思考を停止してしまうのでしょうけれど、アキラはこの能力の使い道をしっかりと考察。
考えをもとに最初のバトルに突入していくのです。
これが面白くて仕方ない。
考えるとアキラの能力って、可能性が無限大なんですよ。
組織を潰したいアキラの野望を体現できそうな能力。
でも、実際どんな能力なのかが分からない。
仲間だって必要そうなのに、周りは敵だらけ。
そんな状況で下を向くでも諦めるでもなく、前向きにゲームのように楽しむアキラ。
頭を駆使して、少しずつ自分の能力を開発していく様はワクワクします。
今後どうなるんだろうと先の展開も見えにくくて、先を読ませる力がある漫画なんです。
そんな能力バトル漫画なのですが、特筆すべき事は、台詞が少ないという点です。
原作ネームのセンスが良い
頭脳戦というからには、一見すると台詞が多いイメージを持たれるかもしれません。
けれど、そんなことはなくて、通常のバトル漫画と比べてもそこまで多くありません。
寧ろ「頭脳戦」というには少なすぎるかもしれません。
どういうことかというと、ネームの段階で精査されているのでしょうね。
言葉選びが上手いんですよ。
文章が下手だと、状況説明するのに余分な言葉を用いて、冗長になりがちです。
今貴方が読んでいるこの文章のように。
しかし、文章の上手い人だと、短い言葉で、きちっと状況を説明できるのです。
単語の選び方、話の持って行き方にセンスがあるんですよね。
少ないセリフで状況をきちっと説明し、謎を提示しつつ、謎解きを語っている。
だから、サクサク読めるんです。
展開自体も早いんです。
1つのバトルに話数を割いてなくて、サクサクと進む。
セリフも少ないから、余計にサクサク読めちゃう。
頭脳戦と聞いて「あんまり台詞の多い漫画は嫌だな」と遠慮しちゃう事はありません。
そのイメージは必ず覆ります。
終わりに
もし気になりましたら、1話を読んでみて下さい。
www.urasunday.com
さて、3巻買いに行かねばですね。
良い漫画に出会えました。
蔦谷書店さんに感謝。
- 作者: はらわたさいぞう,みやこかしわ
- 出版社/メーカー: 小学館
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