はじめに
塚田英明さん(東映プロデューサー)が監修。
寺田克也さんがクリ―チャーデザイン。
そして、脚本に三条陸先生。
「仮面ライダーW」を手掛けた主要スタッフが集結して描く正統派続編。
それが「風都探偵」です。
遂にコミックスが発売されましたので、早速感想を。
平成ライダー最高傑作
僕は、「仮面ライダーW」を平成ライダー最高傑作と位置づけています。
平成ライダー全シリーズを見た訳では無いですが、圧倒的に面白い。
探偵を生業としているからなのか、ミステリ風味で進むストーリー。
「誰が怪人なのか」を伏せて、ちょっとした謎解き要素を孕んでいるので、ただ単に怪人を倒すだけに留まらないドラマを魅せてくれる。
個性的なキャラクターを多く生み出し、その掛け合いで笑いを取るコメディタッチの作風が見やすくしている。
フィリップの出自を全体の謎にして話を展開し、クライマックスで感動を喚起する。
そして、2人で1人の仮面ライダーという設定を上手くドラマに調和させて、最高のライダーを生み出した。
これぞ仮面ライダーというべき、見た目とヒーロー性が「昭和ライダー」派閥のオッサンの心を鷲掴みにしたわけです。
大好きなライダーのオリジナルスタッフが描く正統続編。
だから買った。
TVシリーズでは、ガイアメモリを開発・流通させていたミュージアムを壊滅させた翔太郎とフィリップ。
しかし風都には残存したメモリが残っていて…という終わり方でした。
ここから漫画版は始まります。
感想
残存したメモリをただただ探し出して破壊するだけでは、つまりません。
続編としてやる価値は無いですよね。
そこは安心できる。
なんたって、三条先生は今まで多くの漫画原作をこなしてきたベテラン作家。
「ダイの大冒険」、「冒険王ビィト」、「ウルトラマン超闘士激伝」など代表作を多く持ってます。
今回もちゃんと解決してきてます。
ミステリアスな美女・ときめを登場させ、翔太郎のアシスタントとしてレギュラー化。
彼女を知るかのような組織「街」が事件の陰で暗躍。
今回の続編で翔太郎・フィリップが立ち向かうべき敵対組織を明かします。
このお陰でグッと話が面白くなっています。
少しずつ明かされる「街」の全貌。
ときめは何者なのか。
何故「街」は彼女を知っているのか。
ストーリー全体を突き刺す大きな謎を作って、僕ら読者の興味を引いてくれます。
漫画単体としての面白さもちゃんとカバーしようと工夫されているんですよね。
勿論「仮面ライダーW」を見ておいた方が百倍楽しめます。
フィリップの出自を知ってるかどうかで、彼に対する感情移入度が変わってくるだろうから、見ておくにこしたことはありません。
なのですが、見てなくても話に付いていけるようにはなってるのかな。
ガイアメモリの説明もありますし、なによりも、ときめ目線が「初心者と同じ」なのですよ。
翔太郎のアシスタントについた彼女は、しかし、仮面ライダーWのことを何も知りません。
ガイアメモリに纏わる犯罪事件を主に話の中核に据えている以上、物語上ときめがWのことを知っておく必要性があるんです。
そこで、彼女を通して「Wとはどういった性能を持っているのか」を説明しています。
なるべく分かりやすく、説明口調になり過ぎないよう調節されながら、ときめ視点でWについて知ることが出来ます。
一通りのフォームのお披露目が済むまでは、暫くはそういった感じのお話が続くんじゃないかな。
今作で初めて「仮面ライダーW」に触れても、大きな抵抗は無く物語に入れると思います。
ともかく、読んで欲しい作品です。
「子供向けの仮面ライダーだから…」という理由で敬遠してたら勿体ないです。
青年誌連載ということもありますし、元々平成ライダーが「大人の視聴にも耐えうる物語」を旨に作られていることもあって、大人でも問題なく楽しめます。
今作を入り口に、好きなライダーを探すのも良いかもしれませんし、一度手に取って見て下さい。
終わりに
ちょっと絵柄に癖があったり、アクションシーンに迫力が欠けるかなという点もあるんですが、まぁ許容範囲ですね。
連載してけばどんどん良くなっていくでしょうし。
物語はオリジナルスタッフが手掛けているだけあって面白いので、当然買い続けていきます。