【5代目道枝版】「金田一少年の事件簿」 FILE.01:学園七不思議殺人事件 感想

この記事は

「金田一少年の事件簿」ドラマ第5シリーズ第1話の感想です。
ネタバレあります。

8年ぶりの新シリーズ

日テレが挑む世界配信、その第1弾として製作される今回のシリーズ。
初代堂本版を手掛けた櫨山プロデューサー曰く「相当な予算を貰えた」ということもあって自信を漲らせておりましたが、果たして。
第1話の感想です。

ジャパニーズホラー…?

今回の宣伝文句で目立ったのは、やはり「ホラー」の文言でした。
これは「金田一少年」、特に初期の欠かせないキーワードでもありました。
やはり怖かったですもの。
僕が、まだ子供だったということも多分にあると思うのですが、初代の怖さはやはり鳥肌モノでした。
原作も金成先生が原作でクレジットされていた頃は、非常に恐ろしく、それこそ「横溝正史の世界観」を再現しようと腐心されていた跡が見られました。
今回のシリーズもそこを追求していくとあったのですが…うううん。

ちょっと演出にもメリハリが無かったし、怖さは伝わってこなかった。
というか、全くホラー要素を感じませんでしたね。

櫨山プロデューサーのインタビューでも触れられてましたけれど、映像が綺麗になり過ぎたというのもあるよね。
昔のざらついたような質感の映像にあった怖さはすっかりと消え失せて、今はしっかりとくっきりと綺麗に見えるもの。
その分新たな映像的な怖さを追求すると仰られていましたが、ちょっと第1話に限っては見られませんでしたね。

堂本版のリメイクで、かつての怖さと無自覚に比較してしまったからというのもあるのかもしれません。
その点、次回は(アニメも含めての)初映像化となる「聖恋島殺人事件」。
原作からして怖くは無いけれど、このエピソードをどうホラーちっくに料理されているのか。
シリーズのホラー感を計る試金石になりそうです。

現代版に再構築

原作はスタートから30年。
この「学園七不思議殺人事件」も30年前のエピソードです。
天樹先生ら当時のスタッフは「このエピソードでオリジナルミステリの漫画連載をやっていける」と自信を深めたと語られていた程、シリーズ通しても重要なエピソードになっています。

ドラマでもこのエピソードから全てが始まっていますしね。

そんな大切なお話を今回初のリメイクするにあたって、事前にあったように「現代版に再構築(翻訳)」されていました。
これが個人的には「おぉ!!」と感嘆させられました。

一番唸ったのが、犯人・的場の動機部分。
青山ちひろを殺した云々は原作通りなのですけれど、彼の前職が製薬会社の社員から建設会社の社員に変更されていました。
元のままだと現代では成立しないという訳では無いですけれど、こうすることで「何故青山ちひろの遺体を壁に埋め込めたのか」がすんなりと腑に落ちるようになっていましたよね。
元々現場にも出ていた的場なら、左官もお手の物って訳ですね。
細かい部分だけれど、ツッコミどころを潰していた点で好印象。

もう1つが鏡のトリックの追加部分。
原作でも堂本版でも描かれたことの無い「部屋の表札(?)」。
確かにあった方が「舞台が生物室だった」と一目で分かる効果がありますね。
鏡文字を使って作られた表札を張り替えるというちょっとした細工は、芸が細かいというか良いアレンジでしたね。

キャラクター像について

今回の剣持警部は、初代の古尾谷さんバージョンに寄せていた感じ。
物静かで、物腰柔らかなタイプ。
剣持警部は、どうしたわけか毎回原作には寄せてこないですよねw
まぁ、明智警視の役目を担わせることが多いからというのもあるのかな。

さて、道枝さん扮するハジメ。
放送前のイメージを良い意味で裏切ってくれたなと。
なにわ男子を殆ど知らないので、彼についても前知識が無く。
せいぜい「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」で見た程度。
優しそうな顔をした「病弱な美少年」役が似合いそうな外見で、がさつなハジメぽくないなと思っていたのですけれど。

ガサツさはなくとも、ひょうきんな部分と推理でキリッとした部分の二面性を確かに感じさせてくれる演技。
それに動機判明シーンで彼の優しそうな顔が、犯人に同情してる感が出てて、歴代とはまた違ったハジメ像を見せてくれていたなと。

原作ではクズな部類に入る的場ですけれど、道枝さんに合わせたのか、同情できる部分が作られていたのも良い方向性に作用してましたね。

動機のドラマは、天樹先生も折に触れて大切にしている部分であると言っている部分。
ここは櫨山Pも同じ意向で。
今回のようにしっかりと犯人に同情できるように改変されることもあるのでしょう。
ドラマを盛り上げる犯人の悲しいドラマ。
それに共感を覚えるハジメという図は、今回のシリーズでも重要なポイントになるのでしょう。
そんな性善説論者であるハジメの「人を憎まず」の部分は、今回道枝さんの素の表情で表現されそうですね。

終わりに

ホラー感は無かったけれど、とはいえここは人によるのでしょうし。
今後に期待かな。
シナリオに関しては、改変部分が良い感じだったので、期待が持てそう。
道枝さんのハジメも良かったし、そうそう、オープニングも格好良かった!!

もう少し音楽の使い方含めてメリハリを付けた演出になると良いかな…。
(木村ひさし監督感が今回あまり感じなかったんだよね…。)

なんにせよ始まった新シリーズ。
最後まで楽しんでいきます。

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