「金田一37歳の事件簿」 第11巻感想

この記事は

「金田一37歳の事件簿」第11巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

今回「37歳」になって初めての公式ガイドブックが同時発売されています。
まだ購入していませんが、そちらも楽しみです。
昔のガイドブックみたいにスタッフ座談会とか付いてたら嬉しいな。

第11巻感想です。

綾瀬連続殺人事件編総括

これは今までにない構成。
通常のフーダニット(犯人捜し)ミステリから一転して、ハウダニット(どうやって行ったのか)ミステリへ。
関係者全員を集めての解決編が無かったので、真犯人以外の容疑者が全員出てこなくなったのは笑いましたが、シリーズ屈指の頭脳戦を堪能できました。
間違いなく「37歳」最高の事件だったんじゃないかな。

メイントリックは、「怪盗紳士の殺人」の焼き直し。
眼を潰しラベンダーの匂いで被害者に場所を誤認させてアリバイを作った「もう1人の怪盗紳士」。
今回は少し手を変えて、2つの方法で窒息死を身近で引き起こして、死体発見現場と殺害場所を切り分けたトリック。
特に第3の殺人の鮮やかさは、焼き直しとはいえ見事だった。
アリバイ証人であるフミの目の前で、ほんの一瞬で殺人を完了させたのですから、その大胆さも然ることながら、読者としても「あの時にやってたのか」と虚を突かれました。

ただ、メイントリック以上に今回僕が惹かれたのは、やはりファミレスでの対決。
まさに頭脳戦。
ボロを出させようとするハジメに対して、予め想定問答をしてきた真犯人。
2人の頭脳戦は、読みごたえがありました。

真犯人が簡単に分かるようなミスをしない(ちゃんと買い物してたりと用意周到w)からこそ、些細な綻びも見逃さないハジメの凄さが際立っていましたね。
第一「パーティーに自家用車で来ていたから疑っていた」というところから既に僕なんかは唖然。
最近は割と無茶な理屈を捏ねてたりしてましたけれど、「お酒に詳しいのに、車でお酒の出るパーティーに来た不自然さ」という理屈は非常にスマート。
疑惑のとっかかりとしては綺麗に嵌っていたなと。

廃屋の件も全く違和感持てなかったし、今回は完璧に綺麗に騙されました。

玲香ちゃん確定する

遂にハジメが謎を解きたくなくなった原因が「玲香ちゃんの事件」で確定しちゃいました。
天樹先生はどこまで玲香を不幸のどん底に叩き落せば気が済むんだ…。
なんか恨みでもあるんかってくらい悲惨なヒロインだよね。

なんとなくだけれど、今回の綾瀬連続殺人事件に似たケースだったのかもね。
フミの役どころを玲香に置き換えて、玲香の恋人をハジメが推理で追い詰めたのかな。
で、恐らく、その結果その恋人は自殺を選んだ。

かつて自分を好きだった女性を悲しませ、今までにない罪悪感を覚え、謎を解きたくなくなった。

もう少し複雑と言うかちゃんとしたドラマがあるのでしょうけれど、大外れはしてない気がするのです。

あれだけハジメにご執心だった玲香がどうしてハジメ以外に恋人を作ったのか。
オペラ座館に始まって、多くの真犯人に目の前で自殺されたハジメが、何故今回に限って大きく心を痛めたのか。

超えるべき難問はあって、特に後者はきちんと説得力を持たせて欲しいところです。
(この妄想を真であると仮定した場合の要求ですけれど)

そろそろ「金田一少年」時代最後の事件が語られるのかもですね。

終わりに

新章「殺人二十面相」編は、どんな事件になるんでしょうかね。
実在の作家を出す以上は気合が入ってるんだと予想していますが、果たして。

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