「月刊少年シリウス」のポテンシャルの高さについて書くつもりが、ただの「マガジンZ」語りになってしまった

この記事は

「月刊少年シリウス」について。

はじめに

「創」は度々興味深い記事を提供して下さいます。
1月7日発売号では、「シリウス」の連載漫画2本の大ヒットの背景に紙とネット(SNS)の共存関係が見て取れ、これが出版界の構造的な変化になっているとする記事を載せています。
(紹介記事はyahooで配信されております。yahooの記事はすぐに失効する為、リンクは控えさせて頂きます。)

「講談社社屋の垂れ幕がアピールするコミックの「近年にない大ヒット」作品とは」より抜粋

「『転生したらスライムだった件』はすごいですね。
アニメ化で一気に売れ行きにドライブがかかりました。
紙の本ももちろん売れましたが、デジタルへの跳ね返りが記録的です。
単月での売り上げをとると、『進撃の巨人』の記録を塗り替えました。
もともと“異世界ブーム”にのって売れてはいたのですが、この爆発力はすごい。
紙とアニメとデジタルがこんなふうに良い循環をしたのはしばらくぶりですね」

コミカライズが講談社コミックの筆頭である「進撃の巨人」の電子版を上回るというのは快挙と言えそうですね。

同記事では「シリウス」オリジナル作品の「はたらく細胞」についても触れています。

「近年なかったような、相当のヒットです」
そう語るのは講談社販売局第三・第四事業販売部の高島祐一郎部長だ。
「2つの作品とも2018年にアニメ化されたのが跳ねるきっかけになりました。
もともと売れていた作品ですが、近年、アニメ化や映像化が昔ほど部数を押し上げる効果を持たないことも多いのです。
でも今回は、7月に『はたらく細胞』が放送されて以降、全5巻で120万部もの重版がかかりました。
全巻とも20万部以上の増刷です。
アニメ化が決まっていたので6月から出荷を始めていたのですが、放送と同時に大きく跳ねました。

『転生したらスライムだった件』は10月からアニメが放送されたのですが、全9巻で160万部もの重版がかかりました。
そのおかげで『シリウス』はコミックスの売り上げが前年比180%。
強烈な売り上げ増です。
『シリウス』からこんなビッグタイトルが、しかも同じ年に出たということは大変喜ばしいことでした。

もともと2作品とも『シリウス』では人気がありましたが、まだそこまで大きく認知されていなかったと思います。
それがアニメ化によって、それまで知らなかったお客がついたのでしょうね。
『はたらく細胞』は若年層に響いたようです」

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©川上泰樹/伏瀬/みっつばー

「シリウス」は発行部数1万部を切っているマイナー雑誌です。
そこからアニメ化の影響もあって、大ヒット作品が出た。
この理由をネットとの関係に結び付けているのですが、本当に?
そもそも「シリウス」は作品作りの上手い雑誌ではあると思うのです。

「マガジンZ」で培われた力

講談社にはかつて「月刊マガジンZ」という雑誌がありました。
メディアミックスを主流としたコンセプトで、アニメ、特撮、ゲーム、ラノベのコミカライズを中心に構成された漫画雑誌です。
当初15万部スタートのやはりマイナーな雑誌でした。

一応「少年誌」という扱いではあったものの、うるし原智志先生の「VAMPIRE MASTER ダーククリムゾン」を筆頭に少年誌の枠を超えた性描写を多く含む作品に溢れており、2chでは「青年版コミックボンボン」と評されていました。
ターゲット層が分からない雑誌だったことは確かですねw

さてさて、休刊になるまで買い続けた僕の主観でこの雑誌について感想を述べます。
「オリジナル」も「コミカライズ」も面白い作品が確かにあったのです。

先ずは「コミカライズ」。
昔から新人作家に鉢が回ってくるコミカライズですが、例に漏れず「マガジンZ」でも新人が主に担当していました。
故に「あまりにも酷い」作品があったのも事実なのですが、実績のあるベテラン漫画家が筆を執っていた作品もあったのです。
筆頭が村枝賢一先生の「仮面ライダーSPIRITS」と真船一雄先生の「ウルトラマンSTORY 0」です。
どちらもコミカライズというよりは、特撮版を下敷きとしたオリジナルストーリーなのですが、非常に高い人気を博していました。
特に「ライスピ」は連載開始以降雑誌の看板を背負い、抜きん出た人気を誇っていたと思います。

