「海獣の子供」は高尚な美術作品のようなアニメ映画でした

この記事は

「海獣の子供」の感想です。
ネタバレあります。

いきなり総括

最初に総括させていただくと、大衆受けは絶対にしない部類の映画です。
エンタメではなく、哲学。
共感できさえすれば、大変感動もするでしょうし、深いテーマだと頷けるのだと思います。
そうではないと、全くもってチンプンカンプン。
序盤はまだ話についていけるものの、中盤から終盤にかけてはぽっか~んとした顔になります。

というか、僕がそうでした。
全然分からなかった(笑

ストーリーに僕はついていけなかったけど。

日本漫画家協会賞とか文化庁メディア芸術祭マンガ部門とか。
この辺の賞って、サブカルチャージャンルに分類されるような作品が選ばれやすい傾向があるという勝手なイメージを持っています。

サブカルチャージャンルって言うても僕個人の枠組みなので、他の人には通じないと思います。
ということで、簡単に解説をさせていただきます。

日本でサブカルチャーというと、アニメや漫画、特撮などを指すことが一般的でしょうか。
で、僕みたいな漫画が好きな人間からすると、大衆娯楽を主とした作品とそうではない独創的な、あるいは詩的な、あるいは哲学的な作品とで大別できるんです。
サブカルチャーである漫画内の、更にメインカルチャーを大衆娯楽作品とするなら、サブカルチャーは大衆に迎合しない作品群である。
これが僕の中の認識なのです。

大きな本屋さんに行くと、たまにサブカルチャー棚があったりします。
そういった専用の棚が用意されてるのですから、需要はしっかりとあるのでしょう。

もし、ここでいうサブカルチャー漫画がお好きでしたら、本作の鑑賞を推奨致します。
原作漫画を好きな人もきっと楽しめるんじゃないでしょうか。
僕は未読なので、ストーリーに関してはよくわかりません。
全5巻の原作をどこまで踏襲しているのか不明ですので。
ただ、作画面は満足できるんじゃないでしょうか。
やはり、はっきりとしたことは申し上げられませんけれど、作画がとんでもなく技術高いことされていたように見えましたので。
原作の、漫画独特のタッチをアニメで再現されようと限界まで挑まれているような、そんな作画でした。

人物画は気合入りまくりでしたが、それよりも凄かったのは背景美術やなによりも魚ですね。

魚魚魚

魚類ってメッチャ多いじゃないですか。
調べてみると3万種くらいいるらしいですよ。
ここにさらに亀などの海獣やカニなどの甲殻類、イルカやクジラなどの海の哺乳類などなど。
海の生物全体だとどんな数になるのか。

当然1種1種姿形が異なる訳で、アニメで描こうともなれば、その数は自然絞られます。
作画カロリーを抑えるという意味でも数えられる程度で、かつ必要でなければ、さらっと「魚に見える魚」を描くくらいなんじゃないかと思います。

今作は、タイトルが示すとおりに、海が舞台であって、魚はかなり重要な位置に立っています。
それこそ図鑑片手に正確な描写は求められていたはずです。
実際まるで本物の魚のような写実的な魚たちがスクリーン狭しと泳ぎ回っていましたが…。

圧巻なのはその種類の多さ。

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©「海獣の子供」製作委員会

一体何種類の魚がいたのだろうか。
スクリーンに広がっていたのは、紛れもなく「水族館の水槽」だったし、「海」だった。

美しい水の中を活き活きと動き回る魚の群れ。
それは大スクリーンで一見の価値ありの映像でした。

クライマックスでは悪夢を見せられているような映像もあり、ただただ美しいだけのビジュアルではありません。
然しながら、気合入りまくった人物作画と共に、美しい魚たちの映像美を楽しむというのも良いと思います。

終わりに

予告での米津玄師さんの使い方、あれは卑怯だわ。
鳥肌もんだったもの。

雄大で美しい海をバックに流れる力強くも儚さも感じる歌声。
すげぇぇぇぇってなった。

ぶっちゃけると、だから見に行ったようなものです。

作画に痺れて、歌に感動した映画。
脚本はよくわからんですが、まぁ、元は取れたかな。

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