ジャンプ2020年問題を検証する

この記事は

「週刊少年ジャンプ」の記事です。
ネタバレあります。

はじめに

最近twitterで来年の「週刊少年ジャンプ」の誌面を不安視する声を目にします。
というのも屋台骨を支えている人気漫画が大挙して終了する可能性が高いからです。

ざっと挙げてみましょう。
「約束のネバーランド」は最終章のクライマックスに突入してます。
早ければ春を待たずに円満完結を迎えそうです。
4月から放送が予想されるアニメ2期は、原作完結まで描かれるかもしれません。
20年12月公開の実写映画はちょっと時期を逸した感がありますね。

「ぼくたちは勉強ができない」も受験本番を迎えています。
高校卒業後も物語が続く可能性はありますけれど、本来のテーマを考えれば完結を迎えることが予想されます。
現実の卒業シーズンに併せて完結するかもしれません。

19年に大旋風を巻き起こした「鬼滅の刃」ですが、驚くべきことに最終決戦が始まっています。
個人的には、まだまだ続くのではないかと見ているのですけれど、サクッと完結しちゃうのかもしれません。

アニメ2期が決定した「Dr.STONE」。
やはり最終章「第三部 Dr.STONE」に突入しています。
20年内の完結はないかもしれませんけれど、元来の展開の早さが最終章になっても健在の為、十分に終了の可能性はあります。

「ハイキュー!!」も終章に突入しました。
今挙げた中では最も終了時期が読めない作品です。
ゴールが明示されていないので、この先数年続くかもしれませんし、あと1試合描いたら終わるかもしれない。

もしこの5本が終わるとすれば、連載ラインナップはいっきに薄くなります。
返す返すも今年の不振が痛いですね。
「チェンソーマン」(連載開始時期は2018年)1本だけですからね。

一体どうなってしまうのでしょうか。
ちょっと足りない頭で考えてみます。

設定の消化不良感が足を引っ張る「サムライ8」

編集部にとっての最大の誤算が「サムライ8」だったのではないでしょうか。
「NARUTO」終盤に目立っていた設定説明の消化不良感が改善されてないのが、読んでいて辛いところです。

個人の感想になりますが、悪役側の設定(過去や人間関係、感情、目的に至るまで全て)がイマイチ呑み込むことが出来ず、物語に入り込めないでいたんですよね。
僕の読解力の低さが原因と言われると反論が出来ないんですけれど、どうも設定の開示の仕方が上手く思えなかったのです。

「サムライ8」は、そもそも設定の難解さに定評のあるSFに挑戦した作品です。設定を理解できるか否かが、作品の根幹に深く関わってきます。
でも、そこが上手くいってない気がしてなりません。
大ヒット作品を作ったベテラン漫画家先生に使う言葉ではありませんが、自己満足から抜けだせてないのかなと。
読者を楽しませよう、分かってもらおうという気持ちが見えずに、独り善がりになっている気がします。
全く頭に入ってこないんですよね。

他の連載漫画が打ち切られているので、まだまだ続くのでしょうけれど、どうなるのか。
今作が救世主に化けるようなことがあれば、連載陣に厚みが増すのですが。

「夜桜さんちの大作戦」に頑張って欲しい

完全に私情ですが、「夜桜さんちの大作戦」に続いて欲しいのです。
太陽の成長があまりにも早すぎる気がしないでもありませんけれど、これは正解なのでしょう。

1クール打ち切りのある「ジャンプ」で、悠長に主人公の成長を描いていたら、成長する前に打ち切られてしまうからです。
勿論大きな敵を討ち斃すことが目的のバトル漫画では、ゆっくりと成長させることが弊害になることは無いはずです。
しかし、今作のように「普通の高校生がスパイとして一人前になってヒロインを守ること」をスタート地点に置いている場合は、そこに辿り着くまでをグダグダと時間をかける訳にはいきません。

1話完結も長編シリーズも出来る設定です。
当初から個性的なキャラを多数登場させている点も、飽きさせないという意味で〇。
むしろ、この点を(偉そうな言い回しになりますが)最も評価してます。

打ち切られる作品の傾向の1つに、登場キャラの少なさがあると思っています。
主人公とヒロイン、ライバル。
最低限のキャラだけで序盤の数話を回して、いざ新キャラを出した際には手遅れになっている。
序盤から惜しみなくキャラを出して、速攻でキャラを掘り下げる。
とはいえ、モブを大量に出しても無意味なので、魅力的なレギュラーキャラを出す必要があるんですけれどね。

「夜桜さんちの大作戦」は、一癖も二癖もある兄弟をいっきに出して、どんどん当番回を作ったところが、読んでいて本当に楽しかったです。

魅力的なライバルやサブヒロイン等、脇を更に固めていけば、人気漫画の仲間入りを果たせると思っています。

いきなり来年に主力級にまで成長するとは思えませんけれど、将来が楽しみな漫画なのです。

「呪術廻戦」飛躍なるか

中堅から主力への成長を見込めるのが「アクタージュ act-age」と今作ですね。
特に「呪術廻戦」は、アニメ化ブーストが期待されます。

アニメの出来が良ければ原作売り上げへフィードバックされるわけでは無いのですけれど、出来がいいに越したことはありません。
「約束のネバーランド」、「鬼滅の刃」、「Dr.STONE」、「ジョジョ」シリーズレベルのクオリティを出せるか否か。

先ずは制作会社の発表待ちですね。

実は危惧してない。むしろワクワクしてる

近年の漫画界は、なんだか変わってきた気がしてます。
人気作を無闇に引き伸ばさないで、すっぱりと終わらせてる印象。

少なくとも「ジャンプ」はそうなってる。
一昔前なら「ネバラン」も「鬼滅」も楽に10年選手の仲間入りをしてたはずですよ。
続けようと思えばいくらでも続けられるような世界観設定ですし。
それなのにスッパリと締めに入った。

10年超の超長期連載が当たり前みたいになってたのに、ちょいとばかし辟易してたので、これは本当に歓迎。
その分新しい漫画の連載が増えるわけですからね。ワクワクしますよ。

とはいえ、打ち切りレベルばかり出てこられても困ります。
そこはそれで、編集部には大丈夫だろうという算段があるのでしょう、きっと。

「ジャンプ+」の成功を本誌の方でも活かすんじゃないかなと。
連載作品を際限なく増やせるWEBコミックの利点をフル活用して、新連載をどんどんと投下してます。
そこで見出した作家に連載を立ち上げてもらう。
鳩胸つるん先生のように。

そんなことが上手くいったら大きいですよね。
嘘か真か「ジャンプ」って、挑戦回数が設定されてるとか言うじゃないですか。
一説では3回打ち切られたら、連載させてもらえなくなるとか。
これが本当だとしたら、新人作家には辛いよね。
初連載を「貴重な1回」に使うことになるので。

週刊連載の大変さとか、週刊連載漫画の作り方なんていうのは、経験してみないと分からないでしょうしね。
アシスタント経験でもある程度は分かるのかもですけれど、作家とアシさんでは作業量とか全然違うはずなので、経験の有無ってめちゃんこでかいと思うのですよ。

その経験を「ジャンプ+」で出来たらさ、成功確率も上がる気がしませんか?

「ジャンプ+」は「ジャンプ」の2軍でも育成場でも無いので、肩を並べた協力体制が必要なのでしょうけれど、そこは上手いことクリアしてくれるはず。はず。
妄想にはずもクソも無いですが。

さてさて、そろそろ終わります。
多分大丈夫ですよ、「ジャンプ」は。

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