「五等分の花嫁」四葉をもっと好きになる第11巻の感想

この記事は

「五等分の花嫁」第11巻の感想です。
ネタバレを含みます。

謎解ける

凄い感動しました。
そうだったのかという事と、喉に引っかかっていた小さな疑問が晴れた事。
四葉に纏わるこれまでのあれこれが判明して、更には、彼女のこれまでのドラマが語られたことで、四葉をもっと好きになりました。

いかんせん僕は浮気性と言うか、可愛いと思ったら1人に絞り込めないところがあります。
今作で言えば、五つ子全員を可愛いと思っています。

一花は、お姉ちゃんぶってて、確かにしっかりはしてるんだけれど、恋に落ちたらポンコツなところとかが可愛い。
二乃のツンからのデレは破壊力やばかった。かなりキツメの暴言を連発してたからこそ、好きになってからのデレデレっぷりが可愛すぎます。姉妹で一番愛情が深いところも良き。
三玖の引っ込み思案で想いを出せないいじらしさ・奥ゆかしさにはどうしても惹かれてしまいますし、応援したくなります。本気になった彼女の行動はいちいち可愛い。
メインヒロイン感満載の五月は、ちょっと抜けてたり、食いしん坊だったりするところが可愛い。

そんな中でもまっさきに好きになったのが四葉でした。
元気な子って好きなんですよね。
無邪気の塊のように人懐っこくて、尻尾をフリフリしてる子犬のようで、最初から可愛いなと感じてました。
他の4人が風太郎に警戒心むき出しだったこともあるのでしょう。
初期値から風太郎に対して当たりが柔らかかったのは大きかったです。

僕はそんな四葉の風太郎への態度を、彼女の性格だと解釈していたのです。
これは間違ってはいないはずです。
誰に対しても積極的に話しかけられるコミュニケーションお化けとしての面は、確かに四葉の確固たるキャラクター性だとは思います。
但しそれは、LOVEとは別の感情であり、あくまでもLIKE。
風太郎への感情は恋愛のそれとは違うという認識でもありました。

故に、小さな疑問もあったのです。
それが第21話の「風太郎の味方をしてるのは好きだから」と唐突に想いを吐露した場面です。

いつから好きになったのか。
何故好きになったのか。
恋愛を扱ったドラマでは無くてはならない要素が抜け落ちていて、すんなりと言葉通りの解釈を出来ませんでした。
(一目惚れという概念は、持ち込もうとすらしてなかったのです)

だからこそ、直後の「嘘」の方を信じちゃったんです。
ああ、四葉らしい茶目っ気だなと。
彼女なら十分にやりそうな行為で、そういう風に描かれていたからです。

そうやってまんまと四葉の性格の裏にある本音を拾えなかったという事実がありました。
今回描かれた彼女のドラマは、いよいよもって、性格と言う「隠れ蓑」を剥いだ先にある本音が見えたので、深く感動したのです。
「そうだったのか」…と。

風太郎との出会いが四葉を変えた

この物語で、読者が気にしていた謎はなんといっても「五つ子の誰が風太郎の花嫁になるのか」ですよね。
2人の結婚式の日を起点として、過去回想と言う形で語られている本作。
そこには、2人の出会いから恋に落ちるまでの「馴れ初め」があって、だからこそ僕ら読者は目を皿のようにして「伏線」を探しながら読んでいます。
きっと、花嫁の正体に繋がるヒントがあるはずだ…と。

花嫁の謎を念頭に入れつつも、しかし、純粋にラブコメとしても楽しんでいる。
あくまでも僕のケースですけれど、その楽しみ方の中には「風太郎と最初に出会った姉妹は誰なのか」というもう1つの謎への興味は薄かったのです。
さして重要視してなかった。

けれど、とっても重要だったのですね。
参りました。ごめんなさい。

四葉が最初の姉妹だったとすると、こんなにも鮮やかに見えていた景色が裏返るんですね。

四葉が風太郎を好きになった経緯もすっきりと納得できるものだったし。
風太郎が他の姉妹を四葉と間違えたことを切っ掛けにして、「個性」を出そうとした点も納得。
部活の助っ人に精を出し始めた経緯と理由も、「風太郎に間違って欲しくない。姉妹には負けたくない」という気持ちの表れだったんですね。
風太郎への本気が読み取れる部分でした。

そんな想いが、しかし、転校の原因になってる点もお見事と言うほかありません。
よほど地頭がいいか、要領が良くない限りは、学業に遅れが出て然るべきですからね。
「四葉が原因で姉妹は転校することになった」という伏線も回収し、また、姉妹の強い絆も再認識できた素晴らしい場面だったと思います。

ただ、四葉にとってこの出来事は、「姉妹との差別化」よりも「姉妹との絆」を優先させてしまったのですね。
致し方ないというか、そうなるのが自然なのでしょうね。

で、転校した先の高校で偶然風太郎と再会した…と。
「姉妹の誰よりも優れている」ことに専念していた頃の四葉だったら、真っ先に正体を明かして、好き好きアピールをかましていたことでしょう。
けれど、もうその頃の四葉はいなかった…と。

味方になることだけが精いっぱいの気持ちの見せ方で、好きという想いを出すことは禁じていた。
姉妹の応援に回っていた本当の理由にも説明がついたし、これまでの四葉の行動の全てが真に理解出来ました。

四葉の気持ちを考えると、なんとも辛いなぁ。
風太郎への想いが強かったからこそ、四葉は四葉らしく変われたけれど、想いが強すぎたが故に諦めざるを得なくなったなんて。

切ないよ、このシーンは。
表情がね、もう、絶妙。
泣くでもなく、悲しむでもなく。
けれど、笑っているわけでも無い。
目は悲しくて潤んでるように見えるんだけれど、眉毛や口元が悲しんでいない。

「好きだった」という過去形にしてる部分も「諦めたくないけれど、諦めざるを得ない」感が出ていて辛くなる。

いまだ恋してない(と解釈してるけれど、どうなのかな?)五月を除いて、4人は4人とも深い恋心を秘めています。
読者と言う立場で全員の気持ちに触れているからこそ、4人全員とも成就して欲しいと心から願ってしまいます。
その上で、どうしても誰か1人に絞らなければならないというのであれば、僕は四葉を応援したいです。

四葉をもっともっと好きになった第11巻でした。

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