この記事は
「劇場版 THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
この間の土曜日に劇マス2度目を見てきました。
お目当ては、まな先生描き下ろしの新作コミック。
大スクリーンで最低もう1回は見ておきたいという気持ちもあって、何の迷いも無く行って参りました。
2度目でも大満足。
いやはや、何度見ても素晴らしい。
ところで、コミックの方は帰宅時にちょっと濡れてしまったのをタオルで拭いたら、見事に色落ちしてしまって残念な事になってしまいましたorz
製本にあまりお金掛けてない仕様みたいですね。
マジ泣ける。
んで、今回もこの映画について雑感。
感想というかなんというか。
ちょっと思った事をダラダラっと綴ってみます。
しろーさん(id: shirooo105)が春香に絞って感想書かれていたのを読んだからというのもあるかもしれません。
春香に注視して2度目を鑑賞しました。
なので、今回は彼女について思った事を書きます。
以前の感想記事はこちら⇒絆と成長の物語 「劇場版 THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」 感想
春香は甘いのか?
作中で伊織や美希に「甘々」とか「大甘」と評されていた春香。
一度は自分の意志でアイドルになる事を投げ出してしまった可奈の事を見捨てられずに、頑なに「全員で」を貫いた姿勢を指していましたけれど、どうなんだろうって。
甘いのは確かだけれど、見ようによっては厳しい対応をしていた気がするんですよね。
そう感じるのは僕だけでしょうか。
春香が可奈を諦めなかった根底にあったのは「アイドルを諦めてない様に感じた」という感覚的な部分でした。
実際可奈は諦めきれずにいた訳で、この直感は実に正しく、それ故に春香の行動は「甘い」と映る由縁にもなっていたんです。
けれど、「大甘」と云うからには、手取り足取りのフォローがあって然るべきなのではないか。
フォローが無ければ、それはある種の厳しさなんではないかな。
特に春香が可奈を甘やかしている様には見えなかったのです。
アイドルに限らず仕事って厳しいもので、誰だって壁にぶつかったりするものです。
そこで挫けてしまうか、反骨心で頑張れるかは個人にも因りますが、状況や環境にも左右される事。
可奈が挫折しちゃったのは、状況に因る所が大きいのかな。
彼女自身は周りのフォローをして、皆で頑張ろうという気概があったけれど、それに周りの候補生が応えてくれなかったですからね。
志保からはばっさりと突き放されてしまい、しかも言われた事は的を射た(ある種の)正論だっただけにストレスを抱え込み、食べる事に走ってしまい結果太ってしまって。
太ってしまったから、アイドルは出来ないと諦めてしまった。
(ちょっとふっくらした可奈は、個人的には全然OKだったんですが、年頃の彼女からしたら深刻な悩みですよね)
この点に関して、春香は可奈へのフォローをしてないんですよね。
根本の「候補生達の間の心の絆」についても、春香は特に何もしていない。
候補生を集めて話し合わせたりとか、アドバイスを送ったりとか。そういう行為をしていないんです。
作中で描かれた範囲に於いては、ダンスに関しても何もしていなかった。
春香がした事。
「未練があるなら諦めちゃダメだよ」と可奈を連れ戻した事。
これだけで、あとは、彼女自身の気持ちというか志を語って聞かせただけ。
「だけ」というのは失礼な表現かもですけれど、でもこの1点のみなんですよね。
そんな春香の想いは「全員で走り抜けたい」というもの。
志保らは春香の本心に触れて、それまでの行いを改めただけ。
春香の言いたい事を100%理解は出来なくても、「皆で走り抜けたい」という真摯な気持ちが伝わって、助け合っていこうという気になってくれた。
可奈も春香の気持ちに応えたいと思ったのでしょう。
要するに春香の春香たる信念に可奈達が共感したから、可奈も戻ってきたのであって、春香は可奈へのフォロー自体は特にしていない。
この気持ちの吐露が結果的にはフォローになっているとも捉えられますけれども。
涙に込められた想い その2つの解釈
伊織が「常に全力で走っている」と春香を評してもいました。
そう。
トップアイドルを目指して全力で頑張っている少女であって、しかも「全員で」という信念を持っている。
これは、とっても厳しいですよ。
彼女に出会うと、立ち止まる事は許されないんですよね。
抜けようものなら、全力で止めに来る。
