久々に凹んだ。
小説とかアニメとか、ドラマ、漫画。
僕は作り物といえど、人が死ぬ話が苦手です。
「金田一少年の事件簿」とか「名探偵コナン」とかミステリは別ね。
キャラクターが死ぬと同じように凹むんです。
気持ちがグッと沈んでしまう。
今、「妹さえいればいい。」7巻を読んでるのですが、久々に凹みました。
関ヶ原幽というラノベ作家の壮絶な死が描かれていて、もう気持ちがグチャグチャになって、凹みまくりました。
何故、このようなキャラクターをこの作品に投入したのか。
疑問でしかありませんでした。
コメディであるはずのこの作品で。
主人公とヒロインがあけすけにセックスするような作品で、どうしてこんな悲しいキャラクターを生んでしまったのか…。
でも、答えは明確です。
ラノベ作家だって人間だというメッセージが痛切に込められているんでしょう。
ネットの悪意に傷つかない人間なんていない
ラノベ作家が業界モノを描いている作品に共通していることがあります。
「妹さえいればいい。」、「エロマンガ先生」、「ガーリッシュナンバー」。
これらの作品で共通してあげられているのが「ネットの悪意」です。
2ちゃんねるなどの掲示板、twitterでのツイートなどなど。
不躾で、汚らしく、悪意に満ちた発言を人は平気で出来るようになりました。
何気なく呟いた悪意はまとめられ、多くの人の目に留まります。
そうした悪意に傷つかない人間なんていません。
ラノベ作家だって同じなんです。
「……アナタほどの売れっ子作家でも、ネットを見て傷ついたりするのね。正直、ちょっと意外だわ」
「当たり前だ」
幽は弱々しく笑う。
「悪意のある言葉をぶつけられて、なにがしかのネガティブな影響を受けない者などいるわけがないだろう。
ましてや小説家なんて、『言葉には意味や力がある』ということを大前提として成り立っている職業だぞ」平坂読. 妹さえいればいい。7 (ガガガ文庫) (Kindle の位置No.1824-1827). 株式会社小学館. Kindle 版.
それでも幽は小説を書き続け、「人々の気持ちを良い意味で動かす事が好き」な気持ちを持ち続け、そういう人が1人でもいれば、作品を届けて行った。
けれど、幽は作中で病に倒れ、余命1年の宣告を受け、死んでしまいました。
最期まで、読者1人の為に作品を届けて…。
上で挙げた作品の登場人物達も皆ネットの悪意に傷ついた作家(声優)を描いてきてました。
でも、その殆どがギャグ調で、若しくは、なんとか跳ね除けて生きているキャラだったのです。
けれど、幽だけは違った。
ネットの悪意に心折られそうになりながらも、それでも、読者1人でも喜んでくれるならと筆を折らずに病床の中、執筆を続け、その果てに亡くなった。
僕にとって物凄く辛い死でした。
反省
僕は作家でもなんでもないですが、ブログということをやっている以上、加害者になりうる存在なんですよね。
度々批評的な記事を書いたりしてますから。
それを読んで、僕が傷つけた人だって実際にいました。
僕は批判する時は、感情的にならず、必ず理由を付して書くことを肝に銘じてますが、そんなの独り善がりの偽善にすぎないんですよね。
そんなことをしても、他人を傷つけてしまったことは事実。
関ヶ原幽というキャラクター自体は創作上の人物であっても、彼女と同じような境遇の人は必ず存在しています。
ネットの向こうには血が通った人間がいるんですから。
ブログをやっている以上、それを肝に銘じて、そして、反省しなければならないなと。
言葉は暴力になりうるんだということを。
アニメ化と作家
少し話を作中に戻して、作中の作家の中にはアニメ化によって知名度が上がり、それ故に悪意に晒されるということがテンプレになりつつあります。
大抵はアニメの出来が酷くて、原作小説を読んでもいない人間からの批判に作家が傷つけられるという構図。
でも、幽の場合は、アニメが大成功したのに…でした。
どちらに転んでも、アニメだけ見て、原作をしっかりと読まず、一部だけを切り取って批判する人が出てくると描かれていました。
アニメとそれを元にした原作は別物です。
コンテンツが異なる以上、表現手法から何から何まで別物で、同一作品といえど「別の作品」となります。
アニメだけ見て、原作を批判することは愚かしいこと。
これもまた事実として僕達「作品を享受する側」が受け止めねばならないことですね。
単純なラブコメでは無い。
「妹さえいればいい。」。
作家の幽のヒット作も「妹さえいればいい!」でした。
ここでタイトルを作中に出してきてる以上、平坂先生の描きたかったことが幽というキャラクターに集約されていたのかなと。
今一度ネットとの付き合い方を考えるには、これ以上無いキャラクターであったと思います。
僕と同じようにネットで失敗を犯した事がある人には、是非「妹さえいればいい。」をお勧めします。