この記事は
「ライアー・ライアー」第12巻の感想です。
ネタバレあります。
遂に最終章へ?
次巻より、物語はクライマックスへと突入しそうです。
順調に色付き星を獲得してきていたこと、メインキャラに3年生が多く、作中の時期が3学期に入ろうかということ。
それらを鑑みれば、誰しもが予想できる中での「最終章突入」ですけれど、改めて作中で明言(に近いことを)されると寂しいものですね。
これまでのどの決闘よりも大掛かりで壮大な物語になるのでしょう。
最低でも2巻くらいのボリュームはありそうです。
その後には、8つ星を巡る文字通りの最終決戦もあるようですし、完結まではもうしばらく掛かりそうではありますけれど。
それでも最後までいよいよ残りわずかという気配が濃厚になった第12巻。
最後の戦いを前に、改めて緋呂斗の実力を示したようなエピソードだったなと。
緋呂斗の実力
緋呂斗は愚鈍か、天才か。
彼自身の自己評価が低いというか、どうしても「カンパニーの支援」ありきで考えすぎている嫌いがあるものの、緋呂斗はかなりの実力者であると思うのです。
これまでも自身の判断で難局を乗り切っていたものの、やはりどうしようもない窮地ではカンパニーのイカサマ便りだったのは確か。
物語上もどうしてもそこが最大の見せ場、クライマックスになってしまう為に、「緋呂斗は今回もカンパニーのお陰で決闘に勝てた」という風に見えてしまいがちでした。
これは物語構成上致し方ないというか、そうならざるを得ないものと解釈しています。
けれど、そこまでの道のりをつぶさに確認していくと、緋呂斗は決して無能では無いことも見えてきますよね。
なんだかんだ言いつつも彼は頭が切れるし、観察力、対応力も秀でている。
状況を正確に認識し、その場に応じたアレンジを利かせる機転もある。
彼個人の実力が何星相当なのかは分かりませんけれど、今までのライバル達とカンパニー抜きで競っても、遜色ない実力を持っていると思うのです。
次巻から描かれる3学期すべてを跨って行われるという超大規模決闘。
どうやらエース格の存在が非常に重要な地位を占めているとのこと。
この決闘を描くにあたり、カンパニー抜きの緋呂斗の実力を示しておく必要性があるのかもしれません。
今回はとにかく緋呂斗個人の実力がこれでもかと描かれていました。
そのシチュエーション作りは流石の一言。
カンパニーの介入が出来ない自然な舞台設定を用意して、どうしても緋呂斗だけの力で突破しなければならない状況を作り出している。
流石に緋呂斗のみで話を続けるには「会話が無さすぎて」ラノベとして成立が難しいので、AIのカグヤを登場させていますけれど、あくまでも「会話相手」に準じている。
彼女との会話の中でヒントこそ頻出してましたが、だからといって「カグヤがいたから攻略が出来た」。
換言すれば「カグヤがいなければ攻略できなかった」とまでは言えない程度の「協力」。
やはり緋呂斗だけの実力で今回は最後の最後まで行けたと思うのです。
無論ただ単に話し相手としての登場ではなく、今後への含みを持たせたカグヤ。
外界との通信が出来た瞬間に「本物の紫音」がカグヤを操作出来ていたようなので、今後も「紫音」が「カグヤ」として緋呂斗のサポートに入ることも可能となったのかもですね。
作中最強のジョーカーが、作中の縛りのせいで登場できない状況は、今後のことを考えれば厳しすぎますしね。
緋呂斗自身の実力をきっちりと見せつつ、それをサポートするカンパニーも万全に機能するのでしょう。
しかし、それでも尚どうにもならない窮地に追い込まれてしまい、そこを紫音が助ける。
そんなシナリオを見越してのカグヤの登場なのかもしれません。ただの想像ですけれどね。
なんにせよです。
今回も最後はカンパニーや更紗の力で「どうしようもない危機」を乗り越えたものの。
その活路を作り出したのもそうだし、そこまで辿り着けたのも、緋呂斗自身の力。
存分に彼の有能さが示せたエピソードだったんじゃないでしょうか。
終わりに
今回も満足度の高いエピソードでした。
終わってしまうのは寂しいけれど、もう少し続くでしょうし。
切り替えて次巻からの決闘を楽しみたいですね。