この記事は
「五等分の花嫁」の感想です。
ネタバレあります。
終わっても売れ続けてるって凄い
まだ重版かかってるらしいですね。
今日(2020年5月29日)になっても「最終巻発売後に異例の全巻重版」という記事が出ていて驚きました。
しかもですよ!!
オリコンが発表した2020年上半期の推定売上部数ランキングで堂々3位を記録しました!!!
なんと2位の「ONE PIECE」に44万部という僅差での3位です。
(1位の「鬼滅の刃」が4500万部という文字通りの桁違いな数字を出してて笑える。化け物かよw)
新型コロナウィルス感染症が世界的に猛威をふるった2020年上半期。街から人が消え、在宅ワークが推奨されるなど、社会構造の…
(発行部数と推定販売部数は異なる概念ですが、年内にほぼ3分の1ほど刷られたというのは事実に近いんじゃないでしょうか)
来年1月にはアニメ2期も控えており、連載終了後もまだまだ売り上げを伸ばしていくのかもしれません。
そんな「五等分の花嫁」。
そういえば総括記事を書いてなかったとハタと思い出しましたので、ちょっと書いてみます。
とはいえ、実のところ書きたいことって既に書いちゃってるんですよね。
こことか
この記事は「五等分の花嫁」第11巻の感想です。ネタバレを含みます。謎解ける凄い感動しました。そうだったのかという事と、喉に引っかかっていた小さな疑問が晴れた事。四葉に纏わるこれまでのあれこれが判明して、更に[…]
この記事は「五等分の花嫁」の感想です。はじめにアニメ2期おめでとうございます!!と、今更な言葉で始めてみました。いや~嬉しいですね。2期ですよ、2期。二乃が猛追してきて、いよいよ隙のなくなってくる五つ子の可愛さに[…]
最後もしっかりと纏めてくださっていましたし、五つ子の可愛さも存分に引き出されていた。
ハッピーエンドの大団円を迎えて、気持ちよく読み終えてました。
1人勝手に満足していたので、これ以上自分の駄文で汚したくないなと考えて、敢えて書かないでいたのですが…。
やっぱり何か足跡だけは残しておこうという気になりましたので、最後は主人公の風太郎に着目して書いてみます。
ラブコメは男主人公を好きになれるかが分かれ目
僕は、ラブコメ漫画でヒロインと同等か、もしかしたらそれ以上に主人公というものを重視しています。
嫌なんですよ、男がいけ好かない奴だと。
どうしてこんな男にヒロインが惹かれるんだよとか。
くっついて欲しくないと思うし、くっついても納得いかないし。
ヒロインを可愛いと思えるほどに、男が見合っていないと許せないのです。
「おまえみたいな男に娘はやらん!!」って気持ちになっちゃいます。
誰目線やねんって言われそうですが、仕方ありません。
偽らざる本音なのですから。
ただ、言い訳させてもらえれば、こういった考えって何も僕が変わってるという訳ではない筈です。
僕のような考えは、いささか極端かもですが、少女漫画では「恋愛漫画のヒロイン(主人公)は(女性)読者が共感できる」ように作られていると聞いたことがあります。
主人公に自己を投影して、物語を読んでもらう為の一環だとか。
本当かどうかは不明ですが、女性は主人公に自己投影する傾向が強く、その為「自己投影してもらえるような主人公像」を構築することが大事だとかなんとか。
本来はエビデンスを提示すべきなのでしょうけれど、見つけられなかった。
子供の頃に妹が買っていた「ちゃお」か「マーガレット」に書いてあった気がするのですが…、間違ってたらごめんなさい。
もう1つ、今度は少年漫画ですが、こちらも同様に主人公は読者に好かれるように作られている例があります。
「To LOVEる」シリーズの主人公リトは、読者に嫌われないよう気を付けて描かれていたとコミックスに書いてあります。
事実、僕はリトを好きでした。
「To LOVEる」のように複数ヒロインから好かれて、しかも、えっちいハプニングが事あるごとに起こるような作風ですと、ゲスな男だとイラっとするんですよね。
その点リトは、初心だし、鋼の自制心でセーブを掛けられて、一生懸命紳士的に振舞おうと努めていました。
性に無関心という訳ではなく、しっかりと歳相応の欲を持っているからこそ、えっちいことにセーブを掛けられる態度に好印象を抱けたのです。
ま、世間とかはこの際どうでもよくて、そんな訳で「五等分の花嫁」も「どんなヒロインか」よりも「どんな主人公なのか」を気にして読み始めました。
率直に言いますと、風太郎の第一印象は「冴えないつまらなそうな男」でした。
風太郎を好きになったポイント
嫌悪するほどの悪印象まではいきませんでした。
ただ、文字通り冴えないし、つまらなそうな感じだなという印象だったのです。
勉強一筋で、友達がおらず、恋愛を否定する。
明るいわけでも無いし、常に不機嫌そうな無表情を張り付けている。
好印象を抱けと言う方が難しい風体でした。
