この記事は
主に講談社のコミックスに関しての記事です。
「金田一少年」のネタバレがありますのでご注意下さいませ。
コミックボンボンのコミックスには巻数制限がある?
「コミックボンボン」のお話。
僕はこの雑誌を約8年余り買い続けていました。
小学校1年〜中2の終わりくらいまで。
で、当時持ち続けていたのが「12巻以上コミックスが出ないのは何故なんだろう?」という疑問です。
どんな作品でも何故か13巻以降は発売されない。
そういうイメージを持っていたのです。
月日は経ち、「ボンボン」も休刊してしまい、改めて調べてみました。
26年間の歴史の中、僕が調べた限りでは12巻を超えていたのは、たったの1作のみ。
「プラモ狂四郎」の全15巻。
この作品は、僕と同世代の方ならば知っている人も多いはず。
「ボンボン」の歴史の中でも、特に有名な部類の作品であると思います。
閑話休題。
幼年誌という性質上、12巻以上ものコミックスが発売できるほど長期間に渡って連載出来た作品も少ない。
そういう要因だって勿論有る事でしょう。
しかし、必ずしもそうではなく、あくまで意図的にそうされていたのではないかという疑念があります。
12巻以上コミックスが出せるのに、実際は出せていない作品が実に多いからです。
幾つか例を挙げます。
「OH!MYコンブ」。
「へろへろくん」の作者であるかみやたかひろ先生と秋元康氏による料理・グルメ漫画です。
かつて僕が大好きだった作品であり、コミックスも全巻所持しています。
そのコミックスですが、全12巻。
ちゃんと最終話まで収録されていますが…実は、未収録の長編があったりします。
主人公のコンブ達が本の世界に吸い込まれてしまい、その中で大冒険を繰り広げる4話程の長編がコミックスには収録されませんでした。
何故収録されなかったのか?理由こそ分かりません。
コミックスに収められない理由は無かったはずです。しかし、収録されなかった。
これが収録されれば、晴れて全13巻となっていたのに。
このように「コンブ」に代表されるように、本誌に掲載されたエピソードが全話コミックスに収録される事というのは、存外少ない。
多くの作品で、未収録お蔵入り作品があります。
「ウルトラマン超闘士激伝」のようにコミックス自体が途中で打ち切られる作品もザラでした。
もう一つ。
上で挙げた「へろへろくん」。
元々は「コンブ」の劇中劇であった「へろへろくん」も、12年という長期間の連載を経て、「コンブ」以上にメジャーになってしまった感があります。
アニメ化もされましたしね。(「コンブ」も昔TBSでアニメ化されてたんですけれどね)
12年という連載期間ですが、しかし、同一タイトルではありません。
途中から「特上へろへろくん」とタイトルを変えて、連載されていたようです。(この頃は既に買っていなかった為、知らなかったです。)
さて、この作品のコミックスですが、無印で全10巻。「特上」で全8巻だったようです。
ギャグ漫画ですし、わざわざタイトルを変える必然性が見えないのですが、何故かタイトルを変えて、コミックスの巻数でも大きな数字にならないようにされているように見えます。
この類も枚挙に暇がありません。
「ボンボン」というと、僕世代にとって有名な4大シリーズがあります。
本山マリオ、帯ゴエモン、ほしの騎士ガンダム、池原ロックマン。
これらは全てゲームやホビーのコミカライズ作品です。
原作となるゲームごとにタイトルを変え続け長期間連載されました。
同一タイトルで連載していれば12巻なんてゆうに超えていた事でしょう。
わざわざタイトルを変えたのは、これらなら一応納得できます。
でも、「コロコロコミック」で未だに連載されているという驚異の漫画「スーパーマリオくん」(沢田ユキオ先生著)のように、同一タイトルで連載されていても良かったんですよね。
まあ、この辺はそうしなければいけない理由も無いので、何とも言えない所ですが。
「へろへろくん」のように何故かタイトルが変更された作品というと「ウルトラ忍法帳」シリーズもそうですね。
今作は途中で一旦連載が終了し、後に再開したという経緯があるようなので、一度はタイトル変更も当然かと思うのですが、実際は3回も変更されたようですw
「疾風ウルトラ忍法帳」⇒「ウルトラ忍法帳寿」⇒「ウルトラ忍法帳超」⇒「ウルトラ忍法帳輝」と。
コミックスもそれぞれ5,5,4,2巻と発売され、合算で16巻。
この作品もコミックス未収録話(最終話も未収録らしい。あまりにもヒドイっすね。)があるようで、なんとも。
復刊されたからいいものの、ファンにとっては辛い現実。
とまあ、例を挙げてみましたが、本当に多いのです。
コミックスが売れなかったからという仕方のない理由もある事でしょう。
上にも書いたように、12巻以上出せる作品が少なかったという事もある。
でも、何故か出せる作品でも、出ていないという現実がある。
これは、講談社特有の事では無いですが、講談社に顕著な現象というイメージがあります。
「金田一少年」のコミックスは集めづらい?
