はじめに
伏見つかさ先生とかんざきひろ先生という「俺妹」コンビによる最新シリーズ。
この「エロマンガ先生」の発売を知ったのは、発売後数日経ってからでした。
超絶偶然知ったのです。
てなわけで早速購入。
読み終えましたので感想を。
感想
基本的には「俺妹」の焼き直しに見えました。
根底に流れている設定が似ているんですよね。
大きく異なる点は、兄妹の関係。
前作「俺妹」の京介と桐乃は血の繋がった実の兄妹でした。
途中「血の繋がりは無いんじゃないか」という憶測こそ多く見かけましたが、振り返ってみれば「実の兄妹ではないと成立しない物語」でありました。
実の兄妹が長く続いた冷戦を経て、相思相愛となり、実の兄妹に”なっていく”物語。
1つの兄妹の関係を描き切っていた訳で、この2人が養親子では成立しないんですよね。
逆に今作は最初から「血の繋がらない兄妹」であることが明示されています。
そうなってくると、似ている様で目指すゴールは全然異なるのでしょうね。
「俺妹」は紆余曲折ありましたけれど、最終的には上にも書いたように「一般的な(しかしちょっとだけ異なる)兄妹」になるまでを描いていた作品。
今作はそうではなくて、堂々と「2人の兄妹が恋人になるまでを描いた作品」になりそうです。
恋愛面で言えば、既にこの時点で相思相愛。ラブラブですしね(笑
「もうこれ続きいらなくね?」と読後割とマジで思ってしまう位に、2人の仲ってゴールに達す勢いでしたのでw
暈されている紗霧の「引き籠っているワケ」の説明がまだですし、これと関係大有りと推測できる両親の件。
ついぞ出て来なかった2人の保護者の事等々。
兎も角彼ら兄妹に降りかかった不幸な過去を語らずには物語は〆られそうも無いので、もう暫くはこの物語を楽しめそうですけれども。
まあ、エルフを入れて本格的な三角関係(にはならないけれど)にもつれ込ませて、恋愛面でももう一山二山見せて頂きたいところではありますね。
(京介といい、伏見先生の主人公は年下にばかりモテるのは、何故なんだろうかw)
さてさて。
この作品の大事な部分になりそうな「紗霧が引き籠っているワケ」の重要な位置に居そうな両親に関して。
よく「日常系」や「萌え系」には「両親不在の何故」が叫ばれて久しいですよね。
何故だか両親が出て来る作品が少なく、そこに疑問を抱くファンも多い。
この作品も例に漏れず両親が不在ではありますが、他の多くの作品と違うのは、暈さずに明確に「いない事」を臭わせている点です。
「画面に出て来ない」のではなくて、「画面外にも居ない」事が提示されている。
これは、「紗霧が引き籠っているワケ」に絡ませるだけでは無くて、作品の「シリーズ化」にも絡んでくる要素なのではないかと思ったのですね。
両親不在の効果
作中で正宗がぶつかった「壁」に、「シリーズ化できるか否か」がありました。
紗霧へのラブレターと称された渾身のラノベですが彼自身
たったひとりの人に読んでもらうために書いたこの物語は、目的を果たして、もう終わってしまっている。
続きを書くことは、できない。
シリーズ化するためには、書き直さなくては。
と結んでいました。
書き直さないといけないと思った一因に、「(内容が)自分達にとって恥ずかしい」からというのもありましたけれど、こう考えた理由って「続ける為の布石が無い」からなんでしょうね。
きっと。
次巻以降に描こうと決めて、作中に潜ませた設定が無い。
伏線が無いと言い換えてもいいです。
1巻で綺麗に完結しちゃっているのかなと。
これを踏まえてみると、今作は「紗霧が引き籠っているワケ」を「シリーズ化の布石」にしているんですけれど、ただこれは「作品の本質から見れば割とどうでもいい布石」。
どうでもいいというのは語弊がありますね。
多分多くの読者が気にしない点とでもいうのかな。
「紗霧が引き籠っているワケが気になるから続きを読みたい」と想ってくれる読者が少ないのではないか?
この作品がシリアスで、例えば引きこもりという社会現象に一石を投じるような…というと大袈裟ですけれど、「引き籠り少女を助ける事が本旨の作品」ならば大事な布石になります。
けれど、ラブコメである今作は、これは二番手以降に落ちますよね。
大事なのは「恋愛面」。
正宗と紗霧の恋愛がどうなっているのかが読者にとっては最も気にかかる点。
少なくとも僕はそうなんです。
この2人は結ばれるんだろうかと先が気になる布石が必要だと思うんですね。
これを踏まえて。
さっきは「恋愛面では相思相愛だから、続き無くても問題無いのでは」と書きましたけれど、これは間違った感想です。
自分の感想をすぐに自分自身で否定するのもアホみたいですけれど、恐らく間違っている。
もし、本当に恋愛面で決着が着いていたんならば、300ページにも及ぶ正宗からのラブレターを紗霧が理解した時点で2人は結ばれているはずなんですよね。
カップルになっている。
そうではなくて、正宗自身が紗霧からの返事を誤解したというのもありますけれど、それ以上ツッコまずに身を引いたのは、「自分達は兄妹として家族であるべきだ」という考えに囚われているからでした。
この正宗の考えはどうやら彼の義母のお願いみたいだという事は描かれていました。
紗霧の実の母であり、正宗の実父の妻となった人で、「遺品」という言葉が出てきた以上は既に亡くなっているのでしょうか。
そんな人の「遺言」と思しきお願いを聞いて、正宗は「自分の本当の気持ちはさておき、妹として紗霧と接する」事を誓っている。
何を置いても、ここの「問題」を解決しない限り、恋愛面に於いて2人が結ばれない様に出来ていて、故に「恋愛面でも続きは必須」であると見做す方が正しい気がするんです。
両親不在は恋愛面に於いて「簡単に決着させない」物語作りにも作用しているんです。
1つの設定で、最も大事なテーマに関する布石にも、別のドラマ面の布石にも作用している。
両親不在についてでした。
終わりに
まだまだはじめの1巻なので、キャラクターに対して愛着がそこまで持てませんでした。
その分「滅茶苦茶面白い」と思えるまでに至らないのは、この手のジャンルの宿命…なのかな。
大袈裟ですね。
次第に面白く感じれるでしょうから、早く次を読みたいものです。
その際は智恵さんのキャラデザの公開をお願いします〜w
- 作者: 伏見つかさ,かんざきひろ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/12/10
- メディア: 文庫
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↑のリンクを「エロマンガ先生」で検索したら「ソードアート・オンライン」が2番目に出て来た件についてw