この記事は
「週刊少年ジャンプ」に関する考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
ジャンプは最近ラブコメ漫画を欲しているのかもしれない
ここ数年のジャンプは、どうも編集部が推すジャンルの作品を矢継ぎ早に投下する事が多いように思います。
顕著だったのがサッカー漫画やバスケ漫画の「連続投下」。
2010年の「少年疾駆」(全2巻)から始まり、「LIGHT WING」(全3巻)、「DOIS SOL」(全2巻)と嫌になるほど連載を立ち上げ、全て突き抜けていきました。
バスケに於いては、サッカーほどしつこく無かったもののほぼ同時期に現在も連載中の「黒子のバスケ」と「フープメン」(全2巻)が連載されたのは記憶に新しい所です。
これがただの偶然なのか、はたまた本当に意図的なモノなのかは一読者にしかない僕には計り知れませんが、どうもワザとにしか思えなかったりします。
ただ、これらのジャンルの作品が連載に繋がりやすかったというのも、また事実だったとも思っています。
WJで長期連載を成し遂げたスポーツ漫画は、驚くべきことに2002年開始の「アイシールド21」まで遡らなければ無いという事実があるからです。
バトル漫画が充実しているジャンプに於いて、この「空席」となっているジャンルでの挑戦は、編集部としても望むものだったのではないでしょうか。
今春からTVアニメが控えている「黒子のバスケ」が何とか長期連載のレールに乗っかった為、一先ずはこのジャンルでの挑戦も終息したのか…。
「DOIS SOL」連載から一年経った現在この作品を最後に今のとこスポーツ漫画の連載は止まっております。
となると、編集部は次の「空席」を埋める段取りに入る事になる。
それが今回は「ラブコメ漫画」だったのではないかというお話で、ようやく本稿に入っていけます(笑)
ジャンプのラブコメ史
ラブコメと一言で言いましても、その定義が難しいです。
多くの作品には、少なからずこの要素を孕んで居る事もあり、どこからどこまでをこのジャンルの作品と見做すかは人によって分かれるかと思います。
そこで、恋愛漫画も含めて大きく3つに細分・選別して、ざっとジャンプのラブコメを振り返ってみます。
尚その選別基準は僕基準ですので、悪しからず。
(1)SFラブコメ
最初の分類はこれで。SF・魔法等非現実的な要素を含んだラブコメディ作品ですね。
このジャンルでの最も有名な作品は、僕がまだジャンプを読み始める前に始まった「きまぐれ☆オレンジロード」なのではないでしょうか。
アニメ化もされ、長期連載も果たした有名作品です。
冨樫氏のデビュー作である「てんで性悪キューピッド」や「密・リターンズ!」(前半のみw)等もこれに含まれるかな。
この系譜に於ける近年の最大のヒット作が「To LOVEる-とらぶる-」となるのでしょうね。2度のアニメ化を成し遂げ、続編もヒットしている漫画です。大好きです。
個人的には「エムゼロ」も推したいものです。叶先生の主戦場であるこのジャンルの作品群の中でも群を抜いて好きな作品でありました。
現在連載中の「鏡の国の針栖川」もこれに該当します。
(2)正統派ラブコメ
非現実的な要素が見受けられないラブコメ作品です。このジャンルでは作品よりも作家で語った方が早いと思います。
河下水希氏です。元々少女漫画畑で連載経験を持っていた作家さんだけに、それまでのジャンプにはあまり無かった作風のラブコメ漫画を連載していました。
中でも氏の最大のヒット作は「いちご100%」でしょうね。
ジャンプのラブコメ作品としても最長連載ホルダーを誇るという同作で、アニメ化も果たしました。
連載中の「ニセコイ」はこの系譜の作品です。
(3)恋愛
コメディというよりも恋愛漫画として見た方が妥当な作品群。
これも作家で書いた方が絶対早いです。桂正和氏ですね。「I”s」、「電影少女」等々、ジャンプを読んできた男共は一度は通過しなければならない作家さんです(笑)
作品的な人気もさることながら、絵柄への強烈なファンも多くいる作家で、まさにジャンプの恋愛・ラブコメ作品の雄と呼んでも異論は無いと思われます。
ちなみに、読切「恋染紅葉」はここに該当。
と振り返ってみたところで、ようやく現在連載中のラブコメ2作と今回の読切の話に入っていきます。
始めから超長期連載を狙っていない様な作風という共通点
「鏡の国の針栖川」が終わりそうです。展開的にもさることながら、作者コメントも終わりをチラつかせる感じで、僅か30回前後での幕引きとなりそうです。
