「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」 感想

この記事は

「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」。
見てきました。
映画感想では敢えて批判的になろうと、率直な感想を書くよう心掛けてきました。
今回もその姿勢で書かせてもらいます。

尚、本編ラストまで含めたネタバレをしていきます。
これから作品を鑑賞される予定の方は、この先に進まないで下さい。
また、言いたい放題酷評してしまってます。
面白かったという方の気分を害してしまう恐れもあります。

ネタバレあり感想

ハッキリ言って酷かったです。

良い歳したオッサンが見に行って「何言ってんだ」と思われるかもしれません。
子供向けの映画なのだから「大人が見ての酷い」が決して作品そのものの評価に直結しないという意見は正しいと思います。
あくまでも子供が面白いと感じれば作品としては合格だし、そうでないと不合格。
評価はライダーを現役で楽しんでいらっしゃる子供達が下すべきです。
それにしても、「子供が見ても楽しいのだろうか」という疑問がラストに向かうにつれ頭をもたげてきました。

お話の大部分は2012年公開の「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」の焼き直しと言えば、この映画の感想をわざわざ検索してまで見に来て下さってる方には通じるんではないでしょうか。

あの映画では、ディケイドとゴーカイレッドが示し合せ、味方を欺き、大ショッカーを騙すというシナリオでした。
終盤で「実は本気で戦っていませんでした」とネタばらしをして、大ショッカーとの最終決戦に挑むという展開。
今回はその役回りを本郷猛(1号)と村雨良(ZX)が担っていただけ。
強いて違いを挙げれば、平成側に協力者がいなかったという事でしょうか。
門矢士(ディケイド)含め全員騙され役でした。
村雨の役回りに限定して言えば「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」のWライダーと同じ。
要するに目新しい部分が全く無かったという事ですね。

今作が「ライダー映画初めて」というお子さん。
「ライダーが出て来て、戦っているだけで楽しい」と感じられている年齢のお子さん。
大きなお友達でも、特撮が本当に好きな方も楽しめるかな。
個人的にも冒頭のJ対鎧武は迫力十分でした。
「巨大な敵(この場面ではどちらかといえば鎧武に肩入れして見ちゃうシーンだったので、Jを敵と見做して見てました)と戦う恐怖感」がありましたし。
ライダー同士の戦いそのものに楽しみを見出せれば、この映画は絶対楽しいです。
彼らにとっては愉しめるであろうここまでの展開も、彼ら以外には通じないんではないかなと。
少なくとも「ストーリーを重視しているつもりになってる」僕みたいな人間には、少々残念ではありました。

但し、ここまでは些細な事。
問題は昭和VS平成ですね。
この映画の根幹をなしてる部分が、残念無念に感じました。

昭和ライダーの主張があんまりだ!!

今回の戦いは、昭和ライダー勢が一方的に仕掛けたものでした。
バダンを騙す為に平成ライダーに向かって本郷が言います。

「(バダンの侵攻の原因は)お前たちが死んだ者に対して未練を感じているからだ」
「そんな甘えは正義の前では捨ててしまえ」
的な事を。

この言い分はしかし、バダンを騙すためでもアリ、平成ライダーに向けての本音でもあったとバダン殲滅後に本郷が言うのです。

申し訳ないけれど、本郷の主張はバダン以上に厄介な面倒くさい敵組織の言い分にしか思えない理屈でしたよ。
昭和ライダーというものが、そういう作品だと勘違いされているんだとしたら、甚だ遺憾。
葛葉紘汰(鎧武)の主張がどれ程「正義」として正しかったか。

正義のヒーロー同士を戦わせる理由付けとしては、あまりにも昭和を貶めすぎていたかなと。
昭和側の主張は少なくとも僕には全く理解出来なかったし、共感出来なかった。
なんとなく昭和を「硬派な正義感」、平成を「軟派な正義感」という対象関係に持っていきたかったのかもしれませんが、「死んだ人間を顧みない」事が「硬派」なのかといえば、違うと僕は思うんです。
(「硬派」・「軟派」は「成熟」・「未熟」の方が妥当かもしれません)
それはもう正義でも何でも無いよな〜と。
少なくとも僕が知ってる本郷猛の言葉ではありませんでした。

