最高最高最高
引き伸ばしに入ったラブコメみたいな展開になると思っててスイマセンでした!!
唐突に白銀がスタンフォード大に留学するという話が持ち上がって、クライマックス感が出てきた前回。
流れ的にはいっきに告白かと思わせつつも、なんやかんやで日常に回帰していくという予想は、しかし、あまりにも胸キュン・エモい展開が待っていました。
これはマジでエモかったです。
「文化祭編」感想です。
ところでさっきから連呼してるエモいって未だに良く分かってないので解説求む。
白銀に告らせたい
単なる意地の張り合いから、アホな駆け引きを繰り返していた訳では無かった。
これまでのコメディの全てをひっくり返す白銀とかぐや、それぞれの気持ちが具体的かつ感情移入できるように語られていたのが先ずは良かった点。
最初はかぐや。
父との確執を発端とした最悪の日々。
心を閉ざし、表情を凍てつかせ、冷然と物事を選り分ける当時の彼女の周りには誰も寄り着かず、唯一藤原書記だけが残ったというのは以前から語られていた1つの事実です。
想像だにしない辛い過去があったことを覗かせつつ、虚無な日々の中で白銀が、白銀だけが「ただの四宮かぐや」として接してくれた。
家柄に怯むでもなく、媚を売るでもなく、「対等な人間」として接してきた唯一の異性。
余談
同性としては、千花と愛が支えになっていたのでしょうね。
唯一の友人としてずっと一緒に居てくれた千花。
家臣として振る舞いつつも常に本音で接してくれる愛。
2人が居なかったら、人生を耐える事すら選んでいなかったかもですよね。
呼び方にもそれが表れてると感じます。
呼び捨てで「四宮」と呼んでくれる人間って、かつては居なかったんじゃないかな?
短いページ数の中にかぐやの絶望感がこれでもかと詰まっているからこそ、そこから救ってくれた白銀との関係を崩したくないという気持ちと涙の重みがずしりと伝わってきます。
涙が出るほど怖くて仕方ないんだなと理解出来ちゃうんですよ。
勿論、僕が勝手に理解しているつもりになっているだけで、きっと本当の意味での理解は出来てないんだと思う。
それでも意地の張り合いなどから白銀に告白させたかったわけでは無かったことは分かったんです。
そうしたらさ、感情移入するじゃない。
白銀に告らせたいってなるじゃないですか。
そんな時に、ハートの風船が夜空を埋め尽くす光景なんて見せられてごらんなさいよ。
キュン死しちゃうじゃない。
アラフォーにもなるオッサンが、1人で漫画読んでイケメン男子の告白にキュンキュン来てるんですよ。
異常ですよね。
恐怖でしかないですよね。
でも、そんな異常事態を引き起こす程にはロマンティックな展開。
白銀、格好良すぎでしょうが。
かぐや様に告らせたい
秀知院の生徒に強いコンプレックスを抱いている白銀。
ここにプライドも高いので、最初は自分の事を見もしない副会長に認めさせたい一心だったのかもしれません。
気持ちは分かりますよね。
家柄は比べるべくもなく、才能でも敵わない。
学力も身体能力も劣っていると自覚しているからこそ、負けたくないとも考えちゃう。
プライドってそういうものですしね。
副会長に勝ちたいと努力を重ねて、遂に試験で彼女の上に立って…。
「意識させたい」がいつの間にか「告白させたい」にすり替わってしまったのは、白銀も思春期男子ってことなのでしょうね。
ある意味24時間かぐやのことを考えていたのでしょうしw
好きになった。
付き合いたい。
でも、自分からは告白は出来ない。
自分から願ったら、対等になれないから。
この辺りの思考の流れは、プライドの高さゆえなので、「100円が欲しければ3回周ってワンと鳴け」と言われれば速攻で指示に従っちゃうほどプライドを犬に食わせてしまった僕には共感し辛いのですが。
理解出来ない訳では無くて、白銀のこれまでから十分に察せられた事なのですよね。
白銀は初期によく被害妄想に耽っていたじゃないですか。
かぐやから虫を見るような暗い目で見られながら「お可愛いこと」と侮蔑されてしまうんじゃないかって。
ギャグシーンではあるけれど、これは彼の心理を表現したものの1つですよね。
かぐやに上から目線で見られたくないという白銀の本心が見せていた妄想で、対等になりたいという意志の表れ。
この頃は勉強では常にかぐやに勝ってましたが、勉強で勝ち続けることだけでは、並び立ったとまでは思えなかったのでしょうね。
「告白されて初めて対等になれる気がする」と述懐していることとも矛盾しません。
やはり今までの頭脳戦の全てを肯定する白銀の気持ち。
告白させたいという痛切な気持ちに感情移入しちゃいます。
白銀の気持ちになって、では、かぐやを見てみましょう。
なにあの幸福そうな笑顔。
大きなハートを抱きしめて、心底嬉しそうなかぐや。
ああ、可愛すぎる。
最高ですね。
「最後」の恋愛頭脳戦
実質最後の恋愛頭脳戦だったと思います。
白銀が今までになく計画を練り上げて、念入りな下準備をして、危険因子を排除した最高の策略。
かつて夏休みの花火の際に、白銀がかぐやの行動をトレースしたように今回はかぐやが白銀の思考を読んで…。
2人とも「愛の告白」はしませんでした。
「好きだ。付き合ってくれ」と言葉にしてなくて。
でも、白銀は伝説に準えてハートの風船を使って、「アメリカに一緒に来い」と言った。
言ってやったともさ。
格好良いぜ。
それを受けてかぐやは、一応逡巡したフリを挟んでから即答。
景品と称して、白銀の唇を奪った。
奪ってやったともさ、ファーストキスを。
最高だぜ。
ストレートな愛の告白も良いけれど、今回の2人の「告白」は本当に最高だった。
14巻もの間出来なかった告白をこれ以上無いシチュエーションで、最高の方法で魅せてくれたのだから。
最後の頭脳戦は、両者勝者ですね。
やったぜ。
2つの告白
白銀からかぐやへの「アメリカに一緒に来い」が1つ目の告白。
かぐやから白銀への「これが私の気持ちです」なディープキッスが2つ目の告白。
こう解釈するのが1つならば、別解釈はこうでしょうか。
白銀・かぐやコンビの告白が1つ目で、石上・ミココンビの告白が2つ目。
主人公コンビのラブストーリーに心から感動した一方で、石上・ミコの裏主人公コンビの恋愛がやっと動き出した事にも興奮ですよ。
実はミコは石上を意識してると思いながら読んでいた訳ですが、そうではなかったのかな?
なんにせよ、遂に明確に意識し始めたじゃないですか。
つばめ先輩との三角関係と言う意外な展開になって、ミコが迫れば簡単にカップルになりそうだった2人の恋バナにも波乱がありそうです。
こっちも楽しみになって来ました。
かぐや(氷)との決着と併せて、まだまだ最後まで目が離せませんね。
終わりに
なにこの可愛い生き物