ジャンプ本誌がジャンプ+に見習うべきところ

この記事は

「週刊少年ジャンプ」と「ジャンプ+」について

進撃のジャンプ+

「ジャンプ+」の勢いが凄いことになっているらしい。
確かに面白い作品が多くなっている気がします。

30万部を突破した「SPY×FAMILY」は2巻を読みましたが、1巻よりもさらに面白さを増していて驚きました。

物語が大きく動き出したのは、その理由の最たるところでしょうか。
アーニャの学校生活が始まり、それに伴って、彼女中心のドラマが増えてきた点も見逃せません。
個性的なお子様たちが登場して、学園ドラマという名のラブコメが始まったのは、とっても楽しい。
コメディと言いつつも殺伐としていた大人のドラマに笑いにくさを覚えていたのですけれど、アーニャの学園コメディと彼女に振り回されるロイドという図式が見事に確立されて、素直に笑えるようになったのは大きかったです。
それでいて、ヨルの弟の驚きの裏の顔という新しいシリアス成分も混ぜ込んできて、ますます目が離せなくなってきました。

同時に新刊が発売された「サマータイムレンダ」も外せません。
いよいよ物語はクライマックスを迎え、益々の盛り上がりを見せています。
先を読ませないストーリー展開は、ともすれば読者の意表を突くことばかりに重きが置かれ、矛盾だらけになる危険性も孕んでいるのですが、破綻してない緻密さを持ち合わせています。
ひたすらハラハラと出来ますし、謎解きと言う楽しさも生んでいる。
個人的には超オススメした作品であります。

もう1つ、エロにも寛容。
漫画アプリは、どうしてもエログロ方面を強く打ち出す特徴があります。
同種のアプリに埋もれないよう目立たせるには、エロとグロは持って来いなのでしょう。
アプリ自体が軌道に乗ると、角の取れたコメディや王道バトルものの割合が増していくようですが、最初のユーザーの囲い込みの手段としてはエログロは王道と呼べそうです。
「ジャンプ+」もエロに攻めた作品が多く、僕が買っているのは「早乙女姉妹は漫画のためなら!?」です。
漫画としては、際立った特徴がこれといってないのですが。
ただ、アホさ加減が突きぬけてる。
ついついツッコんじゃう様なお話ばかり。
「ジャンプSQ.」の「ド級編隊エグゼロス」(「月刊少年マガジン」に出張掲載したり、アニメ化?したり大忙し)と良い勝負かもしれません。
お色気漫画ではなくて、「バカエロコメディ」を地で行く漫画になっています。

そして、「姫様”拷問”の時間です」。
恐ろしいはずの拷問が、実は…という一発ギャグ的な発想を笑いの軸に置いたコメディ。
やはりその初速の爆発力は確かなもので、大いに笑わせてもらいました。
この手の漫画の弱点は、飽きが早いことです。
芸人の一発ギャグが飽きられるのも早いように、1つのネタを軸とした漫画の賞味期限は存外短いものです。
いかに発展させて、多様なプロットを作れるのかがヒット作になっていくかの分水嶺になると思っていますが、1巻から多様性を見せ始めていますので今後に大きな期待感を持っています。

現在買い続けているのは以上の4作品ですが、過去には「彼方のアストラ」も買っていました。
僕は買っていませんが「地獄楽」や「終末のハーレム」など世間で人気の作品は他にも揃っています。

こうやって並べてみると、個人的にも面白いと感じてる作品が多い(増えてる)なと実感できますね。
で、何故こうも面白い作品が増えてきているのか。
勢いの根源は何か。
少し考えてみて、今の「ジャンプ」が失いつつあるものを持ってるからなのかもなという結論に至りました。

ちょっと保守的になってません?

「ジャンプ」というのは、兎に角野性的な雑誌だったはずです。
4大少年誌の中で最後発という事もあって、新人作家の重用、徹底的なアンケート主義という挑戦をして、今があります。
本誌だけの話では無いですが、なんとなく最近は保守的な空気を感じます。

そう感じる一番大きな理由は、スピンオフ漫画ですね。
結構前から多くの漫画雑誌で取り入れてる手法ですけれど、人気漫画のスピンオフを他作家に連載させるケース。
「ジャンプ」周りも本当に多いですよね。
人気漫画の殆どがスピンオフ漫画を展開してます。
で、とうとう本誌でも「NARUTO」のスピンオフ(続編)である「BORUTO」を連載していました。(良いところで「Vジャンプ」に移籍されて、あれは素でムカついたw始めた以上は最後までやってよ。)

人気漫画のスピンオフは、手堅いのでしょうけれど、「ジャンプ」はそういう保守的に見える手法には手を出して欲しくなかったかな。

もっと攻めた作品を輩出して欲しいのですよね。
それこそ「約束のネバーランド」、「チェンソーマン」と攻めた作品が受けています。
ジャンプらしくない「アクタージュ」や「新開拓」と呼んでもよさげな「Dr.STONE」。
攻めて、結果も出ているのですから、守勢に回ってるように見える作品は「最強ジャンプ」とかに譲って欲しい。

まぁ、たった一作品だけで騒ぎ立てるようなことでは無いですけれど。
それにスピンオフなら、「ジャンプ+」でも連載してますしね。

面白ければ良いという姿勢

3回打ち切りでバイバイジャンプ。
そんな都市伝説を聞いたことがあります。
真実はさておき、チャンスが少ないのは厳しいですよね。
新人積極登用と二律背反となるので、致し方ない点ではあるのですが、「面白ければ」打ち切り回数に関係なく連載の機会があっても良いのかなと。

偶々なのですけれど、僕が買ってる連載作のうち3本は、「ジャンプ」や「SQ.」で打ち切りを経験してきた作家さん達です。

「SPY×FAMILY」の遠藤先生は、「SQ.」で「TISTA」、「月華美刃」を連載してましたが、長期連載には至らず。( 「月華美刃」 は割と好きだったのですけれど、5巻で終わっちゃいました)

「サマータイムレンダ」の田中先生は、「瞳のカトブレパス」、「鍵人 -カギジン-」と短期打ち切りにあっています。

「早乙女姉妹は漫画のためなら!?」の山本先生は、「E-ROBOT」、「ラブラッシュ!」と微エロラブコメで連載するも2作連続で撃沈。

集英社から締め出されるわけでは無いですけれど、「ジャンプ」本誌のアプリである「ジャンプ+」で打ち切り経験作家がチャンスを貰えるのって、本誌ではなかなか無いことなのかなと。

連載本数の制限が無いというのも大きな要因かと思いますが、企画段階・ネーム段階で「面白ければ連載」という姿勢を「ジャンプ+」は本誌以上に持っているからこそなのかなと勝手に解釈してます。

この鉄則は、打ち切り経験作家にも新人と同様に与えてください。
(何度も打ち切りに合った雑誌にめげずに作家さんが挑むこと前提となってますが)

終わりに

出版不況でも守りに入らずに攻めに攻めた「ジャンプ」。
そういう雑誌であり続けて欲しい。

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