「金田一37歳の事件簿」 第18巻感想

この記事は

「金田一37歳の事件簿」第18巻の感想です。
ネタバレあります。

まさかの最終巻

畳み方あっさりだなぁとか、でも最後の事件は大掛かりな伏線の張り方に興奮したり。
様々な想いが胸に去来した最終巻でした!!
大袈裟な言い回ししつつ、感想です。

「天空の密室殺人事件」感想

トリックは結構どうでもいい。
この手の機械トリックは面白味もないし、新鮮味すら無い。
長編でメイントリックとして使われたら憤慨もの、というと言いすぎですかね。

トリックとしては見るところないけれど、それ以外のところに面白味があったので、総合的にはアリ。
先ずは真犯人の正体と容疑者。
トリックが解明されると、自ずと真犯人の正体も浮かび上がるというのは、よくある手法だし、「金田一」シリーズでも多用されてきた。
けれど、トリック解明と同時に容疑者候補の容疑が晴れて、容疑者候補外から真犯人が炙り出されるというのは斬新。
容疑者候補を出さなかったところも、今回は敢えてだったのかな。
ただでさえ「こいつが高遠の部下だったのおおおおおお」というのもあって、驚きも倍増だった。

もう1つ、事件面では伏線の出し方も見逃せない。
コミックスの裏表紙にずっと描かれてきた総務提出書類。
これがまさか伏線になってるとはね。
最初から構想にあったのかな。
シリーズ全体を通した壮大な仕掛けに思わず唸った。
問題編の中できっちりと回収してるからアンフェアではないしね。

最後に、今回一番笑ったところについても言及を。
容疑者扱いされて、滝汗流しながらげんなりとした顔で「あのあたしヘーパイなんとかじゃないですよ?」と言ってるまりん。
申し訳ないけどクソ笑ったw

シリーズ全体の謎をいともあっさりとwww

「はじめは何故謎を解きたくなくなったのか?」
「美雪との関係はどうなったのか?」

「37歳」シリーズを貫いていた2つの大きな謎。
まさかそれがこんなにあっさりと明かされるとは。

前者は匂わせていた通り、玲香絡み。
この事件が起きたのが、はじめが不動高校2年生時代ぽくて、結構嫌なんだよな。
「金田一君、金田一君」と好き好き光線を送り続けていた玲香が、その一方で「知らない男」と子供を作ってたとかショック。
はじめのことを諦めて、最低でも1年後とかなら全然ありなんだけれどね。
その一方で、婚約者まで犯罪者とかどこまで不幸なんだ…。
子供の頃に誘拐・実父は殺され、養父はその実父を殺した誘拐犯で、実兄が復讐で養父を殺害。
マネージャーに裏切られ誘拐されるわ、身元引受人となってくれた事務所の社長は腹黒いわ。
この事件の際に実母が身代金を出してくれたのだけが救いだったのに…。
今が幸せだって言ってるから、報われてるとしていいのかな?

で、美雪との関係。
良かったけどね。結婚していたというのは。
ただ、この設定最初から決まってた?ホントに?
ギャグとして処理されてたけど、一番身近にいた部下のまりんが全く知らなかったり、草太達が美雪の事を「七瀬さん(佐木弟は七瀬先輩)」と呼んでいたり。
結構苦しいぞ(汗

なんだかずっと引っ張ってきた割には雑な面がちらちらと見られたのは、ちょい残念。

終わりに

ケルベロス好きよね、天樹先生w
まぁこの程度の遊びなら良いんだけれどね。

さて、総括としては「37歳」シリーズは、微妙だったかな。
「歌島リゾート殺人事件」からしてミステリとしてのクオリティは低かったからね。
この低調は最後の最後まで続いてしまっていたと思います。

個人的にトップ3を挙げるなら「首なしスキーヤー殺人事件」、「京都美人華道家殺人事件」、「綾瀬連続殺人事件」かな。
逆に言うとこれ以外は…。

兎も角仕切り直しです。
かれこれ10年以上投げっぱなしの高遠周りの伏線をそろそろ回収してくれ~。
今回いくつか拾われたけれど、まだまだ重要な伏線が残ってるぞ。
それらを回収し、最終的な決着まで持って行って欲しい。

そしてミステリ面でのクオリティ回復。
間にあった「少年30th」では十分なクオリティを担保できてたんだ。
出来るはず。

(恐らく最後になろう)「パパ」シリーズでの”復活”を信じて。

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