この記事は
「友達の妹が俺にだけウザい」第8巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
修学旅行編、前編。
メインヒロインが友達の妹ということで、年下ヒロインが物語に絡めない問題をどう解決したのか?
答えは、もう1人の友達の妹をメインに打ち出すことでした。
感想を。
翠の初恋をもっともっと読み続けたかった。
明照と菫の関係を「友達」とすると、菫の妹の翠は確かに「友達の妹」となるのか。
2人の関係性を正確に把握できてない翠からすると、そういう解釈になるんだ…。
一教師と生徒では無いのは間違いようも無いけれど、友達かと言われると、正確に両者の関係を知る僕らからすると「?」。
というかそんな発想が全く出ないほど、歪な「同僚」関係。
同僚と言うのも大分まろやかな表現で、実際はドS上司と飼いならされた下僕。
そんなだから、翠から「友達の妹」発言が出た時は一瞬理解ができなかったりw
ともあれ、僕としては予想の外からの展開だった今回。
京都を舞台としたもう1人の友達の妹とのラブコメは、こう来たか~という意外性だらけの物語でした。
滅茶苦茶個人的な嗜好を言えば、もっと前から翠を物語に絡めて、大々的に翠編をやって欲しかった。
恋の萌芽こそあったものの、自覚から告白と結果までを1巻で済ませてしまったのは、ちょっと残念だったかな。
もう少し丹念に翠の初恋を見ていたかった。
とはいえ、明照の「恋愛感情を教えて欲しい」に対する返答がスマートで最高だった。
や、これさ、例えば、例えばだけれどさ「私と付き合っていれば、そのうち分かるよ」的な返しも出来た訳で。
もっと言えば、清水寺で明照が感じた気持ちを聞き出して、「それが恋だよ」とも出来た。
これらの返しをしたところで、翠の勝利が確定するかと言われれば、そりゃ多少勝率が上がるくらいだろうけれど、少なくともこの場で負け判定は防げた可能性が高いと思うの。
「もう少し考えさせてほしい」的な保留を引き出して、友達以上の関係から少しずつ篭絡していくという作戦だって取れた…はず。
それなのに、「自分に告白されて、スキンシップを取られた現場を見られたくない相手が明照の好きな人だよ」とか言っちゃう。
自分に勝ち目が無いと分かり、受け入れて、明照の気持ちを優先した上での行為。
や、違うかもしれない。
直前の真白とのやり取りからすれば、そんな殊勝な気持ちでは無かったかもしれない。
けれど、そう感じるくらい明照を優先した返答をしちゃうのが、すげぇ切ない。
切ないのだけれど、あまりにも的確でロジカルな返答は物凄く翠らしかった。
負け戦前提での告白は、やっぱりきついよなぁ。
明照のデリカシー皆無な「恋愛感情を教えて」発言も酷すぎるし。
翠の報われなさが凄い。
真白の成長が見れたエピローグ
今回翠の本気でまっすぐな想いに「論破」された真白。
そこからの覚醒はなかなかに熱かった。
実父である月ノ森社長との駆け引きは、エピローグとは思えないほど読みごたえがありました。
真白が持ち出した自作のIP(Intellectual Property:商標権)がライバル企業に渡るリスクについて。
これは彼女の言うように直接的なダメージを与えるかと言うと、そんなことは無いと言えそう。
ハニプレがどんだけの大企業なのかは不明だけれど、任天堂レベルだと仮定すれば、切り傷が良いところでしょう。
けれど、真白の作品が大ヒットしたら、風向きも変わるんじゃないかな。
それも2人の親子関係が明らかとなれば、「娘の作品を自社で扱えなかった責任」を追及される恐れはある。
社外の株主からそのような批判が出れば、多少のダメージにはなり得るのではないか?
ぶっちゃけ僕は社会人の癖に経済についてとんと疎いので、どうなるのか予測すら出来ないのですけれど、決して看過出来ない立派な「脅し」になってたのでしょう。
真白が言うような「会社が傾くレベルの間違った意思決定」にはなり得ない(ゼロではないだろうけれど)にしても、天地堂には水をあけられそう。
これまで真白が築いてきた人脈や知恵を駆使した立派な駆け引き。
こういうことが出来るようになったという点で、彼女の成長が見られるし、社長が危惧することにはなり難いという証左になりそうです。
やはり彩羽しか勝たん
彩羽、京都に降り立つ。
今回なかなか出番の少なかった我らが正ヒロインですが、終盤に於いて遂に京都へ。
もうちょっと明照が恋しすぎてメンドクサイ感じになった彩羽を見たかった気もしますがw
いよいよ9巻の修学旅行後編で巻き返してくるのか。
巻き返してくれないと困る。
彩羽の奮闘を期待しつつ、次巻を待ちます。