この記事は
「月刊少年マガジン」2012年3月号の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
面白い青春漫画の宝庫
「新仮面ライダーSPIRITS」の為だけに買い始めたこの雑誌。
ライスピと「C.M.B.-森羅博物館の事件目録-」だけで元を取っていたのですが、ここのところの連載陣が面白すぎなんです。
てなわけで、色々な青春を描いている漫画群を中心に感想です。
もちろんですが、ネタバレしまくっていますので、ご注意願います!
「てんまんアラカルト」 第2回
料理に捧げる青春!
という事で、第2回目となるこの作品。
渋谷シェフが消失した謎で引っ張りつつ、主人公・蒼司が決意するまでを描いていましたが…
うん。面白いかもしれない!
料理漫画という事で、大事なのは美味しく見える料理よりも僕的には、料理の食べ方とか食べたリアクションだと思っています。
やっぱり料理って、それが一番だと思うからですね。
高級だったり貴重だったり、希少だったりする食材を集める行程よりも、
料理人が汗水流して、工夫を凝らして一級の料理を精魂込めて調理する場面よりも、
何よりも料理を食べてあまりの美味しさに顔を綻ばせる人の表情を描く事が大事なんじゃないかなって。
どんな料理人も、食べてくれる人のそんな顔を、美味しいという言葉を見たり聞いたりするために奮闘するのだと勝手に思っているので、
料理漫画のクライマックスもそういった食事のシーンなんじゃないかと思うのです。
多くの料理漫画(アニメ)も食事シーンには大変力を入れていた事からも、こう思っている人は僕だけでは無いはず!
前置きが長くなりました。
そんな考えがある中でこの漫画を読んでみると、その食事シーンが実に良い。
物語もまさにそのために組み立てられているようにさえ感じます。
今回で言えばヤクザさんを客として出して、「料理が不味かったら、どうなるか知らんぞ」という状況を作る。
もしも口に合わない物を出してしまったら…という緊迫感の出して、主人公を追い込む。
これで、そのヤクザさんが料理を食べて美味しいと喜べば、そこがこのお話のクライマックスになるんですよね。
で、本当に美味しいものを食べたという表情を描いてあげれば良い。
そしてちゃんと描けている。
とっても美味しい料理だったんだろうと思わずにはいられない抜群の表情とリアクション。
これが行き過ぎると某パン漫画のようにギャグになっちゃうのですが、そこはきちんと線引きして、現実的な範疇に収めていますし。
さてさて。渋谷シェフの一人娘の天満(てんま)。タイトルに入っている「てんまん」とは彼女の事でしょうね。
可愛らしいソムリエールの姿を披露し、ヤクザなお兄さん約一名の心を射抜いてしまってましたが(笑)、彼女がこの漫画のキーキャラになりそうですね。
彼女には若しかしたら、完全記憶能力(一度見たモノを二度と忘れない)の”味版”みたいな能力があるのかも。
そんな意味深なセリフがありましたしね。
まだまだ始まったばかりのこの漫画。雑誌を買う楽しみの一つになってくれそうです。
「黒猫DANCE」 第3幕
剣に懸ける青春!
「新選組」一番隊組長・沖田総司。彼の少年時代からの物語を描いた歴史ファンタジー漫画です。
この3回目でいよいよ序章の終わりといった感じでしょうか。
グングン面白さを増しています!
この回はなんといっても惣次郎(総司)の笑顔が良いですね〜。
心配する姉に対する満点回答ですよ。
立派にやっていけると言わんばかりの剣舞を披露してからの、会心の笑顔。
心配しないでと欲しいという無理難題を言葉で表さずに顔で語る。
漫画の醍醐味ですね〜。
んで、いよいよ次回辺りからファンタジー色が強くなるのかな。
非常に楽しみですね。
何が楽しみって、「史実を無視した理想の新選組の未来」が描かれるであろうという事。
あの黒猫の正体とかは全く不明ですけれど、1話とか見るに”歴史を変えようとしている”ようにしか見えませんしね。
この漫画の目的も当然それになるのでしょうから、この先どう”史実と異なる選択肢を取った未来”が描かれるのか注目したいです。
「四月は君の嘘」 第11話
君と音楽と歩む青春!
