この記事は
恐らく「この中に1人、妹がいる!」の考察記事。
「俺妹」、「兄好き」のネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
妹がヒロインの作品って遡ると、何が始まりなのでしょう?
よく分かりませんが、かなり昔から存在するような気がします。
ただここ数年(10数年?)、非常に目立ってきた気もするのです。
僕がアニメの…特に深夜アニメの視聴本数を増やしたからだと思います。
漫画、ゲームを原作としたアニメ作品というのはそれこそ大昔から存在します。
深夜アニメはそれらにプラスして、ラノベやエロゲー原作作品も多数あり、これこそ、「妹がヒロインのアニメ」を多く見かけるようになった要因なのではと考えます。
ハーレムものも増えて、1作品に登場するヒロインが複数になると、高い確率で「主人公の妹」が出てきますしね。
そんな訳で、「妹萌え」なんて言葉が出来始めてからかなりの年月が経ちますけれども…。
実際に妹がいる兄にとっては、幻想でしかありません。
妹萌えは幻想だ。
どれだけ多いのだろうと思ったので、ラノベに的を絞ってググってみました。
簡単にヒットしましたw
「妹がメインヒロインのライトノベル一覧」 主にライトノベルを読むよさん
2chのまとめサイトさんなのでしょうか?(存じ上げず、すみません…)
分かりやすく一覧にまとまっていました。
パッと見で、作者・作品名・レーベル名+巻数 だと思ったので、「中妹」の正体不明にビビった事は内緒だ。
作者不明なのかと一瞬思ってしまった阿呆な僕。
閑話休題。
これで全てでは無いのかもしれませんが、ここだけで34作品。
しかもこれは「妹がメインヒロインのラノベ」なので、メインだけでは無く、「ヒロイン」と幅を広くすればもっと多くなるのでしょう。
予想以上に多くて驚きました。
これらの中でも僕のように実際に妹がいる身としては「実妹と恋仲やそれ以上の関係になっちゃう作品」は苦手だったりする方も少なくないんじゃないでしょうか。
僕自身そうなんですよね。勿論実際に作品に触れて面白ければ、関係無くなりますがw
例えばアニメ化の企画が進んでいるらしい「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」という作品は、タイトルだけで「関係ない訳あるか〜っ!!」とツッコみたくなります。
ファンタジー過ぎて眩暈がしますが、内容が気になるのでアニメは絶対に見ます(良いお客さん過ぎる…)。
兎も角ですね…。
兄が妹を異性として好きになったり、その逆だったりというのはファンタジーなんですよね。
実際そういう事もあるとは思いますけれど、それは本当に理解できないというか…申し訳ないけれども普通では無い事だと思います。
この感覚は、一般的な、少なくとも現代日本を生きる大多数の人に共通する感覚であり、実際に妹がいなくとも理解して頂けることであると考えます。
だからなのか、血の繋がりが無い事をそうそうに明かしている作品も少なくありません。
「KISS×SIS」とかがそうですね。
両親の再婚で「兄妹」となった双子の姉と弟のラブコメディ。
こういうのは、何の抵抗も無く楽しめます。
という訳で、「妹萌え」というのは実際に妹の居ない方々の幻想なのです。
先日ネット上で「妹なんて小っちゃい母親。母ちゃんに萌えるか?」という至言を見ましたw
僕はこの言葉に大いに頷きました。
これが現実。妹萌えはファンタジーなのです。
そう。何度も書くようですが、ファンタジーなのです。
何も妹である必然性は無い。姉でも良いし、弟でも兄でも良い。
近親者間の恋愛を描いた作品の内、視聴者に倫理観を問う様な作品でも無く、純粋にエンターティメントを旨とした作品を楽しむ秘訣は、徹底して非現実的なモノと認識する事なのかもしれない。
「妹が兄を好きになる訳がない」という現実的な見地を挟み込んでしまうと、こういう作品はなかなかに楽しめない気がします。
さて。
こういう考えは何も視聴者だけでは無く、作品を作っている作者側も当然持ち合わせていると思います。
それでも何故か妹をヒロインに据えた作品を世に出している。
そこには様々な工夫が凝らしてあると僕は思っております。
妹を上手に扱った作品、その一例
この手の作品、苦手と言いつつ、でも何故か気になってチェックしちゃうんですよね…。
んで、色々見ると面白い作品に当然のように出会えて。
最近で面白いと思ったのは2作品。
「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」と「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」です。
どっちもタイトル長すぎの2作品w
どちらもアニメで作品に触れ、共に原作にまで手を出した作品です。
