この記事は
「週刊少年ジャンプ」の記事です。
10年前と現在を比べます。
今のジャンプは暗黒期の入り口なのか?
長期連載作品。
つまりは人気作品が立て続けて終わってしまった「ジャンプ」。
低迷期に入ったのでしょうか?
一見するとそう思わずにはいられないのですが、僕はそう見ていません。
10年前の「ジャンプ」と比較する事で、希望を見ています。
押入れから出て来た。
「こち亀」1000回の記念号は取って置いたのですが、知らない間に捨てられてしまったので、今度は捨てられない様にと大事に仕舞って置いた10年前の「ジャンプ」。
正確には2006年42号の「ジャンプ」。
これを引っ張り出して、読み直してみました。
そして、今と比較。
見えてきた事を書きます。
メディアミックス
その前に、メディアミックスについての持論を記しておきます。
僕は漫画にとってメディアミックスは、大きな商業的チャンスであると捉えています。
アニメや実写化してる作品が偉いと言う訳ではないですが、当たると大きいよねと。
例えば、TVアニメ化するとなると、コミックス既刊がどっさりと重版される訳ですよ。
アニメの出来が良ければ良いほど、版を重ね、どんどん売れていく。
これは1つの事実であり、メディアミックスの功の部分ですよね。
ですが、アニメが終わると、今度は逆の現象が起こる。
飛ぶように売れてたコミックスが売れなくなり、ブックオフ等古本屋には在庫がダブついてくる。
極端な事を書いてますが、これはメディアミックス化の罪の面。
このように多かれ少なかれ功罪、それぞれの面を持ち合わせているのがメディアミックスであると。
こうした考えに則ると、メディアミックス前の作品は「宝の山」です。
今後大きな商業的なチャンスが眠っている…可能性のある作品ということになります。
メディアミックス展開を一通り終えた作品は、大きな商業的チャンスが低い作品ということになります。
再アニメ化などの可能性はいくらでもあるけれど、「メディアミックスしてない作品」に比べると、その可能性は低い。
作品としてはピークを過ぎてしまったことになります。
また、メディアミックス展開中の作品はというと、凪の状態であることが多い気がします。
売上的には横ばいから、やや下降線を辿るような感じでしょうか。
一概には言えませんが、殆どの作品にとってはメディアミックス直後が売上的にはピークでしょうから。
(「ONE PIECE」なんかは原作の戦争編と尾田先生監修の映画でいっきに盛り返したという稀有な例)
僕は、漫画とメディアミックスの関係性をこのように捉えています。
10年前のラインナップ
それでは、10年前2006年42号の目次を書いてみます。
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(巻頭カラー)
「ONE PIECE」
「BLEACH」
「アイシールド21」
「NARUTO-ナルト-」
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(2本立て)
「魔人探偵脳噛ネウロ」
「家庭教師ヒットマン REBORN!」
「メゾン・ド・ペンギン」
「D.Gray-man」
「銀魂」
「真説ボボボーボ・ボーボボ」
「OVER TIME」
「テニスの王子様」
「To LOVEる-とらぶる-」
「太臓もて王サーガ」
「斬」
「エム×ゼロ」
「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」
「謎の村雨くん」
「みえるひと」(最終回)
「ピューと吹く!ジャガー」
さて、ここで、3つのグループに分けてみます。
メディアミックス(ゲームを除くアニメか実写)展開されているかどうかで分けます。
■Aグループ:メディアミックス中
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(巻頭カラー)
「ONE PIECE」
「BLEACH」
「アイシールド21」
「NARUTO-ナルト-」
「銀魂」
「テニスの王子様」
■Bグループ:メディアミックス前
―――実際にアニメ化した―――
「魔人探偵脳噛ネウロ」
「家庭教師ヒットマン REBORN!」(アニメ直前)
「D.Gray-man」(アニメ直前)
「To LOVEる-とらぶる-」
―――アニメ化されなかった―――
「メゾン・ド・ペンギン」
「OVER TIME」
「太臓もて王サーガ」
「斬」
「エム×ゼロ」
「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」
「謎の村雨くん」
「ピューと吹く!ジャガー」
■Cグループ:メディアミックス終了
「真説ボボボーボ・ボーボボ」
「HUNTER×HUNTER」(休載)
注目すべきはBグループ。
宝の山が12作品です。
実際にメディアミックスされたのは4作品ですね。
現在のラインナップ
では、現在のラインナップを同じグループに分けます。
■Aグループ:メディアミックス中
「ONE PIECE」
「銀魂」
「僕のヒーローアカデミア」
「BORUTO -ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-」
「斉木楠雄のΨ難」
■Bグループ:メディアミックス前
「ブラッククローバー」(アニメ化決定)
「火ノ丸相撲」
「左門くんはサモナー」
「ゆらぎ荘の幽奈さん」
「鬼滅の刃」
「約束のネバーランド」
「青春兵器ナンバーワン」
「ぼくたちは勉強ができない」
「U19」
「ポロの留学記」
「腹ペコのマリー」
「Dr.STONE」
■Cグループ:メディアミックス終了
「HUNTER×HUNTER」(休載中)
「ハイキュー!!」
「食戟のソーマ」
「ワールドトリガー」(休載中)
「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」
こちらもBグループに注目すると、12作品。
現在メディアミックスが決まっているのは1作品のみ。
ですが、11作品は「まだ可能性が残されている作品」なんですよね。
新連載が6本(まだ1本は始まってないけれど)も投入されているからという違いこそあれ、未来は10年前よりも明るい気がするのです。
長期連載陣が立て続けて終わり、なんとなく「低迷期」に入ったのかなと想いがちですが…。
実際は「転換期」。
新しい作品が多く芽吹く可能性を持った期間なんですよね。
それが、ここからも分かる…のです。
個人的には、新連載陣のうち数本は「多分ダメだろう」と思っており(これについては、後日記事にする予定です)、それも含め僕の中では可能性のある作品はもっと少なくて。
メディアミックス展開されると踏んでいる作品数は5本なのです。
この僕の予想が当たり、5本全てアニメ化されたとしたら、合計6本となり、10年前の4本を上回る訳です。
だから、光明が見えてるんですよね、僕には。
10年前と比べて、今のジャンプは楽しみが大きいぞと。
結局
何が打ち切られてしまうのか分かっているし、この先が分からないからこその「光明」ではありますけれど。
とはいえ、こんなことを想いつつ、10年前のジャンプを眺めていました。