これはいつもの早期打ち切りなのか?掲載順も下位で定着して居た為、この説を否定する要素は残念ながらありません。
しかし、僕はあえてこれは当初の予定通りだったのではと推測しています。
理由は作者の叶氏に「長期連載する意思が無い事」ですね。「エムゼロ」連載時に全10巻というジャンプでは比較的短い巻数での終了となったにも関わらず
「長すぎた。もう連載は…」のような弱気とも取れるコメントをされていたような記憶があります。
ここから考えると、これは当初の予定通りであったのではと思えるのです。
それを裏付けるのがこの漫画の設定です。
どう考えても風呂敷を広げようの無い設定で、この事はどうやらコミックスでの作者コメでも自ら触れているようです。
僕はコミックスを買っていませんので確認していないのですが、どこかのブログの感想に書かれていたと思います(汗)
なので、この作品に於いては打ち切りよりも(ほぼ)予定通りの終了と考えるのが無難な気がします。まぁ、まだ終了が確定した訳ではありませんが。
で、この漫画程では無いのですが同じくあまり長続きし無さそうなのが「ニセコイ」。
最近の僕的一押し作品なのですが、これもまたすぐに終わっちまいそうな雰囲気。
「To LOVEる-とらぶる-」や「いちご100%」、「I”s」等このジャンルの長期連載群のように、ヒロインを増やせばいくらでも水増しは出来そうですが。
それをしなければ恐らくすぐにでも終わろうと思えば終われちゃう感じに見えます。
それ程簡単に畳める作りになっていると感じます。
今回掲載された読切もそう。
読切作品なので予めコンパクトに纏まった作品である事は当たり前なのですが、それにしてもこのまま連載をすると想定した場合、やはり長続きはしないような感じの作品でした。
50巻、60巻なんて通過点なのではと思えるほど、超長期連載作品で溢れ返っている昨今のジャンプに於いて、このジャンルの作品だけは何故かこの波に乗ろうとはしないようです。
とはいえ、そういう事が出来るジャンルでは無いので、当たり前と言えば当たり前ですが、それにしてもコンパクトな作品が多いように思えます。
それこそ2、3年くらいは連載して欲しいとは思っても、長くても1年足らずで終わってしまいそうに感じるのは、僕がこのジャンルの作品に飢えているからなのでしょうか。
もしそうでは無くて、これも編集部の仕掛ける方策なのではと穿った考えをしてみます。
ジャンプの深夜アニメ化へのシフト
最近はゴールデンや夕・朝方のアニメ作品が少なくなってきました。
これは昔っからアニメとは切っても切れない縁にある(と勝手に想っている)ジャンプにとっては死活問題なのではと思っています。
ジャンプ作品の様な長期連載漫画は、深夜アニメの放送枠には持て余しちゃうんですよね。1クール、2クールでは作品の良さを描くのが難しい作品ばかりなのではと思うのです。
「ONE PIECE」等の看板作品が終わった際の「次」を狙うと、それこそ何年先になるのかも分からないですし、限られた放送枠を取るのも至難の業。
そこで着目したのが、ラブコメジャンルなのではないかという点です。
ラブコメの様な短く切れ目の作れるジャンルの作品ならば、深夜アニメとの相性もバッチリで、それは実際多くの作品が証明しています。
毎期数多く制作されている深夜枠ならば確保するのも、全日帯よりは安易でしょうし、人気さえ出れば2期、3期と繋げられる。
原作の巻数が短ければ、あわよくば原作同様のラストを迎える事も可能。
そういった事情からラブコメ作品の「連載期間」が定められ、「針栖川」、「ニセコイ」と弾が発射されているのではと考えたのですが、あまりにも妄想が行き過ぎて痛々しいものですね(汗
なんによせ、ラブコメ好きの僕としてはこのジャンプの傾向は嬉しいばかり。
特にサッカー漫画に辟易していたので尚更です。
「針栖川」が終わっちゃいそうで残念ですが、その分「ニセコイ」が頑張ってくれれば嬉しく思いますね。
余談ではありますが、「恋染紅葉」の原作担当の坂本次郎氏が坂本裕次郎氏だというのは本当なのでしょうか。
そう思って読んでみると確かにあざとい描写に溢れていますねw
流石にまだ伝説を残した「あててんのよ」のキャラ性は健在なのかもです。その勢いで作品も「あててんのよ」として頂きたいものですが、先ずは連載化が先ですねw
連載でも読んでみたいので、いつか始まる事に期待です。