「皆で頑張ろう」「皆で一緒にトップを目指したい」と。
可奈も千早も、そうやって引き留められた。
春香自身がどれだけ本気でアイドルに取り組んでいるのかが見て取れます。
アイドルになること・アイドルであり続ける事・トップアイドルになる事に本気だから、ついつい周りも同じ観点で見ちゃうのかもしれない。
どんな壁にぶつかろうと、挫けようと、皆で乗り越えて頑張ろうよと。
手を差し伸べてしまう。
これだけだと人によっては迷惑な子と捉えるかもしれない。
アイドルを目指すのも辞めるのも個人の自由意思だし、それを提示しても止めに来るんですからね。
志保の反論は決して間違ってなかったと思う。
でも、でも違うんですよね。
彼女はあくまでも「甘い子」。
嫌な風には描かれないし、そうも見えない。
見えないのは、あくまでも相手の想いを大切にしてるから。
アリーナで自分の思いを吐露した後、彼女は舞台上で涙を流していました。
その姿を見て美希が「本当に怖がりだね」と言い、伊織が「馬鹿ね」とフォローを入れる。
2回目見た際にパンフを購入したのですが、この中でキャスト陣がこのシーンについて触れられていました。
春香役の中村さんが「裸になって全部の思いをぶつけることはこんなに怖くて、それが受け入れてもらえたことがこんなに嬉しい」と仰っていて、この言葉に春香の優しさが詰まっているなと。
このシーンからは、思いをぶつけるのが怖いのは、相手の気持ちを慮っているからだったんだと僕は受け取りました。
可奈の考えや気持ちを尊重した上で、「天海春香」としての気持ちをぶつけた。
自分の本気が押し付けになってしまったらどうしようという心配、恐れ。
千早の時も自分の行為に悩み、苦しんでいましたけれど、今回もそうでした。
常に相手の気持ちを考え、迷惑じゃないかなと思い悩む。
受け入れてもらえた⇒可奈も同じ気持ちでいてくれた(共感してくれた)⇒気持ちの押し付けにならなかった
だから安堵から涙した。
もしも可奈が心の底からアイドルを諦めていたら、春香だってあそこまでしなかったのでしょうね。
電話して意思の確認は必ずしたでしょうけれど。
さて、パンフでシリーズ演出の高雄さんが「私は天海春香だから」と春香が言うシーンを思い入れが強いシーンとして挙げられていました。
物凄く重いセリフと評していました。
物凄く辛いだろうなとも。
という事は、上で書きました
受け入れてもらえた⇒可奈も同じ気持ちでいてくれた(共感してくれた)⇒気持ちの押し付けにならなかった
という解釈とは別に、もう1つ春香から可奈への思いがあるのかもなと。
辛いという事は、「これが私(の考え)だから、受け入れてくれなかったら一緒に出来ないよ。だから受け入れて」という気持ちも孕んでいたのかもしれないなと。
「可奈を切り捨てる」選択肢も用意していたのなら、非常に辛かったはずですから。
気持ちの押し付けにならなかった安堵から涙を流したのか。
はたまた、「可奈を切り捨てる」選択肢を取らなくて済んだことに安堵したのか。
どちらが正しいのか。
どちらも正しくないのか。
それは僕には分かりません。
けれど、何にせよ厳しさの中に優しさの溢れた春香らしい一幕だったなという印象が強いです。
大きな優しさの中にあるほんのちょっとの厳しさ
伊織が節目節目で良いトコ持っていっていたな〜と。
パンフで美希役の長谷川さんも「感動した」と言われてましたけれど、春香が舞台上で泣いている時のフォローがとっても良い。
もし万が一春香が相手の心情を無視して、強引に引き留めようとしたら、きっと伊織達が正すんでしょうね。
「春香、それは間違ってるわよ」
って。
前の感想記事でも書きましたけれど、今回は(今回も)765プロアイドル達の絆の描写の仕方が、とっても心地いい。
わざわざ口に出さなくても分かり合ってる空気感とでもいうのかな。
自分の考えを押し殺す訳では無く、それでも春香の決定には同調するっていうのが。
「1本筋を通す」(伊織談)事を皆が理解していて、全幅の信頼を寄せているからっていうのが伝わってくる。
伊織や美希が言う「甘々」っていうのは、結構深い台詞だったんではないかなと。
単純に甘いだけでは無い厳しさを含んでいる。
簡単に諦めさせない訳ですからね。
でも、総合的に見て甘いとされるのは、常に相手の気持ちを尊重するから。
甘さの中に厳しさがあって。
厳しさの先には甘さがある。
何を言ってるのか自分でもよく分からないですが、兎に角甘いだけじゃないのが春香なのかなと思う。
厳しいけれど、それ以上の優しい甘さを持った春香の想いが紡いだ素敵なストーリーでした。