この記事は
「るろうに剣心‐明治剣客浪漫譚・北海道編‐」第8巻の感想です。
ネタバレあります。
令和に「るろ剣」を読める幸せを嚙みしめて
やはり面白い「北海道編」。
これまでの積み重ねがある、いわゆる総決算的なお話だし、スケールも史上最大規模。
改めて今の世に連載してくれていることが嬉しくて嬉しくて。
しかも、しかもですよ。
アニメもリメイクですよ。
いよいよ今年放送開始。
どうやら原作最終回までやってくれそうな感じ。
好評ならば、この「北海道編」のアニメ化だって夢じゃないかもしれない。
年末にキャスト発表の第2弾があり、見事なまでに僕の陳腐な予想とは違いましたけれど、声がピッタリで驚きました。
特に弥彦には驚いたなぁ。
正統派の少年声を出せる女性声優さんは、まだまだいるものなんですね。
恥ずかしながら小市さんの事は存じ上げていなかったのですけれど、物凄くイメージの中の弥彦と合っていて感動しました。
ますますアニメ版も楽しみな「剣心」。
久々の新刊の感想です。
新選組の「負け狼」達の哀歌が見事過ぎて
新選組の1つの終焉の地となった北海道。
最期まで新選組の魂を貫いた副長・土方歳三が討たれた土地であり、他にも所縁の隊士達が身を寄せていた大地であり。
今作においては後者にスポットを当てて、今作ならではの解釈で、彼らのエレジーが見事なまでに描き出されていました。
7巻の感想でとんでも妄想を炸裂させましたが、阿部は純粋に御陵衛士の無念を晴らし、「新選組より強いこと」を証明するために戦場に出たのね。
家族の事を想うと「やめとけ~」ってなるけれど、武士としては単純に格好良い。
普段捻くれているからこそ、根のまっすぐな想いが熱く感じるね。
そんな阿部の退場劇も鮮やか。
油小路の変で新選組が伊藤の亡骸を囮に使ったのは、「御陵衛士の強さを認めていたから」という解釈。
これ、なかなかにスマートな感じですね。
実際はどうだったんだろう。
いくら剣客集団とはいえ、真っ向から挑んで勝てるという訳でも無く。
実際、伊藤もさんざん酔わせた上で闇夜に紛れて急襲したのですから、確実に相手を斃すためという単純な理由なんだと思うのですが。
しかし、今作の新選組を始めとした一部の武士は、化け物染みた強さですからねw
新選組にも永倉、斎藤など化け物が揃っていたけれど、御陵衛士にも彼らをして化け物と云わしめた服部が居た。
(史実、服部も新選組最強格の1人ですし)
「強さを認めた相手を斃すために止む無く」というのは、なんだかすごく納得出来ました。
7巻で服部の強さをしっかりと描いていたのは、この為の布石だったのでしょう。
はたして「御陵衛士は新選組より強いこと」を証明したい阿部を退かせるには十二分な理由になってました。
史実の「林檎農家」のこと、服部の遺言のことと伴って説得力が半端なかったです。
さて、もう1人の「主役」が前野でした。
これといって戦果を挙げたことが無く、かといって、強かったという訳でも無く。
阿部らのような「負けて尚、歴史に名を刻んだ」元・御陵衛士とも違い…。
現代に割と詳しい生涯が残っているので「名もなき隊士」では無いけれど、作中のセリフ通り「阿部に比べれば」なのでしょう。
(この辺は和月先生のさじ加減一つで、立場が逆になっていたのでしょうけれど)
ともあれ、「負け組の中の負け組」という描き方をして、内通者の「動機」に昇華していたのは凄かったなぁ。
落としどころも、永倉のキャラも相まって上手く処理されていたし、これもこれで1つの「エレジー」だなぁって。
歴史上の実在人物に「謂れのない罪」を着せたとしても、歴史に無い「処罰」を与える訳にはいかない。
阿部を「剣術の強さ」に於いて新選組と対比させ、前野には「人としての強さ(大きさ)」を比較させた。
どちらも新選組(永倉、斎藤)を上としつつも、阿部や前野にも感情移入出来る悲しみを描いていて、非常に面白かった。
まさかの宇水の仇討ちを計る者登場
志々雄真実擁する十本刀。
その中でも最強格の3人が宗次郎、宇水、安慈でした。
京都編のクライマックス、志々雄のアジトで剣心たちを迎え撃った精鋭は、それぞれ剣心、斎藤、左之助と戦ったわけですけれど…。
宇水って、ある意味十本刀の中でも飛び抜けて小物臭かったという印象が強いんですよ。
初登場時は、やたらと強そうなオーラを放ってましたけれど、斎藤に本心を見抜かれた上に簡単に惨殺される始末。
やられ方も一方的だったうえに、「志々雄への復讐を諦めていたくせに、プライド故に志々雄を狙っているフリをしていた」というのが実に情けない。
さて、今回登場した弟弟子くんは、兄弟子のどこまでを知っているのでしょうか。
全部知った上で、それでも宇水は強かった、誇り高い兄弟子だったというエピソードトークを披露して、見事兄弟子の汚名を雪いでくれるのでしょうか。
全然別角度でこの新キャラの今後には期待してます。
終わりに
舞台は再び五稜郭。
オールメンバーでの熱い戦いが見られそうでワクワクです。