はじめに
やたらめったらマスコミの期待値が高い「銀魂2」。
ほぼ毎日のように記事が出てました。
前作が実写邦画NO.1でしたからね。
必然なのかなとも思いつつも、個人的にはヒットとは言えない映画でしたので「そこまでかな?」と一歩引いた目線で見てました。
という訳で、初日初回に見てきました!!
去年公開の前作は初日初回を見逃しちゃいましたからね!!
今年は同じ過ちは繰り返さない。
では、感想です。
ネタバレありまくります。
パワーアップしていた点
なんで「真選組動乱編」?
というのが最初の疑問でした。
実写映画シリーズだけのお客さん(少数派だとは思うけど)は理解出来るのだろうか?
ちゃんと楽しめるのだろうか?
って思ってましたが、どうやらファンの間で人気の高い長編エピソードなのですね。
ちょっと納得できました。
さて、そんな真選組を中心とした映画第2弾。
脚本も映像も前作より格段にパワーアップしてたと思います。
先ずは脚本。
「将軍接待篇」を巧みに絡めていたのが印象的でした。
土方のトッシー化の原因を伊藤の企み(土方にヘタレオタク化チップを撃ち込む)に変更し、その様子を将軍を護衛に来ていた際に実行。
原作でも真選組が将軍のキャバクラ護衛に来ているので、綺麗にオリジナルシーンを挿入出来ていました。
散髪エピソードは完全に蛇足(笑)でしたが、「松平が将軍を連れまわしている」ということを印象付けていたので、最低限の意味はあって…。
これが「鬼兵隊による将軍暗殺計画」というオリジナル要素に繋がってくるという手の込みよう。
原作以上に銀さんvs万斉の重要度が跳ね上がっていた点は特筆すべきところですね。
なんせ「真選組動乱編」の主人公は、土方ですからね。
銀さんはあくまでもサポートという役割に徹しているエピソード。
長い長い長編漫画の1エピソードとしては成立していても、1本の実写映画に採用するエピソードとしては不適格となります。
(これも最初の疑問を抱いた理由でありました)
作品の主人公である銀さんが、脇に寄っちゃってるんですからね。
だからこそ、この銀さんvs万斉を大きくクローズアップしてくれたことには意義がありました。
しっかりと原作通り土方(真選組)のサポートを行いつつ、将軍暗殺という国の一大危機をも救っている。
銀さんに「テロリストから国を救うんだ」という信念はありませんが、結果的にはそうなっているので、分かりやすく「悪を倒すヒーロー像」を創出出来ています。
(万斉の乗ったヘリを城に落とすことで、単純に「銀さんは国を救う英雄では無い」ということを表現していたのではと解釈)
見事に主人公足らしめる活躍を銀さんに与えているのです。
このように主人公に見せ場を用意しつつも土方の活躍をぶれずに描き切っていた点もお見事。
制約のある上映時間の中に、きゅっと「真選組動乱篇」を纏め上げていた福田監督の脚本は素晴らしかったです。
そして映像ですよ。
クライマックスを盛り上げるバトルが良いですね。
きっと予算も増えたのでしょうねw
単純に見た目的にも派手になってました。
バトルシーンに於いては先ずはなんといっても沖田の殺陣。
普段のだらけた態度からは想像だにできない機敏な動き。
多対一という絶対的に不利な中、バッサバッサとかつての同士を容赦なく斬り捨てていく様は、沖田のドSっぷりも垣間見えて非常に良かったです。
ていうか、吉沢亮さんが格好良すぎる。
「仮面ライダーフォーゼ」の時から格好良いと思っていて、このシリーズの沖田も嵌り役すぎる。
見事なまでに普段とバトル時のギャップを演じ分けていて、特に列車の中での啖呵切りは最高の一言。
長男を1人占めしたい末っ子(次男が嫌い)感が凄い出てる。
神楽とのコンビ戦含めて必見。
2つ目は、やはり銀時vs万斉。
スローモーションを効果的に用いて、複雑なアクションを分かりやすく見せる事に成功していました。
この演出は視聴者に「高速のアクションが行われてるんだろうな」という解釈を促すので、その点でも効果が発揮されていたと思いました。