「ライスピ」と並んで看板扱いだったのが政一九先生の「サクラ大戦 漫画版」。
どこから連れて来たのか未だ謎ですけれど(藤島先生の推薦だったとか)藤島先生の絵にあまりにもそっくりな絵を描く政一九先生の高い画力。
更に原作の広井王子さんが漫画版用に脚本を書き下していた事もあって、非常に高いクオリティのコミカライズでした。

その他、
衣谷遊先生の「AMON デビルマン黙示録」
鷹氏隆之先生(原作:七月鏡一先生)の「8マン インフィニティ」
かねこしんや先生の「Culdcept」
西川秀明先生の「偽書 ゲッターロボDASH」
伊藤勢先生の「荒野に獣慟哭す」
有賀ヒトシ先生の「THE ビッグオー」
垣野内成美先生の「薬師寺涼子の怪奇事件簿」
など楽しんで読める作品が連載されてきました。

続いて「オリジナル」。
コミカライズに力を入れていた誌面に於いて、創刊時からオリジナル漫画が主力になっていたのは事実です。
2枚看板を張っていたのが熊倉雄一先生の「KING OF BANDIT JING」と克・亜樹先生の「サイキックアカデミー煌羅万象」。

前者は「コミックボンボン」の人気作「王ドロボウJING」の続編。
スタイリッシュな作画と大人向けのシナリオで高い人気を誇り、一部からは「ボンボンらしくない漫画」と言われていた「JING」の続編で創刊時の雑誌の顔となっていたと記憶しています。

後者は克・亜樹先生のSFスクール漫画。
「ふたりエッチ」が一人歩きしすぎて、「克・亜樹先生=エロ」という図式を持っている方もいらっしゃいますが、この漫画はエロ要素ゼロ。
超能力(サイキック)バトルと学園コメディを楽しめるオリジナル漫画で、「ライスピ」が始まるまではしょっちゅう表紙になっていました。

個人的に特に好きだったのは長谷川裕一先生の「クロノアイズ」と久正人先生の「ジャバウォッキー」。
前者はSF界の大賞「星雲賞」を受賞した時空警察モノ。
クライマックスの盛り上がりが凄すぎて、感動したのを未だに覚えています。

後者は女スパイアクション。
絶滅を免れ、人間のような進化を遂げた恐竜達の跋扈する19世紀を舞台とした物語で、ストーリーの面白さもさることながら、なによりベタを大胆に使った画面作りに圧倒されました。
あまりにも個性的で斬新。
流石横浜市民ですね!!(久先生は横浜駅ダイヤモンド地下街の「有隣堂」でバイトされていたらしいですよ。当時有隣堂に宣伝ポップが置いてました。)

アニメ化もされたコンノトヒロ先生の「ぷぎゅる」、百瀬武昭先生の「マジカノ」も面白かったですね。

ベテランも新人も万遍なく起用していたチャレンジ精神に溢れた雑誌という感じです。
(黎明期はそれこそエロにチャレンジしすぎる嫌いがありましたがw)
永井豪先生という大御所も創刊時から名を連ねていましたからね。
ウエダハジメ先生、コンノトヒロ先生、政一九先生、久正人先生なども輩出しており、マイナー雑誌としては一定の成功を収めていた気がします。

ただ、「失敗」もありました。
1つは、休載が多過ぎでした。
毎号なにかしら突発の休載があり、全連載作品が掲載されていることが少なかった。
代原漫画が「連載」されるという奇妙なこともありましたね。
休載のまんまフェードアウトしていった作品も黎明期には多く、「連載漫画の管理」としてはダメな方だったと思います。

もう1つは、噂ですが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を逃した事。
「コミックボンボン」でときた洸一先生が描き続けてきた「ガンダム」のコミカライズ。
それを引き継ぐような形で「マガジンZ」でも「ガンダム」のコミカライズを連載していました。
「∀ガンダム(曽我篤士先生)」、「機動戦士ガンダムSEED(岩瀬昌嗣先生)」、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(岩瀬昌嗣先生)」、「機動戦士ガンダム00(田口央斗先生)」と。
(恐らく企画発案のサンライズが)講談社に営業を掛けられていたのは事実らしいので、必然「コミックボンボン」か「マガジンZ」に話が振られたはずです。
で、読者層的には「マガジンZ」の方が有力って感じですが、何故なのか断ったとか。
(漫画としてウケないと判断したとかそういう理由だったと記憶してます)
KADOKAWAに「ガンダム」関係の版権をごっそりと奪われてしまう契機になったんじゃないかな。
色々な意味で痛い出来事。

