はじめに
わたしが見て来た!!
端的に言って最高でした。
感想です。
期待して無かったの
バトル漫画の劇場版は難しいです。
圧倒的に尺が足りなく、物足りなさを覚えやすいからです。
強い敵が出れば、倒すのにもそれなりの尺を求めちゃいますからね。
だから、期待してませんでした。
作画や演出が素晴らしいだろうことはテレビシリーズのクオリティを見れば予想出来てましたが、ストーリーは劇場版としては今一歩なんじゃないかなと。
でも違った。
劇場版のスケールのでかさを示しつつも、物語としての満足感が非常に高いストーリーになっていました。
このストーリー(シナリオ)をバトルと(人間)ドラマに分けて感想を書いてみます。
ドラマ
必要最低限のキャラクターに、必要最低限のバックグラウンド。
説明に割かなければならない点をスリムにしていたので、焦点がはっきりしていて、かつ、見応えのあるボリューム感が出ていました。
キーキャラクターであるデヴィット・シールドを理解できれば、この映画を十二分に楽しめる作りになっていたんです。
彼がどれだけ真摯にオールマイトのことを考えていたか。
相棒として、親友として、オールマイトを支える科学者として。
冒頭からしっかりと描かれていました。
アメリカ時代の活躍、2人の出会い、全てのスーツを開発してきた経緯。
そして、大切な親友だからこそ、彼にも伏せられていた”ワン・フォー・オール”の秘密。
彼が今回の計画を実行した動機の背景が必要十分に伝わってきたから、彼の行為にも理解を示せちゃうんですよ。
デヴィットに「行き過ぎた正義感」を持たせたり、マッドサイエンティストにしなかった点も、彼に感情移入できた理由ですね。
少しでも狂気を持たせてしまうと悪印象を抱いちゃいます。
デクが彼を助けなくちゃと動いても、「自業自得なんだから助けなくても良いじゃん」と考えてしまいます。
そうなると、事件を解決した時の爽快感が薄れます。
デヴィットの行為が正しい訳じゃないし、犯罪に手を染めてしまった事は間違いありません。
ただ、彼をある意味に於いて「被害者」に仕立てることで爽快感を相殺することなく、首謀者と被害者という相反する2つの貌を持たせることに成功していました。
今回のドラマに厚みを持たせることが出来たのは、デヴィットの難しい立ち位置をバランス良く維持出来ていたからと思いました。
バトル
今回の物語は、映画だけのパラレル世界での出来事ではありません。
ちゃんと原作の正史に組み込まれている物語で、時系列的には1年時の夏休みの出来事。
だから、バトル面で1つの縛りが出てきます。
デクが相手したこれまでのヴィランよりも強いヴィランを出せないという縛りです。
映画でシリーズ最強を倒しちゃうと、この後に弱い敵に苦戦するには理由が必要になっちゃいます。
能力バトル漫画なので、能力の相性とか理屈付けはしやすいですが、面倒は面倒。
じゃあ、弱い敵にすれば良い訳でもないです。
バトル漫画のスケール感は、ヴィランの強さに比例する部分が大きいです。
出来れば強くしたい。
この”縛り”の問題を「シリーズ最初で最後の共闘」というジョーカーを切って解消していました。
今回のヴィランであるウォルフラムは、ワン・フォー・オールより強かったんじゃないかな。
全盛期のワン・フォー・オールと比べると、どっちが強いかは分かりませんが、少なくとも今のワン・フォー・オールよりは強かったと思う。
オールマイト1人で倒せなかったですから。
当然、治崎よりも強い。
シリーズ最強なんですよ。
これだけで圧倒的なスケール感を出していました。
あとは、どれだけ苦戦して、撃破に説得力を持たせられるか否か。
雄英最強の攻撃力を誇る爆豪、轟の2枚看板が時間稼ぎくらいしか出来ない。
オールマイトのパワーが通じない。
ボロボロとはいえ、デクでもダメ。
大苦戦します。
どうすれば、倒せるのか?
最高の答えが用意されてました!!
デクとオールマイト、夢の共闘です。
2人の共闘は、今後二度と見られません。
オールマイトの能力が枯れ、引退してしまったからですね。
原作で終ぞ無かった師弟共闘という熱すぎる展開。
これは胸熱ですよ!!
そして、納得の決着ですよ。
アイテムで100%の力を発揮できたデクと”残り火”とはいえ、ワン・フォー・オールをぶっ飛ばせる威力を持つオールマイトの全力パンチ。
これで倒せなかったら、いよいよ誰も敵わないと言える「作中最強の攻撃力」。
裏を返せば、そうじゃないと倒せなかったウォルフラムの強さをも示せている。
単純な尺も十二分だったし、ヴィランも滅茶苦茶強かった。
作画は安定のド迫力。
決着の仕方も説得力ばっちり。
お腹一杯のバトルでした。
終わりに
デヴィットの声優、宮本充さんだと思って見ていたので、エンドクレジットでビックリ。
生瀬勝久さんでしたか。
声優として違和感無さ過ぎ。
志田さんも少したどたどしい部分もありましたが、上手かった。
千鳥の2人は……。
ゲスト声優が違和感なく演じてくれていたので、演技面でも安心して見れます。
今夏の映画では一番良かったし、今年に入っても5本の指に入るかもしれない。
決して事前の期待値が低かったからという訳では無く、フラットに見ても面白かったと自信を持って言えます。
満足感の高い映画でした。