ただ、少しずつ、少しずつ印象が好転していったのが1巻でした。
ポイントごとに挙げてみます。
先ずは第1話。
バイトを引き受けたこと。
実家が貧乏だとか借金があるとか。
なんならその為に勉強を頑張ってるとかはよくある設定で、そこで心動かされることは無く。
「良い奴じゃん」となったのは、らいはの「これでお腹いっぱい食べられるようになるね」という無邪気な言葉で動いたこと。
だって、この直前まで家庭教師のヤバい話を聞かされて、俺はやらないぞと拒否ってたんですよ。
この時点では、ガチで拒否ってたはずです。
だって、誰が聞いてもヤバそうな雰囲気なんだもん。
「アットホームで楽しい職場!給料は5倍」なんて聞かされてごらんなさいよ。
彼じゃなくてもブラックな企業を連想しちゃいます。
(求人情報に「アットホーム」という文言が書かれたら、高い確率でブラックというのは有名ですね。)
それでも考えを覆したのは、やっぱり妹愛に他なりません。
可愛い可愛い妹がお腹を空かせている。
貧乏だからとか借金があるからではない。
妹がお腹を空かせているなら、お腹いっぱい食べさせてあげたい。
それがお兄ちゃんというものでしょう。
兄が持ち合わせて然るべき心を、彼もちゃんと持っていた。
そのことだけで、僕は心揺さぶられました。
尚、僕もリアル妹いますが、彼女がお腹空かせててもなんとも思いません。
むしろ、甥っ子がお腹空かせてまいかと心配する。
次に第3話での、五月へのお願い事。
2話で家の事情を五月に知られた風太郎。
この時点で、是が非でもバイトをしたい風太郎にしたら、自分の境遇を出しにすることだって出来たわけです。
五月が情に厚い女の子だというのは、らいはに向けた笑顔からでも十分に読み取れます。
直後に本人から釘を刺されはしたものの、「妹の為だ」と強く押せば五月ならば引き受けてくれた公算は高いと見受けます。
大義名分もある以上、例え風太郎がこのことを利用していても、顰蹙を買うことは少なかったと思うのです。
けれど、彼は自らそれを嫌いました。
家庭事情を利用することを、妹を出しにすることを卑怯だとでも感じたのか。
それとも、ただ単に、プライドの問題だったのかもしれません。
何れにせよ、僕は良いように取りました。
根性が座ってる気持ちのいい考え方をする少年だなと。
1巻最後のポイントは、第5話。
エロハプニングを回避しようと努めた事。
不誠実なことをしたら家庭教師として認められないという考えでの行動とはいえ、誠実な行動を取れた点は美徳。
最終的には、ハプニングこそ起きましたが、あくまでも二乃を助けようとした末の事故。
小さな点かもしれませんが、個人的には大いにプラスとなる出来事でした。
こうして、最初のイマイチな評価から少しずつポイントを稼いでいった風太郎。
彼の認識を決定的に改めたのが第7話(第2巻収録)でした。
初給料!!!
あぁ甘美な響き。
やっぱ初めての給料というのは高まりますよね。
テンションがぶちあがるのが普通だと思うのですよ。
五月が持ってきてくれた2日分のお給料は、なんと破格の5万円。
1日何時間かも分からないし、5人分とはいえ、かなりお高めのバイト代に思えます。
少し調べてみましたが、家庭教師の平均日収は約3300円というデータがありました。
(最高が1万円、最低が千円だとか)
時給が比較的高く、週2日程度のシフトでもしっかり稼げることが家庭教師バイトの魅力です。生徒とマンツーマンで向き合う家庭教…
「高校生がタメの子を見る」となると、いくら「赤点回避が目標」と言えどもそうそう高めのバイト代は出せないのが普通なんじゃないかなと。
特殊ケースなのでなんとも言えないですが、個人的な感覚としては破格のお値段に感じます。
しかも、風太郎に自覚があるように特にこれといったことをしたわけでも無く。
で、この5万円。
彼は一度受け取りを辞退してるんですよね。
何度も言うようですが、彼は本気でバイトにありつきたいし、その動機が妹ときている。
妹が喜んでいる横で受け取りを拒否れるって、並大抵の精神力では出来ませんよ。
「プライドが高い」と取るのが素直なのかもですが、それにしても高潔さを感じました。
あぁすげえなと。
自分に出来ないことをやれる男には、素直に尊敬しちゃいます。
この後、そのお金を妹のしたいことに使っちゃうのだから、尚更です。
格好つけやポーズでは決してない、風太郎の格好良さが理解できた瞬間でした。
彼のキャラクターは、この後もブレることなく一貫していました。
だからこそ、7話で掌返ししてからは、再度ひっくり返ることがありませんでした。
非情に好印象な主人公像を風太郎には見ています。
僕の中で良い作品として終わった理由の1つに、間違いなく関係していることです。
終わりに
ラブコメにはなかなかいない硬派な主人公だったなと。
珍しいタイプなのかもしれない。
五つ子が惚れるのも理解できる男でした。