徒手空拳を絡めたり、洞爺湖を投げ技(?)や場面切替に使用していたりと見ていて飽きない作りになっていた点も個人的に良かったです。
クライマックスならではの盛り上がりを見せて下さいました。
伊藤鴨太郎ぉぉぉぉぉぉ
物語に於けるもう1人の主人公は敵役。
こんな言葉をよく耳にします。
敵役がピカレスクとして輝けるほど、主人公も輝けるものなので、この表現は一面に於いて正しいと思うのです。
その点、伊藤鴨太郎はまさにピカレスク小説の主人公として成り立つほどのキャラクター。
決して恵まれていない親子関係。
不遇な幼少期を経て、心からの目的が歪曲してしまった。
死の淵に立たされることで、その真の目的に漸く気付き、既に自分は得ていた事を知って…。
鴨太郎の正しく真選組隊士として終わっていく様…仲間として終わらせてあげる土方らの心意気は、シリーズ屈指の名場面に挙げられて然るべきものだし、それを克明に描き切った今作はそれだけで素晴らしい。
脚本、演出共に彼を素晴らしい悪役に仕上げていた点はとっても良かった。
そんな素晴らしいスタッフの情熱をより具象化していたのが、三浦さんの演技ですよ。
彼を見たのは「ブラッディ・マンデイ」以来…かな。
こんなところで、僕の「普段ドラマ見ない感」が出てしまってちょっと嫌なのですが…仕方ない。
当時のことはよく覚えてなかったのですが、良い俳優さんですね。
特に声が良いです。
悪役として堂々と振る舞ってる時の低い声音。
土方らに素の顔を見せた時の儚くも優しさが覗く声。
クールな伊藤のキャラクターに似合った迫力と弱さを兼ね備えた声の使い分けに敬服いたしました。
笑いがくどい
と、良かった点を書いてきましたが、最後に肌が合わなかった事を。
笑いがくどい。
佐藤二朗さんは個性派として今やドラマ・映画の脇役として欠かせない人材であると僕も思うし、嫌いではないです。
ただ、氏の演技は濃いんですよね。
あっさり目に演じられていることもありますが、今回は独特の濃さを前面に出す演技プランで臨まれていました。
だから、普通に撮ってれば、普通に面白い。
なのに、どういう訳か、演出まで濃い。
佐藤さんの演技を煽る煽る。
こうなってくると胸焼けです。
くどいです。
笑えないです。
福田監督のこういったノリが好きならば問題無いですが、僕はそこまでじゃないのでちょっと拒絶反応が先に出ちゃいました。
他、笑いに関してはパワーダウンが否めなかったかな。
前作も個人的に笑えなかったのですが、今作は特に。
ゲロとかう〇ことか実写になると、ただただ汚くて気持ち悪いですね。
漫画やアニメだから許容範囲内だったというのが確認取れました。
ともかく、もし第3弾があるのなら、アニメ版からの脱却はお願いしたいところ。
「視聴者を笑わせること」に関しては、アニメスタッフの方が一枚も二枚も上手です。
彼らは土下座事案を「面白いなら、やっちゃってええよ~」的な軽いノリでどんどんぶっこんできます。
だから、アニメ版を上回るには、相応の「覚悟」が必要です。
その覚悟が、前作から僕には見て取れないのです。
寧ろ、アニメ版に迎合するかの如く、アニメ版のネタを拝借しちゃってる。
笑いに関してはもっともっとアグレッシブになって欲しいです。
「銀魂」は各所に怒られてナンボの作品ですしね!!(間違った認識)
終わりに
(恐らく敢えての)B級映画感を引き継ぎつつ、パワーアップさせていた印象。
言葉にするなら、超B級映画って感じでしょうか。
それをチープにならず、しっかりと夏休みの大作たらしめているバランス感はお見事。
実力のある俳優陣を使いまくってる贅沢なキャスティングだからこそ成せる業ですね。
エンタメ映画として楽しめる作りになっていたと思いました。
ただ、個人的に笑いに関してだけは乗れなかったので、その分ややマイナスって感じでしょうか。
ま、メテオの活躍が見れたので、大満足でしたw