このような事は「コミックボンボン」だけの現象ではありません。
講談社コミックス全般に見られます。
例えば「金田一少年の事件簿」。
最初のシリーズは全27巻。
後にCASEシリーズと改め、全10巻が刊行されました。ここまでが1期。
この他に、コミックスのサイズを変えて、短編集が6巻、明智編の短編集が2巻刊行されていました。
2期に入ると、通巻表示が無くなります。
事件毎に全1巻とか前後編の全2巻という感じに変わり、これが9シリーズ14冊発売。
(この形態はCASEシリーズと同様ですが、CASEシリーズは表紙に「CASE〇」と順番が分かるように表記されてました)
で、現在は「20周年記念シリーズ」と題して2巻まで出ています。
CASEシリーズが刊行された際、コミックスの形式が改まった事を受けて、原作サイドで以下のような説明がありました。
「巻数が多くなると読者も集めるのが大変なのでリセットした。集めやすいように事件毎に収録する形式を採用した。」
要約ですが、このような事を仰っていました。
「金田一」以外にも多くの作品が、タイトルを変えたりしてコミックスをシリーズ毎に分けているものがあります。
「鉄拳チンミ」(これは例としては相応しくないかな)や「DEAR BOYS」等々。
これらも全て同じような理由なのかもしれません。
「ボンボン」のコミックスは、基本的にこれに倣っていたとも推測できます。
ですが、本当にそうでしょうか?
「巻数が多くなると読者も集めるのが大変なのでリセットした。」という部分。
僕からすると、特に「金田一」の場合、現状の方が大変だと思うのです。
確かにこの作品は所謂「1話読切」タイプの作品です。
ストーリーに縦軸となるものが殆ど無いから、どこから・どの事件から読んでも問題無い。
けれど、最初の27巻はやっぱり読んでおく必要性はあります。
高遠や怪盗紳士の存在は、事前に知っておかないとネタバレになるし、サブレギュラー陣も一応は初出を知っておいた方が物語に入りやすい。
こう言う風に考えると、発表順に読んでもらうのが一番だと思う。
また、集めやすいかというと、う〜〜んと唸ってしまう。
ライトファンが、数巻だけ集めようとするならば、巻数が多かろうがシリーズが多岐に分かれていようが変わらない。
また、コアファンが全巻集めようと考えると、「金田一」のような形態は厄介。
通巻表示の場合、どの巻が抜けているか(買っていないか)1巻から順に並べて行けばすぐに分かります。
ストーリーの順番も一発で分かる。
シリーズ毎にリセットされる場合、まず抜けている巻が判然としない事がある。
「金田一」第2期は特殊な形ですが、これを例に取れば一目瞭然。
買っていない事件があっても、調べない限りその事に気付く事は無いでしょう。
また、発表順も分からなくなる。
何も知らない人が「CASE1」を「最初の1巻」だと勘違いしてしまったらアウト。
様々なネタバレをしたまま、FILE1「オペラ座館」から始まる27巻を読む事にもなります。
こういう内容面を考慮してしまうと、必ずしも集めやすいとはいえない。
「DEAR BOYS」のようにシリーズ別にACT〇と表記して順番が分かりやすくなっていれば別ですが。
また、上で書いたように「最初のシリーズが27巻あって、その後に10巻あって…」と長々と説明受けてどう感じるか。
人によっては煩雑に想えるのではないでしょうか。
「金田一は61巻まで出ている」と言われても、なかなか手が出せないというのも事実ですけれど、細かくシリーズを分けても、その印象は然程変わらないのではないかな。
「金田一少年」のコミックス形態は、シリーズ毎に分かれている作品群の中でも非常に特殊なケースです。
この作品だけ見ると、考えがやや極端になりがちなのですが…。
それを差し引いても、イチイチ細かく分ける必要性は無いと思うのです。
僕からすれば、1巻から分かりやすく通しで出して欲しいと思いますね。
おわりに
なぜこんな事を唐突に書いたのか。
「新仮面ライダーSPIRITS」について、驚くべき感想を目の当たりにしたからです。
この作品は、かつて「月刊マガジンZ」にて「仮面ライダーSPIRITS」として、連載されていました。
雑誌の看板として支え続けていたのですが、残念ながら「Z」は休刊の憂き目に遭いました。
本作は、その後半年余りの移籍準備期間を経て「月刊少年マガジン」誌上で「新仮面ライダーSPIRITS」とタイトルを改めて再開している訳ですが…。
この「新」の方を再開から2年以上経って漸く知ったという感想を目にしたのですよ。
その方は、熱心に無印(マガジンZ版)のコミックスを買っていたようです。
無印は全16巻であり、どこをどう読んでも続きがある感じで終わっています。
その16巻巻末にも「月刊少年マガジンで連載再開」という告知ページまであります。
それなのに知らなかったようです。
その方が実際大して興味関心が無かったからなのかもですが…。
それにしても原因としては「コミックスの巻数がリセットされたから」というのも大いにあるんではないかなと感じたのです。
最初の方で「コミックスが打ち切られる事がある」というのを書きました。
これって漫画業界全体を見渡しても、珍しい事象ではありません。
そういう事もあってか「続きがあるような終わり方」をしていても、全〇巻という表記を見てしまえば、続きがあるとは考えないというのも普通にあるんじゃないかな。
また、告知ページに関しても、読まない人って少なくはないと思う。
漫画の部分だけ読んだら、以降は読まない(ページすら開かない)事って考えられるとも思う。
少年サンデーコミックス定番の次月発売案内や他作品の宣伝ページにわざわざ目を通さないのと同じ理屈。
掲載誌が変われば、当然巻数は1巻からというのは、必然の事なのかもしれません。
同じタイトルで1巻を複数出す訳にはいかないからタイトルだって変える必要がある。
でも、そうする事で、ふるいに掛けられてしまう読者は確かに存在するみたいです。
最初から追い続けている人間にとっては、タイトルが変わろうと巻数がリセットされようと何の問題も無い。
けれど、途中から読み始めようと思った人を混乱させてしまう可能性があるのも事実。
悪い事・ダメな事と端的に表現は出来ませんけれど、読者にとって易しくない仕様なんじゃないかなと思います。
何より「終わってもいない」のに「終わってしまった」と思わせてしまう事は避けて欲しいかもです。
「ライスピ」の一ファンとしての身勝手な意見ですw