僕的大プッシュ作品です!というのは、過去の記事からも察して頂けると思っていますが、いや〜流石。
今回も良かった。
かをりちゃんは本当に公生にとっての光ですね。
彼女の励まし方にはいつも感心しきりです。
「君は君だよ」
使い古されたと言っても良いんじゃないかな。それ程様々な作品で使われているような”常套句”ですよね。
「君は君なんだから、他人と比べる事なんかないんだよ」とかとか。
主に相手を励ます時に使われている言葉。
かをりちゃんもこの言葉を使っているのですが、彼女らしいのがその後。
「君はどうせ君だよ」
面白いなぁって思うんですよね。
”どうせ”。辞書から正確な意味を引いてみますと
1 経過がどうであろうと、結果は明らかだと認める気持ちを表す語。いずれにせよ。結局は。「―勝つんだ、気楽にやろう」「―やるなら、はでにやろう」
2 あきらめや、すてばちな気持ちを表す語。所詮(しょせん)。「―私は下っ端(ぱ)ですよ」
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/156186/m0u/
このように決して良い意味で使われる言葉ではありませんよね。
「君は所詮君なんだよ」って言ってる。
かをりちゃんは決して公生を過大評価なんてしていません。
ピアニストとしての実力こそ認めていますけれど、それは別として一人の同級生として、友達として、演奏家として接している。
落ち込んだ人間を励ます時って、必要以上にその人を持ち上げたりするのが一般的だと思うのですが、
かをりちゃんの励ましは、それをしないんですよね。
本当にリアルな状態の公生を評価して、ストレートに言ってくれる。
言葉に嘘も世辞も含まれていない、真実の言葉。
だから公生の心に届くんじゃないかなって思うのですね。
外れ回が本当に無い素晴らしい漫画です。
今回もかをりちゃんに光を貰って、いよいよ次回から公生が改めて表舞台に!
良い所で終わるなぁ。次回が待ち遠しい。
- 作者: 新川直司
- 出版社/メーカー: 講談社
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「ボールルームへようこそ」 Heat4
ステップを踏む青春!
だんだん言い回しが苦しくなってきたw
社交ダンス版「はじめの一歩」と勝手に思っているこの漫画なのですが、これも面白いんですよ。
今回も良かった〜。
初めての人前でのダンス。しかも急遽・無理矢理挙げられた大舞台。
多々良の頭の中はさぞやパニックだったでしょうね(笑
混乱して真っ白になって…そんな様子を描きつつも、彼の才能の片鱗をきちっと描いているのが凄い!
ダンスの事は全く分からないのですが、ギャグ調で説明したり慌てたりしている教室の先輩達の様子で、
多々良のパニックっぷりや初心者とは思えない凄さが手に取るように分かるようになっているので、
何の問題も無く楽しめました。
最後は最後で、天才ダンサーを引き合いに出して、初心者多々良の初舞台の凄さをより印象付けしつつ、
その演技が始まる…という時点で引くという上手さときたらもう。
これも次回が待ち遠しくなるじゃないですか。
「ましろのおと」 Track.20
三味線の音色を奏でる青春!
マイマイが可愛いなぁって思いつつ読み進めてしまった20回目。
もう20回もやってたんですね。時が経つのは早い。
ちょこっと最近は僕のこの作品に対するテンションも落ちてしまっていたのですが、今回は感動。
やっぱり色々と長い時間かけて、ここまでの事を見て来たからだと思います。
僅差の末3位に終わった団体戦、審査員特別賞受賞。
傍から見ると十二分な好成績だけれど、やっぱり当事者としてみると悔しいんでしょうね。
あんなに頑張ったのに、良い音を皆で作れたのに。負けてしまった。
雪が「勝敗で皆何を見出そうとしている」のかと考えていましたけれど、
望まずにしろこういう悔しさを味わって、「次はもっと頑張ろう」とか「次こそ誰にも負けない」という気持ちを得ることが大事になってくるんだと思いますし、それを伝えるための展開だった気がします。
勝ちからよりも負けからの方が学ぶ事って多いと思いますし、その方が大事なんだと思うなぁ。
雪もその気持ちを感じたようなので、この先どうなるか気になりますね。
- 作者: 羅川真里茂
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/15
- メディア: コミック
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おわりに
という訳で、5本の感想でした。
今月は一番の目的のライスピのページ数が多くて良かったです〜。
もうね、ここ10年この漫画の為だけに生きていると言っても良いくらいなので、減ページ程テンションの下がる事は無いんですよね(笑
しかもですよ、2月20日発売の「マガジン+」に番外編が載るらしいじゃないですか!!!
もうね、予告ページでライスピの名前発見しただけでテンション上がりまくりですよ(笑
今月もう一度読めるなんて素晴らしい!
どんなお話なのか楽しみです。
そっちには、これも大好きな「Q.E.D.-証明終了-」が100ページ載るみたいですし、発売日に買いに行こう。
次号からは、「四月は君の嘘」単独感想になると思うのですが、他も面白くて感想書きたくなったらこの形式にしようかな。