先ずは前者。
僕の苦手意識は1話であっさりと無くなりました。
実は血は繋がっていませんでしたという事実があっさりと明かされたからです。
前述の「KISS×SIS」と同様のケースであり、こうなるともう普通の恋愛コメディと見做せる。
ただそれで終わっていないのがこの作品の面白い所であります。きちんと「兄妹」であることを作品に落とし込んでいるんです。
奈緒(妹)の事を思う修輔(兄)に、「奈緒を一人の異性として気にしてはいるものの、奈緒が自分を実の兄と信じているから手を出さない」という信念を守らせている。
奈緒の前では、一般的な兄を演じさせている訳です。
この設定のお陰で、現実的な兄妹の関係が上手に落とし込まれていて、(血の繋がりが無いとはいえ)兄妹という設定を持ち出した必然性が生まれている。
作品としては、これを全て奈緒が見透かしていて、誘惑したり・からかったりして楽しんでいるのでラブコメとして成り立っていたりします。
血の繋がりが無いという点で兄妹間の恋愛というタブーをクリアし、かつ、ユニークな設定を兄に与える事で「兄妹もの(?)」としても成り立たせている。
非常に面白い作品であると思っています。
そして「俺妹」です。
大方の事は過去に記事にしましたので割愛しますが…。
この作品のメインヒロインは妹の桐乃で、ラブコメで。
だとすると、主人公である兄・京介を異性として好きになる話(若しくは京介が妹を好きになる話)であっても不思議では無く。
そうはなってない所が僕が最も好む点なのかもしれません。
異性では無く、実の兄として、実の妹として…互いを想い合う兄妹のお話で、だからこそ好きになったのかもしれません。
この2作品に共通するのは、作者側が「近親者間の恋愛を禁忌視している(ように見える)」という事でしょうか。
その上で、兄妹のラブコメを展開させている。
先程「「妹が兄を好きになる訳がない」という現実的な見地を挟み込んでしまうと、こういう作品はなかなかに楽しめないかも」と結論付けましたが、これを作者側がやってくれているんですよね。
だから、こういう気を使って作品に触れる必要が無い。
これは大きな魅力だと感じます。
「この中に1人、妹がいる!」のユニークな手法
さて。今期にも妹モノがあります。
「この中に1人、妹がいる!」ですね。
3話まではあまり楽しめないでいたのですが、4話でいっきに先の気になる展開になってきたアニメです。
この作品も実にユニーク。
一見すると、これまでの既存のハーレムモノと何ら変わらないように見えるこの作品。
しかし、主人公・将悟の考え方が実に面白く、それが良いスパイスになっているのです。
「俺妹」等と同様やはり根底には、兄妹間の恋愛を回避したいという思惑が透けて見えており、将悟に「誰が妹か分からない状況だから手を出さない」状況を用意している。
これが既存のハーレムモノとは一線を画していると考えます。
大多数のハーレムモノの主人公がそうであるように、彼らは基本的に恋愛感情に超鈍感という性格付けがなされます。
故に、多くのヒロインが求愛をしてきても主人公はそれに気づかずに、ラブコメとしてお話が成立してしまう。
若しくは、主人公はドスケベというのも良くあるパターンでしょうか。
誰それ構わず手を出して、なかなか一人に絞り込めないという「一夫多妻」的な考えを持たせる事で、やはりお話を成立させている。
早々にヒロイン勢から、主人公が誰か一人に絞り込んだりしちゃうと「ハーレムモノ」は成り立ちませんから、それを避けている訳です。
この作品は、その「ヒロインを絞り込む事を避ける手段」として「妹」を持ち出している。
非常に分かりやすい理由を付けて、迫りくる多くのヒロインから避けて来たのですが…。
4話にして早くも、ヒロインの内2人が妹では無いと判明してしまいました(笑
ようするに、この2人の内どちらかを将悟が選んでしまうと、この物語は即ハッピーエンドとなってしまいます。
残り3分の2も残して終わってしまう可能性が出てきましたw
だから、この先が非常に気になるのですね。
先程書いた4話以降の展開が気になるという理由がこれです。
この先どうなるのか…。気になります。
まとめ
ストレートに妹(等近親者)と結ばれてしまう作品も多々あり、そういったものは僕自身苦手ですが、面白ければOKだと考えます。
ただ、そうはならないけれど「妹」をヒロインとして出している作品には、共通して「近親者間の恋愛」をタブーとしていて。
その上で様々な工夫を凝らしている。
義妹とするのがベターで、最も多いかもしれませんが、そうじゃない作品も一杯あって。
苦手だけれどチェックしちゃう理由は、そこにあるのです。
僕が思いも付かなかった様なユニークな工夫を見たいから。
そういう好奇心が働きかけて、僕はこれからも妹モノを見てしまうのでしょう。