最終的には1輪の花を守った紘汰に本郷が考えを改めて敗北を宣言。
平成勢が勝ちました〜というオチ。
「おのれディケイド!ライダーとはなんて素晴らしいんだ!!」という鳴滝の意味不明の一言で纏めて終わり…。
鳴滝の存在自体謎でしたけれど、決着の方法も締め方も「うううううん」という感じ…。

映画を観る前は昭和側を応援し、公式サイトでも1票を投じていました。
昭和の主張を知ってからは、平成が勝ちで本当に良かったと思いました。
寧ろ昭和側が勝つパターンってどうなっちゃうのか…考えるだけで怖いです。
気分的には「悪が勝った」に近いものになっていたんじゃないかな。
昭和に対する愛情が全く感じられなかったですね。

蛇足感凄まじかった最後の昭和VS平成。
そもそもライダー同士の戦いに対して僕が否定的だからでしょうか。
それを差し引いても、「戦わせるのであれば納得いく動機付け」をして欲しかった。
平成の主張は「正義のヒーロー」として納得いきました。
昭和の主張がダメダメでした。
こういうのは、どちらの主張も正しいと思える事が重要だと考えます。
その場合は、どっちが勝つかは然程重要では無い。
今回昭和側の主張に共感出来なかった僕。
もしも、昭和が勝つエンディングだったら、僕の今作に対する評価はもっと低かったような気がします。

シナリオ面に関してはこれ以外にももにょもにょとした部分があるんですが、やめときます。
これ以上非建設的な個人的な主張を繰り返しても不毛ですので。
(フィリップの扱いを小一時間問い詰めたい衝動はありますがw)
ここからは気分を変えまして、良かった点を挙げてみます。

良かった点

最初に挙げるべきは巧の物語ですね!!
「555」本編のお話は本放送時に1度見て以来なので、正直忘れてしまっているのですけれど、この作品のメインドラマを担っていた「死んだ者への気持ち」という本質を抽出した物語は、面白く見れました。
同じ「シリーズ4作目」かつメカニカルライダーである神敬介(Xライダー)を道標として巧の前に登場させたのも憎い演出でした。

2点目。
オリジナルキャストの変身シーン。
時系列的には敬介の変身はセタップではなくて大変身やろと思わなくもないですが、「Xっぽさ」を演出するには前者で正解なんでしょうね。
「仮面ライダーSPIRITS」のような折衷案(大変身だけれどセタップぽいシークエンスを盛り込んだ変身方法)も好きなんだけれど、往年のXファンからすれば感涙ものだったんじゃないかな〜。

そして藤岡さんの本郷ですよ!!!!!!!
本郷としては後楽園ゆうえんちの「ライダーショー」を襲った史上最もしょぼ…じゃなかった。
史上最も地味な作戦を敢行し、その場で本物に斃された暗黒大将軍戦以来なんですね。
それ以来の本郷役。2度あった変身。
流石の貫録でした。

最後3点目。
アニメ・漫画ブログらしく声優さんに焦点を当てます。
バダン総統役。
オリジナルキャストは納谷悟朗さん。
ライダーシリーズの大首領と言えば納谷さんです。(銭形警部の方が知名度としては上?)
今回、大総統の声を聴いてビックリ。
どう聞いても納谷さん。ちょっと違う気がするけど納谷さん声。
「え?どうゆこと?」って、思わず身を乗り出しちゃうほど。
六朗さんが亡き兄に代わって担当されているのかと思って見ていました。
藤岡さんの事故降板中の代役として1号ライダーの声を充てて以来久々に「ライダー」に出演されているのかと。
家戻ってきて、wikipedia見て更に驚愕。
関智一さんが担当されていたとは(゚ロ゚;)
スゲエです。関智さんヤバすぎです。似過ぎ。

終わりに

近年のタイガーロイドって可愛いと思ってるのは僕だけ?
ぬいぐるみみたいにもふもふしてて、可愛らしいw
そんなタイガーロイドの可愛さも満喫出来ます。

閑話休題。
総括は、どうしても良かったとは言えません。
敬介の扱いが良かったんですから、その分他にも愛情を持って欲しかったです。
平成の持ち上げ役になるのは仕方ないとはいえ、もう少し何とかして頂きたかったですね。

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