はじめに
「彼方のアストラ」最終第5巻を読みました。
面白かった。
感想です。
4巻までの感想はこちらです。
nuruta.hatenablog.com
読んで欲しい!!!
「スケットダンス」の篠原先生の新作は、SF+ミステリ+冒険ロマン。
人類が宇宙へと進出した西暦2063年を舞台に9人の少年達の夢とロマンと冒険が詰まった最高の一作となりました。
5巻に書かれてましたが、企画当初長編だったのが短期集中連載に変更されたようで、これが良い方向に作用していたなと。
「ジャンプ+」の方針が不明ですが、同じジャンプなので、アンケ重視なんじゃなかろうか。
つまらなかったら短気で打ち切られ、面白かったら延々と続ける。
この「面白かったら延々と続ける」というのが、本当に厄介。
最近特にそう思うようになりました。
子供の頃はね、面白ければ永久に読み続けたいって欲求があったの。
「DRAGON BALL」や「SLAM DUNK」等は、あれでも全然短く感じて、もっとも~~っと読みたかった。
でも、今は違う。
オッサンになったからなのかな。
あまりにも長すぎると、どんなに好きでもだれちゃう。
長くても20巻くらいで終わって欲しいと望んでる。
今のご時世、本が売れないからなのかなんなのか知らないけれど、昔に比べると本当に長寿化してる。
ヒットしたら、絞りに絞りきるまで続けさせる。
80年代の「ジャンプ」作者間にあった「ボロボロになる前に終わらせる」という感覚はもう無い。
「惰性で読む」ということが多くなってしまったのです。
だからというのもあります。
短くピシッと終わった事に先ず感動。
そして、恐らく「当初の構想通り」の着地を見せてくれたので、非常に綺麗に終えられています。
4巻までに張り巡らせた伏線を見事に回収。
世界観に纏わる壮大な謎解きもやって、各キャラクターの「人生」を丁寧に拾い上げて昇華する。
なかなかに出来ない事です。
余韻を残しつつ、綺麗に全てに結論を出して終わる。
それは、「最後まで人気だった作品」にしか許されない終わり方です。
長編漫画であろうと人気が無くなれば打ち切る「ジャンプ」の中では特に稀有な存在です。
短期集中連載だからというのもあって、そんな稀有な終わり方をしてくれました。
久々に過不足なく充足して読み終えられましたね。
最高だった。
読んで欲しい!!!!!!
短いながらも読み応えは保証します。
読み応えがあったと感じる最大の理由は、キャラクターの面白味ですね。
8人の高校生と1人の幼女。
きっちりと役割分担がされていて、キャラクター1人1人が立っている。
途中で「9人の中に裏切り者がいる」ということが明るみになります。
他のメンバーを含めて皆殺しを計画した人間がいる。
誰か…と。
そうなると、1人位「こいつだったら、丸く収まりそうだし」とか「こいつ嫌いだから裏切り者であって欲しい」とかいうキャラが出て来ても不思議じゃありません。
9人もいるんです。
そういうキャラクターがいてもおかしくはない。
けれど、僕はそうならなかった。
9人全員良い奴に描かれているから、誰か1人でも裏切り者であって欲しくなかった。
だって、ただ単に裏切った訳じゃないんですよ。
全員の抹殺という重罪犯です。
完璧な悪者です。
苦難を乗り越えて固い絆で結ばれつつあるメンバーの中にいて欲しいなんて思えなかったんです。
まぁ、居たんですけれどね。
ショックでしたが、「裏切り者」にしっかりとした背景があって、それを物語全体の謎に解けこませていたので大満足です。
読んで!!!!!!
「裏切り者は誰か」。
仲間内の疑心を招くような小さなミステリがやがて大きな謎を暴く切欠となる。
壮大なSF冒険ミステリ。
是非堪能して欲しいです。