成功も失敗も経験しつつ、「マガジンZ」編集部は2005年5月新しい雑誌を起ち上げます。
それが「シリウス」ですね。
小説原作のコミカライズとオリジナル漫画を中心に編纂された少年誌。

アニメ化されたオリジナル漫画

相も変わらず休載からのフェードアウトをさせているという部分は引き継いでしまってますが、「マガジンZ」で培ったコミカライズとオリジナル漫画のノウハウは活かされているのかなと。
後に「青の祓魔師」でブレイクする加藤和恵先生を(集英社から)引っ張って来たり、「きみはペット」で人気を博した小川彌生先生を起用したり。
若手(新人)を中心に名の売れた作家も程よく配した布陣で出発。
勝手な憶測ですが、コミカライズを多く手掛けてきた分、アニメ化のノウハウみたいなものを蓄えていたんじゃないかなと。

「サンデーGX」で連載2本を起ち上げた後、講談社にお引越しをしてきた光永康則先生。
自身最長連載にして代表作になったのが「怪物王女」。
「デュラララ!!」、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」などで活躍されている人気イラストレーター・ヤスダスズヒト先生が初めて挑んだオリジナル長編漫画「夜桜四重奏 〜ヨザクラカルテット〜」は2度のアニメ化もされたヒット作品。
黎明期に開始したこの2本を柱にして、今日までアニメ化作品を輩出し続けています。

「将国のアルタイル」(カトウコトノ先生)
「まじもじるるも」(渡辺航先生)
「妖怪アパートの幽雅な日常」(香月日輪先生×深山和香先生)
これに加えて先述の4作品を加えて、アニメ化された「オリジナル」の漫画が7本。
(「妖怪アパートの幽雅な日常」、「転生したらスライムだった件」は小説が原作ですが、このコミカライズを下敷きにしたアニメ化という少し風変わりな形式を採っている為、このような書き方にしました)
13年間で7本。
多いのか少ないのか。
イメージではもう少し多かったのですが、おやや?

「部数の少ない月刊誌から〇作もアニメ化されているから、元々雑誌の持っているポテンシャルは高いんだよ」という結論に繫げようとしてたのですが、少し説得力が…。
記事を書きはじめる前に調べておけよって話ですね。
んでも、少なくは無いと思うの。
アニメ量産時代とはいえ、1年強おきに1本のペースなので。
月刊誌なので「原作のストックをある程度溜める時間」を考慮すれば、早いペースと言えるんじゃないかな…。きっと。

過程も結論もグダってますので、そろそろ止めます。
結論としては、「シリウス」は「マガジンZ」で培われたノウハウでもって、マイナー雑誌なりにアニメ化作品を量産してるパワーを持っているんじゃいなかということです。

終わりに

「マガジンZ」について語りたいだけだったことがばれてしまったような記事になっちゃいました。
なので、最後に「シリウス」漫画での個人的なオススメ作を。

「Dear Monkey 西遊記」⇒「マンガ図書館Z」で配信中
www.mangaz.com
白井先生の傑作。
「西遊記」をベースにした熱血バトル漫画。
コメディのような入り方なのだけれど、師匠(村枝先生)譲りの熱さで読者の血を燃え滾らせてくれます。

「乱飛乱外」⇒電子書籍で合本版全3巻発売中
kc.kodansha.co.jp
私を見て。
戦国時代を舞台にお家再興を目指す少年と彼に仕えるくノ一達によるお色気バトル漫画。
9巻で綺麗に纏まっているのでオススメ。
コメディとバトルとお色気が程よい成分で混ざり合っているので、サクサクと読めます。
(やはりこちらも師匠・椎名高志先生譲りと言えるのかもしれない)

…「サンデー」の血が多い気がしてきたw

あとは、現在連載作品の「小学生がママでもいいですか?」。
バブみを味わえるw
2巻が楽しみです。

…「転スラ」はアニメ追ってみようかな…。

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