この記事は
「女子高生の無駄づかい」について。
ネタバレあります。
残念ドラマ
今クールは、実に2本の漫画が深夜帯で実写ドラマ化されています。
1つは「ゆるキャン△」。
キャストの演技から演出まで、徹底的にテレビアニメ版を意識した作りとなっておりファンの間でも好意的に受け入れられているようです。
まさか松ぼっくりをちゃんと「喋らせて」くるとは思わなかったので、細かいところまで丁寧に作られている印象を持っています。
福原遥さんが声優業で活かした力を発揮しているのか、アニメ版声優の東山奈央さんの演技に寄せてきているところもポイント大ですね。
そしてもう1本が「女子高生の無駄づかい」です。
テレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠という好待遇で実写化されています。
ティザービジュアルを見てから、結構楽しみに放送を待ちわびていたのですけれども…。
キャストは良いんですけれどね。
バカは馬鹿だし、ヲタ可愛いし、ロボは豊崎愛生さんの演技に見事なまでに寄せていらっしゃるし。
ただ、オリジナル要素がイタイ。
連続ドラマ内小説は駄々滑りしてるし、オリキャラの教頭は暴走してるし、ロリの婆ちゃんの改変が謎だし。
そもそも論として、教頭で笑いを取りに行ってる時点で、原作愛を感じません。
別にオリジナルキャラで笑いを取りに行くなとは言いません。
ただね、この作品の主役はあくまでも「女子高生」であって「教師」じゃないんですよ。
ワセダとのみの絡みで笑わせようとしてるだけなので、邪魔でしかないよね。
（教頭役の大倉孝二さんをdisってるつもりはありません。）
もう既にけちょんけちょんに言いたいこと書き殴りましたが、もう少しお付き合いください。
本来の趣旨はここではありませんので。
ドラマとアニメでは、CMを入れるタイミングが全く異なるんだなぁと改めて感じたのです。
フリとオチを分断するギャグ作品にあるまじき編集
1つ、とあるエピソードを取り上げて検証してみましょう。
あ。
この為だけに、原作全巻購入しました。
取り上げるのは、原作第2巻の「かべ」です。
リリィがバカとの間にティッシュの壁を築くというエピソードですね。
原作では、リリィが男嫌いになった経緯（回想）から始まって、バカが徐に納豆を食べ始めるところがオチになっています。
納豆嫌いのリリィは、「臭い!!もうやだぁこの席」と全力でバカの行為を非難していて、「この後滅茶苦茶席替えした」というナレーションで締めくくられていました。
続いてテレビアニメ。
第5話「りりぃ」のAパートで映像化されています。
原作のエピソードを再構成して、「にがて」の電車内パートの直後に教室でのティッシュ壁～となっています。
オチは、原作の「この後滅茶苦茶席替えした」を膨らませていました。
リリィが席替えして欲しいとワセダに迫るも、思わず触れてしまい絶叫。
ワセダが席替えを許可するという流れになっていました。
この直後アイキャッチが入り、CMという構成です。
最後にドラマは、第3話「脱ぎたてのパンツの価値」でありました。
すきっ腹にビーフを調べるところまでは原作通り。
その後起きたバカは、カバンをがさこそ。
化粧ポーチを取り出すと、中から何故か納豆が…という原作では省略されたシーンが入りました。
（原作で化粧ポーチから取り出したのかは不明ですが）
このままオチまで…行くことはなくCMに入るのですよ。
CM明け、納豆をすするバカに呆れるリリィというオチをやって、次のエピソード（チョコ菓子を巡るじゃんけん）に入るのですが…。
原作のエピソードの再構成やいくつかを繋げて長いエピソードにするというのは、アニメでも珍しくない改変です。
ただ、アニメでは絶対にオチまでやってからCMに入るようになってるんですよ。
当たり前ですよね。
オチまで含めてようやく1つのエピソードが終わるし、なによりそこで笑わせるためにフリがあるのだから。
フリとオチを分断したら、余程でない限り笑いは取れませんよ。
テレビドラマというのは、そういった当たり前を無視した上で成り立ってるメディアなんでしょうね。
前提から異なっているというか。
ドラマは、視聴者に最後まで見てもらうことだけに力点を置いているのでしょう。
常に引きを意識して編集しているのだと思う。
言い換えれば、CMに入った瞬間にチャンネルを変えられないように腐心しているのでしょうね。
ギャグで言えば、最も引きを作れるのは、言うまでもなくオチです。
視聴者はどんなオチが待ってるのか気になるので、その前でCMを入れれば、チャンネルを変えられずに待ってくれるだろうという算段。
先程のエピソードで言えば、バカは納豆を取り出してどうするんだと思わせておいて、興味を引っ張っています。
けど、それならばオチにこそオリジナリティを入れ込むべきなんですよ。
CMが明けて、さぁオチはどうなるんだって注目を集めておいて、ただただ納豆を食べるだけ。
普通過ぎますし、これで笑えって方がどうかしてます。
全てのドラマが同じような形で編集されているとは言いません。
ただ、今作に於いてはバラエティ番組と似た構成でCMを入れるタイミングが作られているように感じました。
この点も「ギャグ漫画」である原作を悪い意味で殺してしまっていると思うのです。
終わりに
「女子高生の無駄づかい」の無駄づかい。
実写化するならば、原作を尊重して欲しいものです。