この記事は
「るろうに剣心 最終章 The Beginning」の感想です。
ネタバレあります。
遂に完結
コロナの影響で、再度公開が延期されるのではと危ぶんでおりましたが、無事に公開を迎えました。
第1作の公開から足掛け9年。
当時はここまで実写化されるとは夢にも思いませんでしたが、この5作目にして、実写版るろ剣、一先ずの完結です。
振り返ってみますと、あっと驚くキャスティングをされていたのですね。
第1作目の燕役を永野芽郁さん。
驚きました。
2作目からは操役で土屋太鳳さんが出ていて、彼女のことは知っていましたけれど、永野さんは知らなかった。
今や人気の若手女優がまだまだ無名だった頃なのかな?
意外な役で出ていたのですね。
燕は弥彦とのエピソードを描けなかったので、実写版ではチョイ役に留まってしまったのが少々残念。
んで、永野さん以上の衝撃が、清里明良役の窪田正孝さん。
剣心に十字傷の最初の一太刀を浴びせた、巴の婚約者。
今回見ていて、「おっ!!窪田さんじゃん。」と注目して演技を見ていたのですけれど、まさか1作目からずっと同役で出続けていたとは(汗
僕は本当に何を見て来たのでしょうね。
キャストすら把握してないとは、お恥ずかしい。
少しだけ振り返ってみて、色々な発見がありました。
…はい。ネタバレ防止対策はこの辺にしまして、本編の感想です。
闇乃武戦が素晴らしかった!!!
あまり長くもない「追憶編」を映画一本の尺にしたら、間延びするのではないか。
そう危惧していましたが、杞憂でした。
ほぼほぼ原作通りに描いていて、原作尊重度で言えばシリーズ屈指。
また、実写版の「漫画から離れて時代劇寄りにした作劇」との相性が抜群に良く、原作よりもグッと「大人の」ドラマに仕立て上げられていたかなと。
原作のギャグシーンをこぞって消して、徹底的にシリアスにしたというのもあるのですが、今まで同様漫画的なギミックや技を削ぎ落していたことで落ち着いた雰囲気になっていました。
特に「闇乃武」との戦いは、個人的には原作より好きですね。
巴の「使い方」が似て非なる感じで、実写のように「愛した女が間者だったと敢えて知らせ、剣心の動揺を誘う」というのは、とっても上手い。
原作では、巴を助けるため怒りで戦いに赴いていて、これはこれで少年漫画らしいのですけれど、この展開だと「剣心を弱体化させる」のが実写では難しい。
なんせ「磁場が狂った森で、感覚をマヒさせる」というのは、漫画的ギミックだから。
もっと現実に則した方法で剣心の弱体化を図れたという点に於いて、この改変は絶妙。
その後の弓矢と罠のコンボからの聴覚を奪うまでの流れは、見た目の派手さが◎。
2対1による襲撃と視覚を奪う結界は、原作通りでこちらは可もなく不可もなく。
兎も角として、原作以上に善戦していた「闇乃武」の戦い方は良かったですね。
但し、原作以上に剣心を追い詰め過ぎたからこそ、辰巳が何故か攻めあぐねるという謎の引き延ばしをすることになってたのは残念だったけどねw
感想とは全然関係ないけれど、「闇乃武」ってネーミングセンス、冷静になって考えるとヤバいね。
善も悪も無い中で、それぞれの正義の名のもとに戦ってるのに、組織名が悪そのものw
暗殺組織とはいえ、幕府お抱えなのだから、もうちょっとこう…w
賛否が分かれそうな十字傷が出来るまで
ギャグを排して、シリアス一辺倒。
漫画的要素を極力排した作劇。
シリーズ通して見受けられた2つの要素を、今回はより一層強調されていました。
だからこそ、「?」な十字傷が出来るまでの作劇でした。
先ずは、一本目。
清里による一撃。
剣の腕が全くない清里ですが、死にたくないという執念で以って剣心と対峙し、一つ目の傷を頬に刻み、果てました。
原作では、幾度かの打ち合いの果てに、お互いに一撃。
頬に傷を受けた剣心は、一太刀で清里を血の海に沈めるも、生きようとする清里は這ってでもなんとかしようともがきます。
そんな清里の背後へ、剣心は止めの一撃を見舞うのです。
実写版。
ゾンビかな?
ってくらい、斬っても斬っても向かってくる清里。
一歩目違えてたら、コントだよね。
実際ドリフで昔似たようなコントやってた気がするもの。
執念を克明にしたかったのでしょうけれど、やり過ぎ感がありました。
(このシーン、1作目からあった気がするので、今更言っても仕方ない点なのですが)
個人的、この事より不可解だったのが二本目の傷。
巴による傷。
原作では、剣心を庇って辰巳と一緒に斬られて後ろに倒れた際に、偶然手に持っていた小刀で剣心の頬に傷を付けたというものでした。
実写版では、これを変更。
斬られた巴。
抱き上げる剣心。
巴はおもむろに刀を剣心の頬に当てると、傷を付けて息絶える。
何故??????
全く意味が分からないシーンに映りました。
巴が死の間際に剣心の頬に刀傷を刻もうと思った理由は何だったのか…。
剣心の内面描写をカットしまくって、その分「夫婦生活」を充実させることで「緋村抜刀斎から緋村剣心への変化」を描いた本作。
巴の剣心への愛情を克明にした上で、あの描写の意図は何だったのか?
「この傷で、清里さんの敵討ちをしたことにします」という巴なりの清里への愛の証なのか。
よく分からないシーンになってたのは、残念だったかなと。
どうせ改変するのであれば、丹念に映像で心情を描いていただけに、このシーンの意図を込めた映像も欲しかった。
ただ単に僕が見逃していたり、理解できていないだけかもですけれど。
終わりに
しっとりとしたドラマに仕上がっていましたね。
ツッコミどころはありましたけれど、脚本も良かったし、演出も◎。
キャストは斎藤老けすぎだろう…と思いつつも、そこは仕方なしですねw
なんだかんだ言いましたけれど、原作ファンとしては十分満足できるシリーズでした。