はじめに
「はじマン チャレンジ!はじめてのマンガ」第1巻を買ってみました。
はじマン 1 チャレンジ! はじめてのマンガ (ジャンプコミックス)
- 作者: ほったゆみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/12/19
- メディア: コミック
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読了してから全話ネット上で公開中と知り、ちょいブルー入ったのは置いときましてw
色々と面白かったので感想を。
(「演出力」なんて言葉は無いと思いますが…)
コマ割りは難しい
コマ割りってしたことありますか?
僕はあります。
といっても小学生の頃。
あの頃は絵を描くのが大好きで、暇さえあれば絵を描いてました。
下手の横好きだったんですよね。
決して上手い訳では無いのに、ただただ絵を描く事を楽しんでいた。
それが高じて、漫画のようなものまで描いていた時期がありました。
無地の自由帳を買ってきて、そこにストーリー漫画(のようなもの)を何冊か描いていましたね。
数年後に”発掘”して、あまりの恥ずかしさに悶絶死しそうになりましたがw
消し去りたい過去。
けれど、決して記憶からは消えない事実ですから、認めるしかないんですけれど。
ともあれ、当時漫画のようなものを描いていて、最も頭を悩ませたのがコマ割り。
どうしていいんだか全く分からなかったんです。
真っ白なノートにどのようにコマを描いても自由なんですが、あまりにも自由過ぎて逆に分からなかったんですよね。
そんな経験があるから、僕は本書に興味を引かれてしまったのです。
コマ割りって、やっぱり奥が深いってことが再認識できました。
コマ割りの演出力
この作品は、基本的に「読者に自由にコマ割り漫画を描いてもらう」事がテーマになっていました。
お題となる台本をほった先生が考えて、それを元に描いてもらう。
台本は脚色もOKで、そのあたりの自由度が、描いた人の”色”が出てるんですよね。
そもそもコマ割りって何かと言えば、映像作品に於ける演出にあたると思います。
映像作品の場合は、監督なり演出家なりが、台本を元に絵コンテを切りますよね。
この「絵コンテ」が「コマ割り」に相当すると考えているんですが、素人考えなので実際は違うかもしれません。
仮に両者が相当するとして、ならば、「コマ割り」って「絵コンテ」より少しだけレベルが上ではないかと。
「絵コンテ」は、”枠”が決まってるじゃないですか。基本的に。
ドラマならテレビ。映画ならスクリーン。
どちらも四角で統一されている。
だから、”枠”は考えずに、”枠の中”だけ考えれば良い。
「コマ割り」って、その名の通り、枠の形が決まってないから、そこから考えないといけない。
大ゴマにするのか。小さなコマ、斜めに切られたコマ、三角形やオチに使われるような円形。
ぶち抜きに見開きの大ゴマ。
「読みやすく」、「読者が状況を把握出来」、「作風に合っている」事が前提で、自由なんですよね。
この3つの前提だって絶対では無いから、そう考えると無限の可能性があって、正解なんて無い。
漫画の全てを決めかねない事で、超絶重要で、だからこそ難しい。
さて、本題に戻ると、お題となる台本が決まってる訳なので、コマ割りの演出力の高さを見出せます。
脚本そのままに描いているのに、伝わってくるニュアンスが異なってくる。
読後の感想が大きく変わるんです。
それって、コマ割りそのものの演出力を証明していると言えるんではないかな。
僕がそう感じた漫画を2本挙げてみます。
最初のお題である「くまくんときつねくん」を題材とした26歳女性が描かれた作品が1つ目。
脚本が無いとあれなので、ちょっと画像で紹介。
(集英社並びに関係者からご指摘があった場合は、画像を速やかに削除させて頂きます。)
この赤枠の部分が注目ポイント。
「きつねくん」の台詞として、脚本上ではいっきに語られています。
続いては上記台詞を描写している女性の漫画の該当箇所を。
“きつねくん”の台詞を3つのコマに分割。
合間合間に”くまくん”のリアクションを描いたコマを挿入しています。(赤枠部分)
脚本にはキャラの心情やアクションが省かれているからこそなのですけれど、この2つの”くまくん”のリアクションゴマって凄いです。
直後の”くまくん”の「きつねくん?」って台詞が活きている。
“きつねくん”の真意を掴みきれず、置いてかれてしまった”くまくん”の状況が伝わるコマなんですよね。
脚本をこの方なりに消化して、頭の切れる”きつねくん”とそうじゃない”くまくん”というキャラ付がされ、それをコマ割りだけで表現してみせている。
単純に凄いなと思えた部分でした。僕には真似できないなと。
同じような意図を出題者であるほった先生のネームからも感じられたので、このコマ割りは「正解」なんでしょうね。
原作の意図を汲み取って、コマ割りで形にしているという点で。
もしも”くまくん”が頭を捻っている2つのコマが無かったら、「頭の切れる”きつねくん”とそうじゃない”くまくん”」というキャラが掴み辛いと思うんです。
さらっと、動物2匹のただの会話として流しちゃう。
コマ割りの演出力の大事さを痛感した1作でした。
もう1つが、「雪だるまが話した」の”ぽんこつ”さんの作品。
これも上の作品と同じで、合間合間にキャラクターの心情を現したコマを挿入しています。
作中でほった先生が仰っているように、このような台詞無しのコマでドラマを作っていて、このお題の中では一番好きな解釈でした。
終わりに
1つのお題に関して、様々な”解釈”が載っているので、こういった演出の力が見出しやすい構成になっておりました。
改めて漫画に於けるコマ割りの重要性を知れましたし、自分には難し過ぎて無理だなとも感じましたw
また、ネームの大切さも少しは理解できた気がします。
多くの漫画家さんが最も時間を割くと言われているネーム。
一番重要だからこそ、なによりも時間を使って考えに考え抜いて作られてるんでしょうね。
伝えたい事を適切かつ効果的に伝える為のコマ割りを考え抜いている。
凄い作業だな〜と思います。
最後に。
村田先生の漫画はクソ笑った(笑
基本みんなラフ画(ネーム)なのに、1人だけ完成原稿になっていて、脚本の解釈もぶっ飛んでるし、絵のクオリティも高すぎてヤバい事になってたw
これが読めただけでも買ってよかったと思えましたものw
(ネット上で無料で読めるけれど)